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株式会社:寄り添い人 『貴方の思いに寄り添います』

作者: もかめ

初めての短編で駄文ですがよろしくお願い致します。

文字数が少し、少ないかも知れません…




主人公は日本に住む女性。


『五十嵐 真由美』


から始まる。


地方出身の彼女は、田舎暮しに嫌気がさして高校卒業後に都内の大学に進学した。

大学を無事に卒業し、その後会社に新卒として採用された。

全てが順調に思えた。


だが、現実は「順調」とは程遠いものだった。


上司からの嫌がらせ。

同僚のミスを押し付けられ。

挙句、違う部署の人からも蔑んだ目で見られる。


彼女の精神は限界に来ていたがそれでも必死に耐えた。



「やっと就職出来た会社だ」




「ここは若しかすると、まだ『ホワイト』で周りの殆どはもっと酷いんじゃないか?」




彼女は自分の精神を保つ為に無意識にそんな考えになっていた。

それは認めてしまったら、本当に精神がおかしくなりそうだからだ。


だが、必死に耐えていた精神はいとも簡単に解れてしまう。


「クズ美死ねよ」


そして彼女は社内の階段から突き落とされた。


真由美が目を覚ました時は、既に病院のベットだった。


「もう死にたい」


真由美の口から感情が漏れてしまった。


その後、退院した彼女は自宅であるアパートに帰り自殺を図ろうとした。


天井近くに元々備え付けてあるフックにベルトを掛け輪っかを作る。


(これで終わる、短い人生だったね……まだ22歳しか生きれてないのに…)



彼女が輪っかに首を通した時、突然チャイムが鳴った。


急いで玄関に向かう。


急いで向かうのも本当は死にたく無いという気持ちの現れだろう。

誰だって死にたくはない。


ドアを開けて見ると一人の男性がいた。


「どちらさまですか?」


「初めまして、わたくし『株式会社︰寄り添い人』の者です」


そう言って男性は名刺を手渡した。


あまりにも胡散臭く感じた為にドアを閉めようとした時。


「次は死ねますか?」


「……貴方には関係ない、それにもう生きてても辛い……」


こう言ったものの、実際死ぬ勇気なんて湧く訳がない、人間自分で死のうとすればする程恐怖が襲ってくる。



「会社での事ですか?」


「……」


「貴方は一体何様なんですか?私が死ぬと言ってるんです、貴方には1ミリも関係ないですよね?ほっといてくれませんか?」


「そう言われたらほっときますけど、本当に後悔しませんか?」


「……しない」


本当は死にたくないのに、意地を張ってしまう。

今まで意地をあまり張ることが出来なかった真由美の最後の意地だ。



「そうですか……でも、実際の所は死にたくないのでは?私がチャイムを鳴らした時、走ってくる足音が聴こえましたよ、本当に死ぬなら突然の訪問者である私の事なんてほっといて死ぬでしょう?」


男性はまるで、真由美の思いを見抜いたかのように言った。



「……本当は死にたくない、生きたい」


真由美の本音が出た。

「生きたい」


当たり前に暮らしていたら湧かない思いはここにきてようやく湧いた。


「よく言ってくれました、それによく頑張りましたね」


真由美は赤の他人の前だと言うのに、人目を気にせず大声で泣き出してしまった。


大人になってから「褒められる」という事が無くなり、

そして「貶され」「否定され」挙句の果てには「虐め」られる。

いつからそんな人生を送る事になってしまったんだろか。


考えても考えても答えなど見つからない。

「虐める側」は理由なき暴力や嫌味を振りかざし。

「虐められる側」はその理由なき暴力と嫌味に震える。




      「あなたはどうしてこんな人生を送る事になってしまったんでしょうね」


      

      「私にも分かりませんよ…分かっていたら…」


そうだ、考えても答えなど見つかる術などない。

分かっていたらそれを避けるようにして人生を平穏に過ごしていた筈だ。



      「お気持ち寄り添います、お話聞かせていただけませんか?」


       

      「はい……」


真由美は知り合って10分も経ってない見ず知らずの男性を家に上げた。

「誰かに話を聞いてもらいたい」

その気持ちが強かったのだろう。

それほどまでに追い込まれていた。


実際、真由美は誰に話す。という訳でも無く。


悩みを自分の中だけで溜め込んでいた。いや、溜め込まざるを得ない状況だった。


大学は実家から離れたところを選び。

仲の良い友達もいたが、就職し会社に入ると次第に連絡すら取らなくなる。


会社では虐められ、逃げ場が無くなっていた。


家族には大学進学の際、無理を承知で頼み込んだため連絡を取るにも取りづらくなっていた。


普通に電話を掛ければ済む事なのに、些細な事で意地を張る。


子供の頃は「簡単」なのは簡単で「難しい」事は難しい。


大人になると逆になる、「簡単」な程「難しい」


真由美は今まで溜めこんでいた思いをすべて吐き出した。


虐めに対しての思い


虐めた者に対しての「恨み」「辛み」


自分の中の意地や性格まですべて洗いざらい話した。


話している内に真由美は思った。


自分は意地の張りどころを間違えていたのかも知れない。


そして分からない事でも、一つだけ答えを知る事が出来た。



それは、意地は「張る」だけではなく、時には「緩める」事も大切だと。


実際あの時「緩めて」おけば、今頃は実家に戻って虐められずに済んだかも知れない。


そして答えなど分からないは「虐める」側の視点であると言う事。


他人の気持ちなのだから分からなくて当然だ。


そこに答えなんてない、むしろ虐められる側からしたら答えなんてどうでも良い。


ただやめて欲しい、それだけだ。



   「お気持ち…晴れましたか?」


   

   「えぇ」



その後、真由美はある男性の元に行った。


チャイムを鳴らし、中から足音が聞こえる。


「誰ですか?」


「初めまして、私は『株式会社︰寄り添い人』の者です。お気持ち聞かせていただけませんか?」







もしかすると心の中で「意地を張って」いませんか?

大人になると我慢する事自体が美徳にすらなっていきます。

ですが、人間我慢できる量にも限りがあります。



少しだけでも良いので、意地を緩めてみませんか?

そして少しでも良いので、心の底から信頼できる人に自分の「弱さ」を曝け出してみませんか?


誰にでも「弱さ」はあるものです。


話す事で気持ちも随分軽くなりますよ。


もしかするとすぐそばに居るかも知れませんね。





ここまで読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良いお話です。良くまとまった感じです。
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