ロペさんVSノワール
謎の男登場!
今回は視点がロペさんになります。
「お久しぶりですね、ノワール様」
……本当はカミシロ様たちがいるので会いたくなかったのですが、仕方がないですね。
「おー久しぶりだなー」
相変わらず黒い服をきた男……ノワール様が頭上から私のいる地上まで降りてくる。
「いつぶりでしょうかね」
「んー大体十年ぶりじゃないかなー」
「そうでしたか」
私とノワール様は他愛のない会話を始める。
このまま何も起きなければいいのですが。
「よしじゃあ、十年前の続きをしようか」
ノワール様の声が……目つきが真剣なものになる。
こうなってしまっては……戦うしかないでしょうかね。
「できたら今度がいいのですが」
「断ったら……あそこにいる面白いやつらを殺すよ?」
やっぱり……戦いますか。
それに、なんだかんだ私もMP回復ポーションを飲んでいるあたり……やる気なのかもしれませんね。
「それは困りますね。ではやりましょうか」
「おーよかったぞ」
私とノワール様はお互いに顔を見合わせながらニコニコとしている。
そして……一瞬ノワール様から殺意を感じた。
”パァン”
ノワール様が挨拶替わりのような右ストレートを私に叩き込もうとする。
私は左手で軽く受け流した。
「相変わらずつよいねー……真夜中へのいざない」
ノワール様は私を殴ろうとした方とは逆の左手を広げる。
その左手から真っ黒な霧が私の顔に向かってくる。
私は霧に当たらないように後ろに素早く後退する。
……知らないスキルですね。少し調べてみますか。
――全鑑定を使用します。
――真夜中へのいざないレベル8、対象の視界を奪う。解除は本人かスキルのみ。こののうりょSKXOJWIS。
やはりノワール様のスキルは完全に読み取ることはできませんか。
「俺の部下だったら当たるんだけどなー」
「まだまだ私も衰えていないですよ……償いの弾丸」
私は後ろに下がりながら右手をノワール様のいる方に突き出す。
そしてスキルを発動させる。
すると黒い小さな弾が四個出現して……すさまじい速さでノワール様に向かっていく。
「相変わらず好きだねーだから俺も……黒の弾丸」
ノワール様の前に黒い弾が八個出現して……私の償いの弾丸を全て打ち消した。
「ふむ……やりますね」
「倍の数で撃ち落とすことしかできないとはなー……ちょっとショック」
ショックなのは私ですよ……まさか撃ち落とされるとは思いませんでしたからね。
「ならこれならどうだ……」
ノワール様は地面に手をつけた。
「……黒の侵略」
するとノワール様の場所から影のようなものが形を変えながら私を呑み込もうとしてくる。
これは回避できませんね。なら行き先はノワール様の真上ですね。
「……瞬間移動」
私はノワール様の真上に移動する。
「戦闘中に……それに瞬時に使えるのはロペさんぐらいだねー」
「私の自慢ですから……償いの爪」
私の手の甲から三本の私より大きい真っ黒な爪が出現する。
私はこれでノワール様を串刺しにするために振り下ろす。
「おーでかいね……黒の炎」
ノワール様の体から黒い炎が噴き出る。
私は償いの爪を盾にする。
そのため、私に黒い炎は当たることはなかった。
「さて……そろそろ本気だそうかなー」
「私としては……早く終わりたいのですが」
「なら、俺を早く倒せばいいよ……黒の王」
ノワール様の体を黒い何かが包み込む。
そして……黒い何かを全身に纏った姿になる。
顔も黒い何かが覆っていて相変わらずのっぺらぼうみたいですね。
「ロペさんも早く本気出せよ」
「仕方がありませんね……嘘つきの番人」
私の両手が真っ黒な剣のようになる。
久しぶりですね……この感覚は。
「やっぱり魔王軍”怠惰”の幹部の時と変わらないな」
「さて……早く終わらせますか」
私は地面を蹴った。
そしてノワール様の喉に向かって右手を突き付ける。
「あたるかよ」
ノワール様は瞬時にしゃがんだ。
「……黒の侵略」
私の真下から竜のような影が飛び出る。
「瞬間移動」
私は少し離れたところに移動する。
「……嘘と真実」
そして私の分身を十体作り出す。
「相変わらず多いな」
「「瞬間移動」」
私と分身はノワール様を囲むように移動する。
そして……バラバラにノワール様に剣となった手で切り裂いていく。
「っつ!」
ノワール様は切られながらも反撃していく。
「頑丈だな……黒の弾丸」
ノワール様は殴りながらスキルを使用していく。
「「嘘つきの弾丸」」
私の分身の一部がスキルを使用する。
すると……少しずつノワール様の黒い何かがはがれていく。
「……鬱陶しいな、黒の……」
「ノワールさん! 何やってるんですか!?」
私とノワール様の動きが止まる。
その声の主は翼が生えていて空から降りてきた。
「あれ? ミカミじゃん」
「じゃん、じゃないですよ! マリナさんが会議があるって言ってましたよ。早く行かないと間に合わないみたいですよ」
「ノワール様、なにか用事があったのですか?」
「えーと……魔王との会議があった」
私は嘘つきの番人を解く。
「それはよくないですね。今はあなたが”怠惰”の代わりをしてくれてるのでしょう」
ノワール様も武装を解く。
「すまんなー。ミカミもどるかー」
「えーと……だれだか知りませんが、ご迷惑をかけました。それじゃあいきますよ」
そう言ってミカミ様という方はノワール様を連れて飛んで行った。
さて……これで終わりですね。
「カミシロ様、フィル様。もう大丈夫ですよ」
……私がそういうと遠くの岩陰からカミシロ様とフィル様が出てきた。
「……なんだかすごかったですね」
「うん! とってもすごかった!」
「私はこりごりなんでけどね。……それでは帰りましょうか」
私はカミシロ様たちに近づいた。
「それでは……瞬間移動」
今回は……視点がロペさんだからちょっと変えますか。
ロペさんが使う技で償いと言う技のルビですが、あれはatonement……アトウンメントで償いと言う意味から取ってますよ。
まぁ知ってる方もいたかもしれませんが。
今日のペグの用語ざっくり講座はこれで……