イレギュラーは必ず起こるもの
時は少し巻きもどる……
視点がロペさんになります
「おい! どうするんだよ!」
「このままここにいる訳にも行かないだろ!」
どうやら偵察中にコルスの町に大規模な攻撃が行われている見たいですね。
まぁ予想は出来たとはいえ……進行中の敵を一度も見ないというのはなんだか不気味ですね。
「狼狽えるな! ここで騒いでも仕方がないだろう!」
偵察部隊の隊長であるジェラル様が一喝する。
すると騒がしかった部隊が直ぐに静かになった。
「おい! 伝令係! 敵の数は!?」
「なんだ! てめぇ魔王部隊の連中だからって偉そうにしてんじゃねぇよ!」
この非常事態を伝えてくれた傭兵はジェラル様の態度が気に食わなかったのか睨みつけている。
「む! 済まないな、今荒ぶってるから口調が荒い! そして緊急事態だから早く教えてくれ」
「チッ、敵はな……何故か無限に増え続けてるんだよ!」
無限に……それは興味深いですね。
「それは本当か!」
「疑ってんのか!」
ふむ、これは嘘をついているようには見えませんね。
この場はジェラル様に任せても大丈夫でしょう。
「ジェラル様、私が様子を見てきます」
「そうだな……マスター頼むぜ!」
「はい……瞬間移動」
私はコルスの町に瞬間移動した。
「ふむ……これは」
私がコルスの町の壁の上に着いた時には既に混戦状態だった。
「確かにあの傭兵さんが言っていたようにどこからともなく敵が出てきますね」
急な襲撃のせいかこちらが押されてますね。
ただマラン様がいる雑貨屋の方はそこまで心配する感じではなさそうですが……
「さすがに序盤から飛ばしては行きませんが……嘘と真実」
私は五体の分身を作り出す。
「嘘つきの番人を使っていないとこの程度ですかね……さて、皆さん。それぞれで頑張りましょう……瞬間移動」
私と分身達はバラバラに戦場に降り立った。
「クソが! 襲撃は明日じゃねぇのか!」
傭兵達が悪態をつきながら敵を向かいうっている。
流石、戦闘を生業とする人達と言えるでしょう。
しかし、流石に大人数で来られると……
「だ、ダメだ……数が多すぎる!」
「残念だったな! 聖王様の加護を持たない哀れなもの達!」
そしてまた一人傭兵がやられていった。
「ライ! この野郎が!」
「ふむ……少々遅くなりましたね」
私が戦場に降り立った時には傭兵の方々は半分程やられていた。
「さて、反撃開始ですよ」