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プレゼント

プレゼント、それは大切な日に大切な人に送る、人の心の代わりとなる大切な物。だから

「こんなに小さくて大丈夫かな?」

今日は付き合って半年と重要な日だ。なのに僕が持っているプレゼントは片手で収まる名前入りボールペン。ほんとは化粧品くらい買ってあげたいのだが一人で入るには恥ずかしいし、どれも同じに見えて買う事が出来ない。

「一人でぶつぶつ言ってどうしたの?」

「いや、別に何でもないよ」

僕は独り言を聞かれてた恥ずかしさで赤面しながらプレゼントをバッグに隠した。

「あ!何か隠した。さては女の子とのツーショットの写真隠したな。」

「そんなの隠してないよ!」

「冗談よ。だって龍ちゃんあんな狭いスペースに女の子と二人きり何て無理だもんねー」

「そ、そうだけど。っていうか早くいつもの公園行かない?」

僕はからかわれた事で顔を赤くさせながらも先を急ぐ様促した。それから僕たちはいつもの公園のいつものベンチに座った。そこから見える景色はいつもと同じで、だけど一つ違う点を挙げるならもう夜の7時を回ると言うのに夏の空はまだ明るかった。

「じゃ始めようか!半年記念プレゼント交換会!」

「自信ないから僕からで良い?」

「うん!」

朱音さんの返答を聞き僕はバッグから綺麗にラッピングされたボールペンを取り出した。

「何かな?開けて良い?」

「うん」

「ボールペンじゃん!しかもAkaneって彫ってあるすごい!」

「喜んでくれてよかった!」

僕は思いの外喜んでくれた朱音さんを見て少しホッとした。

「じゃ次私の番ね!ちょっと準備があるから目閉じててね」

僕は朱音さんが言われるがままに目を閉じていると、突然顔の前に気配を感じた。それを違和感に思い目を開けるとそこには腕を僕の体に回し、唇と唇が触れ合いそうな距離に朱音さんの顔があった。

「だから、見ないでって言ったのに」

朱音さんは普段見せない様な恥ずかしがる様な顔を向けている。これってもしかしてプレゼントはキスみたいな奴か?でもキスは僕達にはまだ早いんじゃ。そんな思考を巡らせている時、朱音さんが僕のプレゼントを喜んでいた先程の光景が浮かんできた。そうだ。自分で出来ないならせめて受け入れるくらいしよう。僕は心無しか唇を前に突き出した。来るか?そろそろ来るか?もう来ても良いんじゃないか?

「終わったから目開けて良いよ」

え?終わった?まだ唇に感触来てないけど。朱音さんキスの早技でも持ってるのか?僕は恐る恐る目を開けると唇の代わりに首に今までと違う感触がある事に気が付いた。これって……

「私のプレゼントはネックレスです!どう?」

「あ、うん、うれしいよ!」

「え〜、反応が微妙。あんまり嬉しくなかった?」

「いや全然嬉しいよ。でも思ってたの違って、少しびっくりしちゃって」

「思ってたのって何考えてたの?」

朱音さんは普段通りのニタっとした笑みを浮かべている。多分僕の考えはバレてるだろう。どうせバレてるなら素直に白状してしまおう。

「目開けた時顔がすごい近くだったから、私のプレゼントはキスでーす!みたいな事言うのかなって思って」

「へ?でも龍ちゃんキスは早いって……」

僕の返答は意外だったのか朱音さんは普段見せない頰を赤らめる表情をしながら続けた。

「それにしたら嫌われると思ったし」

「そんなんで嫌わないし、朱音さんからのプレゼントなら何貰ったって嬉しいよ」

僕がこの言葉を言い切った瞬間、僕のファーストキス朱音さんによって奪われてしまった。

 

「半年のプレゼントでこんなにあげちゃったら一年記念日のハードル上がっちゃうね」 

「うん……」

「キスより上って何だろうね」

僕はただでさえキスの影響で顔が赤面してると言うのに、朱音さんのさっきの言葉でキスの先を想像してしまい顔から湯気を出してしまった。

「龍ちゃんのエッチ……」

「別にそんな事考えてないよ!」

「そんな事ってどんな……」

僕は朱音さんがからかう為の言葉を言い切る前に唇を塞いだ。そして僕達は夕日をバックにその余韻に浸った。

プレゼントは人の心の代わりになると同時に人に普段出来ない事をさせてくれる勇気を与えてくれる大切な物だ。

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