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ヤンキー

「じゃ遊び行ってくるから戸締りしっかりするんだぞ、夏樹」

「分ってるから、お兄ちゃん早く行かないと遅刻するよ」

「あ、うん。いってきます」

「はい、いってらっしゃい」


「よし!尾行するか!」

私はドアがしまったのを確認し、あらかじめ用意しておいた帽子とサングラスを身に付けた


「えーっと、待ちあわせはショッピングモールの中にある大きな木だから、ここなら見えるわね」

私は昨日お兄ちゃんのスマホを見て確認済みの待ちあわせ場所がよく見える道に先回りし、身を隠した。お兄ちゃんは優しいし純粋だ。だから妹である私が変な女に騙されないよう目を光らせなければ……

「龍ちゃんおはよう!待たせちゃったかな?」

そうこの女からも。この朱音と名乗るビッチ私のお兄ちゃんに色目使って付き合いやがって。今だって約束の時間に遅れた癖にへらへらして、その上あんなボディータッチを……

「「あの女〈男〉あんなにベタベタしやがっって!」」

「「うん?」」

私は同じ場所からお兄ちゃん達の事を見ていた金髪の男と目が合った。

「あんた、あの女と付き合ってるの?」

「いや、お前は?」

「付き合ってない。じゃ」

「「あのカップルに納得いってない?」」

人間、言葉と握手と利害さえ一致すれば仲良くなれるようだ。私と金髪の高笑いがショッピングモールに響いた。

「なんか変な声しなかった?」

「うん?私は聞こえなかったけど……。あっ、トイレ行ってきていい?」

朱音さんはトイレの看板を見るやそう言い残し、走り去ってしまった。じゃ戻ってくるまでそこのベンチにでも座って待ってるか……。

もう20分、朱音さん何かあったのかな?いやいや女性のトイレは男より長いしトイレがちょと長いだけで心配するなんて重いよなぁ。僕は再び意識を時計からにスマホに落とした。

いやいやもう30分だぞ!さすがに遅いよなぁ。僕が視線をトイレに向けると朱音さんが金髪で大柄な男とサングラスに帽子といかにも怪しげなかっこをしている男?に囲まれていた。友達……じゃないよな。僕はそう思った瞬間に走り出し朱音さんと男たちの間に割ってはいった。そして

「お金これしかありません!受け取ってください!」

「え?あ、うん。はい」

背筋を伸ばし財布を差し出した。

「じゃ僕たちこれで行きますね。朱音さん行こう!」

「え?龍ちゃん!?」

僕は朱音さんの手を引きあの男たちから離れるように走り出した。

「ふー。さすがにもう追ってはこないよね」

「多分ね……」

僕たちは金髪の男たちが来てない事を確認しベンチに腰掛けた。

「ごめんね朱音さん、彼氏なのに財布渡すなんて恥ずかしいことしちゃって」

「え?全然そんなことないよ。彼女のために迷わず財布を差し出してくれる彼氏なんていないよ!」

「それ誉めてる?」

「うん!私は龍ちゃんカッコいいと思ったよ」

金髪の男たちが迫って来ないかという恐怖心で気付かなかったが、朱音さんの頬から落ちる汗がニタっとした表情と絶妙にマッチしていていつもと違う大人の色気を漂わせている。それでお腹いっぱいだというのにカッコいいなんて……。僕の顔は急速に沸騰した。

「今、照れた?」

「照れてないから!」

「イチャイチャしてるとこ悪いんだけど、これ返すね」

いつのまにか現れた金髪の男はどういう訳か僕の財布を返してきた。僕がその疑問を口にする前に横から声がはっせられた。

「遅いよお兄ちゃん!何してたの!?」

え?お兄ちゃん?聞き間違えか?

「悪い、途中で見失って……」

「明人さん早すぎます」

金髪男の後に少し遅れて走ってきた影響かサングラスと帽子をはだけさせた男ではなく僕も良くも知る人物が現れた。

「夏樹……いつからヤンキーになちゃったんだ?」

「なってないから!」

「でも朱音さんに絡んでたじゃないか」

「それは……」


「朱音さんのお兄さんで明人さんって言うんですか」

「そうなんですよ、それで最近妹の対応が冷たくて心配で」

「それはそれは。では二人の関係を爆発させる勢いで、二人の愛を調べましょう」

「おう!」

「お兄ちゃんに夏樹ちゃん?こんなところで何してるの?」

「おお!我が愛しの妹よ。たまたまショッピングに」

「爆発させるとかいっときながら?」

「それは、すいません!ほんの出来心だったんです。だから兄にはこの事を黙ってていただけませんか?」

ここで兄に私たちの存在がばれたら二人の愛を試す事が出来なくなってしまう。ここは意地でもビッチに黙っていてもらわなければ。

「それはいくら私の義妹の頼みでもきけないなー、私たちを爆発させようとしてるみたいだし」

「そういうなら、ここを通す訳には行きません!」

「ってやってたら、お兄ちゃんが来て今に至ります」

「まー結果的に愛試せてよかったじゃない。結果、龍ちゃんはどんな時も私を守ってくれる頼りになる彼氏です」

朱音さんはそう言うと僕の腕に抱きついてきた。

「朱音さんそんなに抱きつくのはどうかと……」

「別にいいじゃない、キスだってしたんだし」

僕は抱きつかれた辺りから赤くなってた顔が沸騰してしまった。それと対象的に僕の目前にいる二人の顔はどんどん青ざめていった。

「今度こそ確実に別れさせる作戦を」

「一緒に考えよう」

兄妹に認められるのはまだまだ先になりそうです。

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