自分の中の常識は意外と常識外れって時があるよね
神代は訓練を受けることに!
なにが待っているのか!
「あと少しで訓練場に着くんだがよ」
俺はジェラルさんの後についていった。
道中は色々な人にジロジロ見られた。
やっぱり服が珍しいのかな。
ただこんなにジロジロと見られる経験がないから変な緊張感があるなぁ。
「おっし! ここだ!」
どうやらジェラルさんの目的地に着いたようだ。
「だだっ広い……ですね」
さっきまでの人通りが嘘のようになくなり、目の前には掘っ立て小屋というような原始的な小屋が三軒。あとはだだっ広い学校の校庭のような。
外にはフィルのような獣耳がついている青年が一人ランニングをしているだけだった。
「そうだろう! 俺たちの部隊の寝床と訓練場だからな!」
そういって”はっはっは!”と笑っている。
あってまだちょっとしかたってないけど。笑い方といいほんと……山賊とかみたいだよなぁ。
まぁいい人なんだろうけどさ。
「カミシロさん。正直ないと思いませんか」
チカさんがなんだか遠い目をしている気がする。……きっとジェラルさんの趣味なんだろうな。
まぁ一日限定とかだったら耐えれるかな。
「いや……いいと、思いますよ」
「……そうですか。やっぱり男の人はこういうのが好きなんですね」
チカさんは諦めたような顔になった。
きっと改善したいんだろうけどできないんだろうな。
まぁ毎日は大変だろうなぁ。
「ジェラルおじさん! 早く稽古しようよ!」
フィルは待ちきれないのか、うずうずしているように見える。
稽古って……きっとバレエとかそういう子供がやる可愛いらしいものじゃなくて、戦闘訓練とかの稽古なんだろうなぁ。
「まぁちょっと待ってな! ……おい! ラル! ちょっとこっちに来い!」
ジェラルさんが急に大きな声で叫んだ。
「あれ? 隊長! いつの間にか帰ってたんっすか?」
遠くでランニングしていた青年がこっちへきた。近くで見ると身長は高く、顔も幼さ故の野性味を帯びているような……まぁイケメンだった。
「おう! 今暇か?」
「そりゃあ暇っちゃ暇っすけど」
「よし! ならカミシロにモンスターの討伐の仕方を教えてやれ! 俺はフィルと稽古をしてくるからよ! よし、フィル嬢も行くぞ!」
”はっはっはっは”と言って訓練場の奥へと行ってしまった。
「はーい! じゃあねカミシロ!」
フィルも訓練場の奥へと行ってしまった。
「えーっと、副隊長はここに残るんすか?」
「いや、ここに残ってもやる事少ないですし……それに」
”ドゴォン”
チカさんが何かを言おうとした瞬間に奥の方から爆発音が聞こえた。
……訓練場の奥の方は砂煙が舞っている。
これが、稽古? 単なる殺し合いにしか見えないんだけどなぁ。
「はぁまた始めましたね。 こんなにうるさいと書類などもつくれませんし、私もついていきます」
「了解っす! それで副隊長、この人はだれっすか?」
この二人はまるで日常茶飯事かのような感じだ。……もしかしてジェラルさんとフィルって化け物なの?
「この人は……カミシロさんという人で、すごい人ですよ」
「ふ……副隊長にそこまで言わせるほどなんですか!?」
俺がフィルたちのことにあっけにとられているうちに凄い人扱いされてるけど。
実際俺ってギターもそんなにうまくないしなぁ。
まぁそれでも褒められるのはうれしいけどね。
「えーっと、俺の名前は神代 優って言います」
「自分はラルって言うっす! この部隊に加入して間もない新人っすけどよろしくっす!」
そういってラルはニッと笑る。
なんだろう、変な口調だけどイケメンが言うと違和感がないっていうか。
やっぱりイケメンは羨ましいな。
「それでカミシロさんはレベルはどのくらいなんすか? ちなみに自分は19レベルっすよ!」
「俺は、レベル1です」
「レ、レベル1っすか。そりゃあ……すごいっすね」
明らかに馬鹿にされているような気がする。
まぁこの人は嘘をつくのが苦手なんだろうなぁ。
それにラノベとかだったらここで見返したりするんだろうけど、俺にはそんな能力無いからなぁ。
まぁないものねだりをしてもしょうがないんだけどね。
「さて、挨拶がすんだところで早速モンスター退治に行こうと思います。でもその前にカミシロさん、その恰好は少し目立ちすぎると思うので着替えた方がいいと思いますよ」
確かに、町を歩いてるときにジロジロと見られてたしな。
郷に入ってはなんとやらだし。
ただお金とかないんだよなぁ。
日本円なら……っと思ったけど財布もスマホもないんだよなぁ。
どっかで落としたのかな。
「確かに着替えたいんですけど……俺、着替えもお金も持ってないですよ」
