酒場での弾き語りってあこがれるものだよね
謎の酒場に到着!
そして謎の山賊っぽい人に絡まれる!
どうなる神代!
「で、兄ちゃんの名前は?」
俺は山賊感の強い人に肩を組まれた。
「俺は神代 優って言います。気軽に神代って呼んでください」
「カミシロか! おぉ言いずらい名前だな……それによぉ」
山賊感の強い人は俺を食い入るように見る。さっきの門番もそうだったが……やっぱり珍しい恰好なのかなぁ。
「はぁ、ジェラドさん。名前を聞いといて何も言わないのはよくないですよ。私はチカです。見ての通りダークエルフですが……よろしくお願いします」
チカさんは座ったままペコリと頭を下げた。
「はい、よろしくおねがいします。チカさん」
俺もチカさんに合わせるように頭を下げた。
それにしてもダークエルフかぁ。まぁあんな氷が飛んできたりしていた時点で日本じゃないと思ってたけど……ここ異世界なんだろうなぁ。
俺はそんな現実的ではないことを考えながら俺は頭を上げた。
「そうだな、名前を聞いといて自分は名乗らねぇってのは失礼だったな! 俺はジェラルって言うんだ! こう見えても部隊では総隊長をしてるんだ! よろしくな、カミシロ!」
ジェラルさんがそう言って分厚い職人のような手を差し出す。
「はい、よろしくお願いしますね! ジェラルさん!」
俺はジェラルさんと男らしい握手を交わした。
「それでカミシロはどこから来たんだ? 珍しい名前にその変な格好は……このあたりの住民ってわけでもないだろ?」
うーん。なんて答えればいいんだろうなぁ。
異世界? であってるのかな。
「そうそう! カミシロは異界の旅人なんだよ!」
ひょこっとテーブルからフィルは顔を覗かせる。
そしてジェラルさんとチカさんはすこし目を見開いてジロジロと俺のことを見始めた。
「へぇ! これが異界のか! 異界の奴らは強いって聞くが……カミシロはあんまり強くないだろ!」
「ちょっとジェラルさん! そういうのが失礼だって言ってるんですよ! それに外見じゃ判断できないですよ!」
「そうか、それは悪いことをしたな!」
異界の奴らって、俺以外にもここに来ている奴がいるのか。
それに強いってことはノベラみたいにチートみたいなスキルを持ってるってことなのか?
まぁ俺に備わってるんだったらあの九尾に襲われた時に発現してほしかったんだけど。
もしかして強い力を持ってないとかあるかもしれないなぁ。
まぁなんとかなるか。
「おまたせしました。ヴィラとフィル様専用ラッテになります。しかし異界の旅人ということは……スキルには驚いたでしょう」
すると定員さんから木でできたジョッキとプラスチックのようなコップが運ばれてきた。
フィルはコップの中に入っている飲み物を一気に飲んでいた。……ちなみに俺のほうはシュワシュワと炭酸のような、そうビールみたいなものが運ばれてきた。
「申し遅れました。 私はロペと申します」
「神代 優と言います」
俺はロペさんの丁寧な口調に乗せられて会社員のように丁寧な挨拶をする。
まぁ会社員になったことないからこれが正解なのかわかんないけどね。
「スキルを見たことがないのか! ならこれも見たことないんじゃないか?」
そういうとジェラルさんは右手を俺のまえに出して手のひらを広げる。
すると半透明なボードが出てきた。ただ俺のほうからだとマジックミラーのようになにが書いているか見えなかった。
まぁそもそも文字が読めるかわからないけど。
「その感じ、初めて見たようだな!」
「カミシロさんもやってみたら? ステータスボードの出し方は……あんまり意識してやったことないから的確なアドバイスが思いつかないですね……」
「とりあえずステータスボードと念じると出てくると思いますよ」
頬に手を当てながら悩んでいるチカさんの隣からロペさんが俺に提案してくる。
そんな単純に出るのものなのか?
まぁものは試しか。
「わかりました」
俺は若干の緊張と期待を込めてジェラルさんと同じように右手を突き出す。
そして頭の中でステータスボードと念じる。
するとジェラルさんと同じような半透明なボードが出現した。
神代 優
レベル・1
HP・54 MP・29 SP・32 BP・0%
スキル
演奏技術
スキルポイント
0
おーマジで出た……って強いとこなくない?
まぁ期待できるスキルはってか一つしかないけど、演奏技術ってやつだけかな。
「どれどれ……ってレベル1か! 見たことないスキルがあるが、やっぱりまだまだだな!」
「だからいきなり失礼ですよ!」
まるで子供が親の悪いところを指摘している現場を見ているみたいだなぁ。
それに……まぁ低いなんてわかりきってるしね。だってレベル1だもの。オンリーワンだもの。
MPとかが飛びぬけて強いわけでもないしね。
まぁ気に……気にしないけどね。
「……口を挟むようですが。私はその武器? ですかね。とても気になります」
「あぁ、ギターのですか」
出したいんだけど……さっきこれが原因で襲われたばかりだからなぁ。
俺はフィルをチラッと見る。
フィルは黙ってラッテを飲んでいた。
俺の視線に気づいたのか、少し悩んでいた。
「うーん。多分……うん! 大丈夫じゃないかな?」
フィルはニコッと笑った。
どこからその自信が出てくるのかわからないが……まぁこういう酒場みたいなところで弾くのも好きだし。
俺は懲りずにギターを演奏することにした。
ギターをケースから出すと先ほどまでの禍々しさはまるでなく、ただいつも通りのギターだった。
それから俺は手持ちの9V電池で動くアンプを取り出し、シールドでギターと接続した。
エフェクターを使おうかと思ったが……なんだかめんどくさくなってしまった。プロを目指すやつの考え方ではないかもしれないが……といってもギターを弾けるのは9V電池が切れるまでだが。
「それじゃあせっかくなんで。 適当に弾きます」
マイクのない弾き語りなんて久しぶりだな。
そう思いながら浅く椅子に腰を掛けなおす。すると酒場にいたみんなは静かに俺のことを見ていた。
やっぱり弾き始める瞬間は……いつになってもいいもんだなぁ!
