戦争勃発直前
モンスター狩り終了!
「あ、ソルさんカミシロさん。おかえりなさい」
俺とソルさんはモンスター退治から町に帰ってきた。
「門番さん、お疲れ様です」
門番さんは相変わらず同じ人で、いつもここに立っているんじゃないかと思うよ。
本当にお疲れ様です。
「あぁ部隊の関係者だから知ってると思うんですが、荷物の検査をさせてもらいますね」
あれ? 行きは特にされなかったんだけどな。
「と言う事は、ジェラル隊長達が帰ってきたんですね」
ソルさんは門番さんにポケットなど探られながら平然に答える。
「あ、腕怪我してますけど大丈夫ですか?」
「問題ないですよ」
「そうですか……特に異常はないみたいですし、次はカミシロさんの番ですね」
そう言って門番さんは俺の服のポケットを探る。
「武器の方は……」
「あ、わかりました」
俺はギター一式をケースから出した。
……いつものスキル確認のアナウンスがないな。
やっぱり便利になったな。
門番さんはギター触るわけでもなく眺めている感じだった。
ただいつもと目の色が違うような……
「特に問題なさそうですね。それでは入って大丈夫ですよ」
前世だったら手抜きなんだろうけど、ここだとスキルとかあるからなぁ。
「それでは、カミシロさん。ロペさんの酒場に行ってみましょうか」
「そうですね」
そう言って俺とソルさんは町の中に入っていった。
「おきおつけて!」
門番さんがビシッと敬礼をする。
もはやわざとなのかな。
「つきましたけど……」
「恐らくいませんね」
ロペさんの酒場の前までついた。
中から人の気配は感じられなかった。
それにドアを開けようとしたが鍵がかかっていた。
「それにしても……静かですね」
ここまで来るまでいつもなら露店など町は賑わっているのだけど。
今日は露店どころか店も完全にしまっていた。
いつもの賑わいが全くなかった。
「恐らく、ジェラル隊長が攻めてくると宣言したのでしょう」
まだここに来て日は浅いが……それでも異様だというのはわかる。
これから、本当に戦争が始まるのかと思わせる空気が漂っていた。
「恐らく皆さんは武器屋街の方にいるはずです。そっちに行ってみましょうか」
ソルさんは足早に武器屋街に向かった。
「わかりました」
本当はギター一式を置いていきたかったけど……まぁ仕方がないか。
俺とソルさんは武器屋街に着いた。
速足で行ったからかいつもより早く着いた。
武器屋街は他の所とは違い、異常なほどに活気にあふれていた。
「この活気は、確実に宣言しましたね」
「……本当に戦闘が始まるんですね」
正直今まで周囲の反応が軽くて全く実感がなかったけど。
「まぁここの町ではよくあることですから。気楽にいきましょう」
ソルさんは何事も無いように言ってくるが……
戦争を気楽にって、なんだか意識の違いがあるよな。
「早くジェラル隊長と合流したいのですが……この人混みの中では」
確かに、とてもギター一式持って歩いていける感じでもないしな。
「カミシロさん、一度部隊の訓練場に戻りますか。人混みを嫌うメルさんならいると思いますし」
「わかりました」
俺とソルさんはメルさんを探しに部隊の訓練場へと足を運ぶのだった。




