愛してるよゲーム
「龍ちゃん。愛してる」
朱音さんの真っ直ぐな言葉に僕は赤面しながら目を逸らしてしまった。
「はい龍ちゃんの負けー!」
さっきまでの神妙な声を同じ人が出してるとは思えない無邪気な声で朱音さんは言った。
「龍ちゃん、愛してるよゲーム弱すぎじゃない?」
「違うよ!朱音さんが強すぎるんだよ」
顔も可愛く男子からの人気も絶大でよく愛してると言ったり言われたりするだろう朱音さんと、女子から友達止まりだよねとよく言われてきた僕では愛してるよの経験値が違いすぎる。
「そんな事ないわよ。言うのも恥ずかしかったし、多分龍ちゃんに愛してるよ何て言われたら絶対赤面しちゃうわよ」
「ほんと?」
「うん!赤面間違いなし。そんなに疑うなら龍ちゃん言ってみてよ」
朱音さんは僕が言えないと思っているのかニタっとした笑みを僕に向けている。
「ぼ、僕はあ、朱音さんのことをあ、愛してるよ」
ど、どうだ。今までのチキンだった僕とは違う。まぁかみかみだったのは許してください。僕は己の恥ずかしさを何とか我慢し朱音さんの方を見てみると後ろを向いて肩を震わせている。
「ほら!やっぱ赤面しないじゃん!」
僕は気恥ずかしさで後ろを向く朱音さんの顔を多少強引にこちらに向かせると、ぽっと頰を赤らめてにやけていた。
「やっぱ我慢しようと思ったのに恥ずかしいし嬉しくてにやけちゃうしこんな顔見せられないよ」
「じゃこれって僕の勝ち」
僕が朱音さんの土俵と言ってもいい勝負での勝ちを確信していると、朱音さんはノーと言わんばかりに口元で人差し指を左右に振っている。
「私の勝ちよ」
「え?朱音さん照れてるから僕の勝ちでしょ?」
「だって龍ちゃんの方が顔赤いもん」
僕はそう言われると頰の熱さを確認するため手を頰に置いた。確かに熱い。ただでさえ恥ずかしい愛してるよと言ったのに朱音さんの予想外の反応がいつもと違って妖艶でこれは照れても仕方ないでしょう!
「この場合って僕の負けなの?」
「わかんない」
僕と朱音さんは互いに目を合わせた
「じゃドローで」
この朱音さんの言葉でお互いに安堵した。
((絶対僕〈私〉の方が赤面してた))