逆立ちしても勝てない時は...
「おい、ジェームズ! なんだアレ。聞いて無いぞ! 世界最高の技量どころじゃない! あの動き、本当に同じ人間なのかよ!」
「気持ちは分かる。だがな、俺たちはアレを超える。超えなきゃならねぇ。あの日、あの屈辱を思い出せ! その為に今日まで死ぬ気で努力して来ただろ!」
「そんな事言ったって、あいつには逆立ちしても勝てる気がしないぞ。」
「確かに、逆立ちしても勝てないな。そう、逆立ちごときじゃダメだ。あいつに勝つには、その先へ行かなきゃダメだ。」
「逆立ちの先? ダメだジェームズ。俺にはお前の言いたい事が話からねぇ。」
「分からなくても問題ねぇ。俺が見せてやる。よーく見ていろ。俺があいつを超える瞬間をな。」
その日、ジェームズは歴史に名を刻んだ。
前人未到の大技、成し遂げた男の名をとり「ジェームズ」と呼ばれたその技は、遥か先まで語り継がれた。
余談だが、「ジェームズ」には別の呼び方がある。
「後方伸身2回宙返り4回ひねり」と言うのだとか。
そりゃ、大会で逆立ちしても勝てないなよね。