「曲名は‘さよなら‘」
俺は曲名を言った。
そして最初のFコードを弾いた。
この曲は初めて俺が作詞作曲をしたものだ。といっても披露する機会はなかったけど。
確かいつもゴリゴリのロックばかりだからってドラムが言ったのがきっかけだったかな。
まぁ歌詞とかに深い意味もなかったけど……あの頃はみんなで楽しく音楽をしていたから。
この曲を歌うと初心に帰るというか……純粋に音楽を楽しんでいた頃に戻れるんだよなぁ。
俺は最後のGコードを弾き終える。久々に弾いたがコードのミスはほとんどなかった。
ただ音程が心配だけど。
俺がそんな余韻に浸っている中徐々に拍手が聞こえてくる。酒場を見ると先ほどは4人だったはずだが……今では店いっぱいになるまで人がいた。
「こんなの……初めてきいた」
「これはなんていうんだ? 語り部とは違うよな」
「なんかよぉ……涙が出てくるぜ」
店内には拍手と歓声が響きわたっていた。
「こ、こんなにくるのかぁ」
正直公開していない曲なので……こんなに人気になるんだったら。公開しとけばよかったな。
「さっ、まだ仕込み中なので。 日が落ちたころに来てください」
ロペさんはパンパンと手を叩くと客はみんな渋っていたが、五分もかからないうちにあんなにいた客もすぐにいなくなり先ほどの俺を含めて4人だけがここに残った。
ここには熱気だけが残っている。しかし、あんなにいた人を一瞬で帰らすなんて、これもスキルなのかな?
「カミシロ、お前ってすごい力を持ってるんだな!」
俺がギターをケースの中にしまっていると突然ジェラルさんが背中を”バン”と叩いてきた。
「そうですかね」
「えぇ、本当にすごいと思います」
チカさんは……ちょっと涙ぐんでいないか?
たしかに別れを題材にして作詞作曲したからすごい嬉しいけど。
「カミシロって、こんなにすごい人だったんだね!」
フィルから尊敬の眼差しが向けられる。
なんだかべた褒めされて……ちょっと照れるな。
「みんな、そんな……ありがとう」
「そうだカミシロ! お前ってこの後やることあるか?」
ジェラルさんが急に質問してくる。
「いえ、特にないですが」
というか何をすればいいのかもわからないしなぁ。
「ここで会ったのも何かの縁だしよ! 俺の部隊に顔を出せよ! ちょっと鍛えてやる」
「そうですね。流石にレベル1では色々と不便だと思いますし」
鍛えるか。
最近ろくに運動してなかったけど大丈夫かな。
「ジェラルおじさん、私もついて行っていい?」
「おう! 俺も部下がいなくて退屈してたところだからな!」
「やった!」
うーん、まぁせっかくだし行こうかな。
なにかスキルとか覚えられるかもしれないし。
「なら、お願いしてもいいですか?」
「おう! 決まりだな!」
そう言ってジェラルさんたちは席から立った。
そういえば昼ごはん、食べてないなぁ。
まぁお昼とか普段からあんまり食べないから平気だけど。
「では。そろそろお開きで。今度は夜にいらしてください」
するとロペさんは店の入り口を開けて帰るように促す。
そもそも営業時間じゃなかったのに、申し訳ないことをしたな。
「おう! そうだな! いつも悪いなマスター!」
みんなはジェラルさんについていくようにそそくさと外に出た。
「ほら! カミシロ! お前も行くぞ!」
「ああっと、すぐ行きます」
俺はギター一式を持って外に出ようとする。
「あぁ。 カミシロさん。 これ、忘れ物です」
ロペさんは黒のダウンを渡してくれた。
こういう暑い時ってたまに忘れるんだよね。
荷物が多いからっていうのもあるけどさ。
「ありがとうございます」
「それと。その魔装、本当は強力なものでしょう。さっき山の方から感じたオーラですよね」
「えっと、多分そうだと思います」
「使う時には注意した方がいいですよ」
確かに……間違ってもあの黒いオーラが出てきたりしたら即九尾にやられるんだろうな。
「……気を付けます」
「まぁ何事も経験ですよ。さて引き留めてすいません」
ロペさんは頭を下げる。
まるでえらいところの執事みたいだなぁ。
「神代! おいてくぞー!」
「いまいきます! ……それでは」
俺は酒場を後にした。
「しかし。あのケースに入ってるとなにも感じとれないんですよね。……それにカミシロ様からは何だか気が合いそうですね」
酒場の扉が閉まる音が聞こえた。
今回はシールドについて!
今さっき本作に出てきて疑問に思ってる人も多いと思います!
なに?盾のことって思ったら僕と気が合うのかもしれません。
さて、シールドとはざっくり言うとケーブルです。
本当にこの言葉が一番しっくりくると思います!
実物が見たい方は検索して見てください!
以上、ペグのざっくりギター講座でした!