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料理って適当にやっても案外上手く行くものだよね

食材ゲット!

「ただいまー」


「今帰りました」


 俺とフィルはロペさんの地下室に戻ってきた。


 あれ? 返事がないな。


「ロペさん寝てるね」


 ロペさんは自分のベットで寝ていた。


 まぁあんな戦闘をしていたんだしな……


「フィル、二人でできるだけやってみようか」


「私、自信ないけど頑張るよ」


 俺とフィルは食材を持ってキッチンのような所に向かった。





「さて……どうするんだ」


 キッチンみたいな所には小さなフライパンのようなものやフライパンみたいな鍋のようなものが壁にかかっている。


 それに色が黒なのでプロが使っていそうな料理器具だった。


 まぁそれはいいのだが……火の付け方が全くわからないな。


 家にあるコンロなどツマミで火がつくのだったら簡単なんだけどなぁ。


 キャンプファイヤー……とまではいかないがよくゲームなどで出てくる焚き木のようなものが置かれていた。


「フィル……火の付け方は分かる?」


「うん……でも失敗するかも」


「「……」」


 これは……早速ロペさんを呼ぶべきなのか。


「カミシロ……たしかこの石みたいなので付けてた気がするよ」


 フィルは黒く尖った石を二個持ってきた。


「これは……火打石ってやつだっけな?」


「後これ、よくわかんないけど……この黄色ぽっい草」


「……なんだかほんとにキャンプに来たみたいだな」


 こう思うと現代って便利なんだなぁ。


「なぁフィル、火をつけるの頼んでもいいか?」


「……頑張ってみるよ」


 フィルは焚き火跡のようなところに黄色い草……恐らく火の元となる草を敷き詰める。


「やるよ……」


 フィルは恐る恐る火打石を擦って……火をつけた。


「良かった……燃え広がらないかったよ!」


 うん……燃え広がっていたらどうしたんだろうな。


 まぁなんとかなったしいいか。


「それじゃぁ……とりあえずこのフライパンみたいなのと。フィル、油……で合ってるのかわかんないけどあるか?」


 俺は横にかかっていた黒いフライパンのような鍋を取って火に当てる。


 ただ持ち手が日に近いからめちゃくちゃ熱い。


 それに持ちっぱなしなのが辛いな。


「えーと……いつもロペさんはこれをかけてるよ」


 フィルは黄金色の液体が入った瓶を棚から持ってくる。


 瓶に俺には読めない文字で何かが書いてある。


 恐らく油……だよな?


「いつもロペさんはこれをかけてるんだよな?」


「そうだよ」


「分かった……」


 俺はフライパンのような鍋に油のようなものをひく。


 うん……なんか感覚だけどこれは油だろうな。


「それで……あっ! 野菜とか切ってない!」


「あ! カミシロどうしよう!」


「よし……フィル、ちょっとこれを持っててくれ」


「分かった!」


 俺はフィルにフライパンのような鍋を託す。


 そして俺はフィルが油を持ってきた棚に向かう。


 ……えっとまな板……それと包丁は……よし、あった。


 キッチンらしき所には食材を切るための台がなかったので俺は包丁とまな板と食材を持って朝食などを食べる机に向かう。


 まずはキャベツ……じゃないやキャベチからだな。


 見た目とか全く同じなんだよな。


 とりあえず……芯を包丁で切り取って……適当な大きさに切ろう。


 俺はキャベチ三玉の芯を取って適当な大きさに切っていく。


 ……今更だけどキャベチ多すぎだよな。まぁやったもんは仕方が無いか。


「よしフィル、とりあえずこのキャベチを炒めておいてくれ」


 俺は切ったキャベチをフライパンに入れる。


 そして俺はフィルに木でできたフライ返しを渡す。


「えっあっと……分かった」


 そして俺は残りのアンガー・ウルフの肉を一口サイズに切っていく。


 この肉も多すぎのような気がする。


 なんで塊のブロック肉を買ったんだろう。


 いくら安くなってたとはいえ失敗したな。


 俺はそんなことを思いながらブロック肉を一口サイズ程の大きさに切った。


 本当に何キロぐらいあるのだろうか。


 俺は切った肉をフィルのいるキッチンに運ぶ。


「フィル、大丈夫か?」


「うん……それでカミシロ、炒めるってなに?」


「よし……フィル変わろう」


 俺はフライパンに切り分けた肉を投入する。


「カミシロ……よろしく」


 フィルは俺にフライパンのような鍋を渡す。


 後は肉に焼き色がつくまでとりあえず炒めることにした。






「よし……だいたいこんなもんか」


「カミシロってすごいね」


 フィルは俺が料理を作るところをずっと眺めていた。


「後は……この謎の調味料を入れるだけか」


 肉屋さんが言うにはスライムの液体をとろみがつくまで煮込んだものと言っていたが……


 本格的に異世界のものだよな。


 お腹を壊さないといいんだけどなぁ。


「フィル、この調味料ってよくみるか?」


「私にはわからないよ」


「だよなぁ」


 俺はとりあえずこのスライム調味料を開けてみた。


 すると……匂いはオイスターソースのような感じだった。


「ものは試しか」


 俺はとりあえず適当な分量を入れてみる。


 まぁ最初は少なめにして後から足せばいいんだし。


 そのまま炒めてから十分ぐらいが経った。


「あー、よくロペさんが作るやつの匂いだ!」


 俺は少し味見をしてみる。


「うん、味も意外と普通だし……初異世界料理にしては上手くいったかな」


「なんだかいい匂いがしますね」


 するとロペさんの声が聞こえる。


「ロペさん。おはよう! ちゃんとカミシロとご飯作ったよ」


「あ、勝手にキッチン使わせて貰いました」


「いえいえ……それより炒め物ですか」


 ロペさんが何やら心配そうな顔をしているような気がする。


「……フィル様。ちゃんと分量などは大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ! だってカミシロがやってくれたんだもん」


 フィルがロペさんに向かって胸を張りながら宣言している。


「そうですか……しかし、カミシロ様。もしかして炒め物だけですか?」


「……あっ」


 ……完全に忘れてたな。


「まぁそれ以外は買ってきましょうか。フィル様、頼んでもいいですか?」


「任せて!」


 そう言ってフィルは外に出た。


「すぐに帰ってくると思いますよ。それにしてもよく作れましたね」


「ええ、フィルにも手伝って貰いましたから」


「そうですか……家が燃えなくて良かったですよ」


 こうして……俺の異世界初の料理は終わった。




「カミシロ! ロペさん! 買ってきたよ! 早く食べよう!」

キャベチとキャベツ間違えないでね。


似てるようで別物だから。

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