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夏祭り

私は千賀高校二年石井和美、花のJKです。とは言ってもクラスでは隅にいるような地味っ子で、人からもあまり相手にされない。でも龍生くんは違った。一人でいる私に優しく微笑み私のつまらない話で沢山笑ってくれた。そんな龍生くんに思い切って近所の夏祭りに行かない?とデートの誘いをした。今日はその二人っきりデートの日のはずなのに……

「龍ちゃん私の着物姿見て赤くなってない?」

「赤くなってないから!」

うん?何だこの状況。本来私とデートするはずだった男の子が泥棒猫とイチャイチャしてるのだけれども。

「あ!石井さんこっちこっち」

龍生くんはやっと気付いてくれたのか私の方を向き手を振っている。

「朱音さんに夏祭りのこと話したら来たいって言い出したんだけど迷惑だった?」

うんすごい迷惑です。早くおかえり願いましょう……なんて言える訳なもなく私は首を横に振った。

「よかった!てっきり私二人のお邪魔なのかっと思ってたから」

泥棒猫はニタ付いた笑みを私の龍生くんに振り撒いている。そう思うなら来んなよ!私のツッコミが心の中で虚しく響いた。

 

「あ、チョコバナナ食べたい」

地元の祭りなのでどの屋台もすごい行列になっている。その中でも一際大きな行列をなしているチョコバナナの屋台を泥棒猫を指差している。これはチャンス!

「やっぱりどの屋台もたくさん並んでいるので分担して並びませんか?」

これでチョコバナナを泥棒猫に並ばせる事が出来れば、私と龍生くん二人きりで夏祭りデート出来る!乗ってこい泥棒猫!

「それいいね。じゃ言い出しっぺだし私チョコバナナ並ぶよ」

よし!これで私たちは夏祭りデート出来……

「なんか一人で並ばせるのも悪いし僕が並ぶよ」

ない!だめー!龍生くんが優しいの分かってるから今はやめてー!

「龍ちゃんチョコバナナ好きじゃないでしょ。私の事は良いから自分の好きな物に並んで」

ナイス!ニタっとしてるのが気に喰わないけどファインプレーよ泥棒猫。

「わかった……」

よし!これで改めて夏祭りデート出来る!

「じゃ先行くね!」

 

「龍生くん、周りカップルばっかりだね」

「祭りだからね」

「周りから見たら私たちもカップルに見えるのかな?」

ステップ一、雰囲気作り。突然告白されても成功する確率は低い。だからまず恋話的な展開に持っててプラス上目遣い!どうこれ寝る前に必死こいて練習してきたのよ。照れるぐらいしても良いんじゃない?

「そんな事無いと思うから大丈夫だよ」

まさかのノーダメージ!?少しくらい照れてくれても良いじゃ無い。そんなに私の色気が足りない?

「あ!あそこに空いてるかき氷屋さんがある。すぐ買ってくるから待ってて!」

「う、うん」

ステップ二、間接キス作戦。私はあえてかき氷を一つしか買わない事でそんなに見て食べたいの?じゃあーんしてあげるよ。と関節キスプラスあーんも出来る画期的な作戦。そんな事異性にされたら気にせずには入られないでしょ。

「ブルーハワイおいしいなー」

「確かに美味しそうだね」

きた!

「そんなに食べたいなら、あーんしてあげようか?」

「ごめん、僕間接キスとか気にしちゃうから食べれないや」

いや全然気にして無いじゃん!顔全然赤くならないじゃん。

僕すごい!朱音さんにからかわれすぎて石井さんにからかわれる様な事言われても全然大丈夫だ!やっぱり耐性とか付いてるのかな。これならもう朱音さんにからかわれても大丈夫な気がしてきた!

「おーい!二人共こっちこっち」

噂をすれば、朱音さんはチョコバナナを両手に持ちながらこちらに近寄ってきた。

「はい、これ和美ちゃんの分」

朱音さんは二本持っていたチョコバナナの内一つを石井さんに渡した。あれ?僕の分は?

「龍ちゃんもしかして食べたかった?ごめん二つしか買ってないから私の一口あげるよ。まだ私も食べてないから間接キスじゃないよ」

朱音さんは演技くさい口調でペラペラと喋りチョコバナナの先端を僕の口に近づけてきた。あれおかしいな。言われてる事は石井さんと一緒じゃ無いか、なのに何で動悸が早くなる、顔が赤くなってるのが自分でも分かる。でもここで食べなかったら後でまた朱音さんにからかわれてしまう。そんな事は許されない。それにさっき朱音さん自分で言ってたじゃないか間接キスじゃ無いって。うん全然健全大丈夫。僕は若干思考停止しながらチョコバナナにかぶりついた。

「おいしい?」

「うん……」

僕は赤面しながらそっぽを向いた。

何で?泥棒猫やってる事私と同じじゃん!なのに龍生くんあんなに顔赤くして。

「私ちょっとトイレ」

「朱音さん一人で大丈夫?」

「うん。ここで待ってて」

切羽詰まった私は泥棒猫がトイレに行ったのを見計らい語りかけるように言った。

「山崎さんって可愛いですけど、色んな男と遊んでるって噂ありますよね。私そういう人苦手何ですよね」

私最低だ……女の魅力で勝てないから陰口言ってこんな卑屈だから友達も出来ないし恋だって叶わない。

「石井さんもしかして」

今から龍生くんに罵倒される。まぁ罵られても仕方ないくらいの事をしたんだしっかり受け止めよう。

「朱音さんにからかわれた?」

「な、何で?」

私は拍子抜けし素直な疑問が出てしまった。

「だって僕と話してる時悪口を一回も言った事ない石井さんが噂なんかで朱音さんの悪口を言うなんて、朱音さんに何かされたのかなって思って。でも朱音さんも悪い人じゃないしするとしたらからかうぐらいかなって」

「そ、そうなんだよねー」

また逃てしまった……こんな嘘山崎さんが帰ってきたらバレるってわかってるのに。それでも逃げてしまう。私は判決を待つ罪人のような気持ちで山崎さんの帰りを待った。

「ただいま。龍ちゃんどうしたの?そんな怖い顔して」

「どうしたのって朱音さん石井さんの事からかったでしょ?」

山崎さんは一瞬戸惑った様な表情をしたが龍生くんの後ろに隠れるようにいた私の顔を見て、表情を変えた。ニタっとしたような笑みを浮かべながら

「だって和美ちゃん可愛いんだもん。からかいたくなっちゃうよ」

「もう!そういうとこだよ!しっかり石井さんに謝って」

「からかってごめんなさい。今度から気を付けるので仲良くしてね」

「はい。こちらこそ」

これは叶わない。顔も色気も器の大きさも全部山崎さんの方が上。でも

「私諦めません!」

「うん。受けて立つ!」

龍生くんは頭の上に?マークを作っている。だがそんな事御構い無しに山崎さんは私の耳に口を近づけ

「今度一緒に恋話しよ!和美」

「うん!しよう朱音」 

今日初めて女子の友達が出来ました。


 

 


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