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短剣のおそろい

服を買ったぞ!

 俺とフィルは古着屋さんから出た。


「なぁフィル」


「なに? カミシロ?」


「さっきの店員さんと知り合い?」


 さっきフィルは古着屋の店員……リペさんと名前で呼んでいたしな。


 それにロペさんと名前の感じが似てるし、肌がダークエルフ特有の黒さだったしなぁ。


 まぁこっちではメジャーな名前なのかもしれないけどね。


「さっき会ったばっかりだよ」


「そうか」


 まぁ後でロペさんに聞いてみるか。


「ねぇカミシロ。この後って予定とかはある?」


「ん? 特にないけど」


 するとフィルはニヤッと笑った。


「ならその服をロペさんの家に置いてからちょっと行きたい所があるんだ!」


「いいよ」


「なら早くロペさんの家にその荷物を置きに行こう!」


 フィルはロペさんの酒場の方へ走っていく。


「そうだね……って早いなぁ」


 俺はフィルに置いていかれないようにロペさんの酒場へと急いだ。







「ただいまー」


「帰りましたー」


 俺とフィルはロペさんの酒場の地下室へと帰ってきた。


「おかえりなさい。……随分と買ってきましたね」


 ロペさんは俺のパンパンに詰まった麻袋を見て少し驚いている。


「カミシロのおかげでいっぱい買えたんだよ! カミシロ、ちょっと待っててね」


 そう言ってフィルは水浴び部屋に入っていった。


「カミシロ様は随分と買い物上手なのですね」


「いえ、たまたまですよ。……そう言えばロペさんって妹か姉がいたりしますか?」


 俺はさっきの古着屋さんの定員の名前が似ていたので聞いてみた。


「ええ、妹が一人いますよ。とはいえ私とは随分と歳が離れていますし全然会ってませんよ」


「へぇ、歳が離れてるっていくつぐらい離れてるんですか?」


「ええっとですね……妹が二十歳になるので、約二百ぐらい離れてますね」


 壮大すぎて全く実感がないな。


 それにエルフはやっぱり長生きするものなのか。それにロペさんは二百ぐらいって言っているけど見た目はほぼ二十歳ぐらいだしな。


 エルフっていいな。


「しかしカミシロ様。何故私に妹がいると思ったのですか?」


「さっき行った古着屋さんの名前がロペさんに似ていたので、ちょっと気になりまして」


「そんな偶然もあるのですね」


「カミシロ! お待たせ!」


 フィルは水浴び部屋から先程の白のワンピースからいつものオレンジ色のワンピースに着替えていた。


「ちょっと汚れるかもしれないから着替えちゃったよ。 せっかく買って貰ったから大事に着たいんだ! さ、行こう!」


 俺はフィルに背中を押されるながらロペさんの地下室を出る。


「それじゃあロペさん! 行ってくるね!」


「お気をつけて……っとカミシロ様。ちなみにそのお店の店員様の名前は?」


「えっと、リペさんと言います」


 するとロペさんは少し考え込むような姿になる。


「本当に偶然ですね。……それでは行ってらっしゃい」


 俺とフィルはロペさんの地下室から出た。








「さて……どこに行くんだ?」


「えっとね。いつもの場所だよ」


 フィルはそう言って武器屋街の方に歩き始めた。


 あそこはゴロツキというかガラの悪い人が多いけど……まだ日も明るいし絡まれないといいけどな。


「あそこの武器屋さんか?」


「そうだよ。カミシロってメイスじゃなくてもっと振り回しやすい武器の方が向いてるかなって思ってね」


 確かにな……俺の右肩から出てくる触手君と両手で振り回すメイスは相性が良くないような気がする。


 左手でも使える小型の剣とかあればいいかなって思っていたし。


「確かにそうかもしれないな」


「でしょ!」


 フィルはクイズに当たったように嬉しそうな顔になった。


「だからこないだ行ったあの武器屋さんに行こ!」


「そうだな」


 こないだの武器屋さんって確か心の声を読む悪魔族のおばあちゃんがいる店か。


「そうと決まれば早く行こう!」


 そう言ってフィルは走り出した。


 ……あんなに雑貨街では大人しかったのにな。


 やっぱり武器とかああいう雰囲気の方が好きなんだろうな。


「走らないでゆくっり行かない?」


「せっかくだもん! ほら早く!」








 武器屋街は雑貨街に比べて……ってか普通に怒涛が飛び交っていたが、俺達は特に絡まれることなくこないだメイスを買った店の前まで辿り着いた。


「ついたねー」


「この店ってよく来るのか?」


「いつもジェラルおじさん達がここで買ってるから」


 そう言えばフィルって武器とか使わないで爪とか牙を使ってワイバーンを攻撃してるしな。


 なんか危ないよな。


 素人の意見だけど。


「せっかくだから自分用の武器でも買ったらどうだ?」


「うーん、いつか買おうかなって思ってるんだけどね……こんにちはー」


 フィルが扉を開けると”ギギギィ”と音がする。


「いらっしゃい。おや、また珍しいお客さんがいるね」


 中には白髪で身長が小さいおばあちゃんが武器の点検をしていた。


「こんにちはー」


「へぇ……随分と強くなったようだね。どうやら武器は……相性が悪かったのかい」


 おばあちゃんは俺のことをじっと見て点検で持っていた武器を棚に戻した。


 このおばあちゃんは人の考えてることが分かるって知ってるとはいえ……凄いなぁ。


「うーん……そのスキルなら短剣とかがいいかもね」


「やっぱりそうですか」


「お金はいくらぐらいあるんだい?」


 おばあちゃんは短剣がいっぱい置いてある棚の方に歩いていった。


「そうですね……千ゴールドぐらいでお願いします」


「ねぇ! 私が決めてもいい?」


「そうだね。頼むよ」


 変に素人が決めてもあれだし。


 フィルに決めてもらおう。


「ありがと!」


 フィルはおばあちゃんに近ずいて短剣を選び始める。


 せっかくだしフィルに決めてもらうか。武器に関しては全く無知だしな。


 ちょっと店内を回ってみるか。


「へぇ……色々な武器があるんだな」


 中には槍やハンマーなど漫画で見るような武器や、チェーンがついている見たことはあるのだが名前が分からない武器などがいっぱいあった。


「ならこれとかがいいんじゃないかい?」


「そうしようかな」


 そろそろ決まったかな。


「カミシロ、これなんていいと思うんだけど」


「随分と綺麗な剣だね」


 派手な装飾がある訳じゃないけど新品のキラキラとしている感じがとてもいい。


「これっていくらなんですか?」


「これで千ゴールドだよ」


「あ、カミシロ! 私が買うよ! 服のお礼だよ!」


 そう言ってフィルは麻袋を取り出して銀貨をおばあちゃんに渡す。


「ありがとう……あっとおばあちゃん、これと同じのもう一つあります?」


「あぁ、あるよ」


「ならもう一つ下さい」


 そう言って俺はおばあちゃんに銀貨一枚を渡す。


「ええ? 私が買うのに」


「せっかくだからおそろいにしない?」


 まぁ刃物をおそろいってちょっと不良みたいだけどな。


「お客さん……若いねぇ」


「えっと……カミシロ、ありがとう」


 フィルはなんだか顔が赤くなっている。


「はいよ。二人ともまたおいで」


「はい。ありがとうございました。じゃあ行こうか」


「う、うん!」


 俺とフィルは武器屋さんから出た。


 ただフィルの様子がおかしいというか……この世界で武器をお互いに持ってるって何かあるのかな?

次回予告!


ついにギターを弾くぞ(予定)

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