「大丈夫です。この部隊の服を貸しますから。あそこの小屋が更衣室になっているので、ラル案内してあげてください」
「了解っす! カミシロ、ついてくるっす!」
なんか呼び捨てになって完全に下に見られてる気が。まぁいいか、今更だし。
「わかったよ」
俺はギターとその他機材をもってラルと一緒に更衣室の中へと入った。
中は思った通りの……借りている身で偉そうだがぼろかった。ただ服はふつうというか。縫い目が荒いTシャツと言えばいいのかな。
まぁパーカーで暑苦しかったからTシャツぐらいがちょうどいいのかもね。
「サイズは大きい方がいいっすか?」
ラルさんから大きめのTシャツをもらう。
「そうだね、ありがとうラルさん」
「さんはやめてくださいっす、気軽に呼び捨てでいいっすよ!」
ラルは少し照れているのか顔が赤い。
確かに後輩感が強いし、あんまりさん付けされたことがないのかもしれないな。
「わかったよ、ラル」
ラルも同じデザインのTシャツだったが、俺とは違って襟元に黒いバラのような紋章がついていた。
「それでカミシロ、もしかしてあんた貴族なんかっすか? 多分年齢は二十代ぐらいっすよね。それなのにレベル1って異常っすよ」
ラルが今まで見せてきた表情の中で一番真剣な顔をしているようだった。
それより実年より若くみられて少しうれしいんだけど……
そんな回答を求めてるわけじゃないだろうしなぁ。
「うーん。みんなには異界の旅人って言われてるけど。俺自身よくわかってないんだよね」
「異界の旅人……」
ラルは何か考え込むような姿勢になる。
それに連動してか頭についている耳が垂れた。
「あ、思い出したっす! 確か異常なスキルを持つ人達の愛称っすよね。確か教官は転生者がなんたらって言ってたような……」
ラルは目が丸くなっている。それに耳がピーンと立っている。
そうか……転生かぁ。まぁトラックに轢かれたのも覚えているしなぁ。
まぁいま生きてるからいいかな。バンドメンバーには迷惑……いやいい区切りにあったのかもな。
「どうしたんすか? そんな悲しそうな顔して? もしかして気にしてることに触れちゃってたっすか?」
「あぁいや。なんでもないよ」
「二人とも遅いですよ」
更衣室のドア越しにチカさんの声が聞こえてくる。どうやら随分と話し込んでいたようだ。
「今いくっす! カミシロ! 早くいくっすよ!」
「そうだね」
俺たちは急いで更衣室から出た。
「……ちゃんと似合っていてますよ」
チカさんは俺のことをほめてくれた。ただ一瞬言葉がつっまたのは見逃さないけど。
まぁ服のサイズが大きいからね。
それ以外はピチピチのしかなくて、筋肉質じゃない俺にはハードルが高すぎたからね。
「ありがとう。チカさん」
「お、遅かったのに副隊長が怒こってないっす!」
「それはラルの遅刻癖が治らないからでしょう。あれはラルのためですよ」
チカさんが冷ややかな目でラルのことを見ている。
きっと厳しいけど優しい人なんだろうなぁ。
「それでカミシロさん、その魔装……ギター? でしたっけ。なにかロペさんから言われましたか?」
ロペさん……酒場の店長か。確か危険って言ってたけど。
「えっと、危険って言ってました。それに九尾さんからも使うなって言われてますし」
「そうですか……となるとマラン様に話を通さなければいけませんね。まぁ後で許可を取っておきましょう」
「魔装っすか! 随分と珍しいっすね」
魔装かぁ。これまた中二感漂うなぁ。
「そもそも魔装って何ですか?」
「魔装は魔力を持った特殊な武器の事です。数が多くないので実物を見るのはこれで四個目です。ただその魔装からは相当強い魔力を感じたので強いと思いますよ」
四個目かぁ。
珍しいんだろうけど微妙な数字だなぁ。
とはいえ、スキルがあるってことか。
それはちょっと期待するな。昔ギターの音が攻撃になったりとか想像してたしね。
「その魔装があれば武器はいらないでしょう。それにいざとなったら私たちが守りますよ」
「一緒に頑張るっすよ! カミシロ!」
「あぁ、そうだね」
武器かぁ。
じゃあゲームみたいに戦闘になるのかな。
ちょっと怖いけど期待値も高いなぁ。
俺はそんなことを考えながら町の外へと歩き始めた。
毎度どーも!ペグのざっくりギター用語講座です!
今回はアンプについて!
アンプと言うのは主にエレキギターの音を拡大するものです!(厳密には違うと思いますがここではざっくりなので、詳しく知りたい方は調べてみてください)
なので作中でアンプと出てきたら大きなスピーカーだと思ってください!
以上!ペグのざっくりギター講座でした!