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外伝ノワールさんとマリナさん

三上君、異世界転生!

「ここが店だぞー」


 俺はひっそりとした……洞窟? の前にノワールさんに連れてこられた。


 てかここに来るまで山を何個超えたんだろう。


 相当距離があったはずなのに……ものの数分で目的地につくのか。


 カッコイイな。


「こ、ここは?」


「だから俺の店だってばー。看板もついてるだろー」


 洞窟の入口にはRPGなどで見るような気の看板があった。


 ただなんて書いてあるのか読めないけど……


「ほらミカミー入るぞー」


 ノワールさんは洞窟の中に入っていった。


「あーと、分かりました」


 こんな……切り立った山の洞窟に店か。


 お客さんなんて来るのかな?






「あ、ノワール様。おかえりなさい」


 カウンターの中には黒く細長い角が生えたお姉さんがいた。


「あ、マリナ。ちょうどいいタイミングだよー。ミカミー来てー」


「あ、はい」


「ノワール様……それは人族ですけど」


 マリナさんはすごく呆れたように、冷たい目でノワールさんのことを見ている。


「なんだマリナは感じないのか。多分こいつは強くなるぞー」


「まぁこの店の主はノワール様ですから、誰を雇おうと口出しはしませんよ」


 マリナさんはカウンターの奥へと行ってしまった。


「おー、普通だったら人族を見ただけで八つ裂きにしたりするのになー。やっぱりミカミは凄いなー」


 ……なんでそんな人を俺に紹介したんだろう。


「ってかここってどこなんですか?」


「だからーここは俺の店だよー」


「はぁ、彼が言いたいのはここは自分が知っている世界なのかってことでしょ?」


 カウンターの奥から透明な水が入った瓶を持ってきてコップに注いでくれる。


「お、マリナ。ありがとうー」


「さ、君も座ったら?」


「あ、ありがとうございます」


 さっき八つ裂きとか聞いたから怖いけど……


「話を戻すけど、君は異界の旅人って呼ばれる人でしょ?」


「い、異界の旅人ですか?」


 全く身に覚えもないし。


 そんな厨二病みたいなアダ名を付けられた記憶もないしな。


「そ、多分君で八人目なんじゃないかな。強いスキルを持った人族が色んな所に現れるからそう呼ばれているみたいよ」


 俺はマリナさんが持ってきてくれた水を飲む。


 そう言えば……俺ってあの謎の草むらにいる前は喫茶店でバイトしてたしな。


 そこで……放火魔みたいなのに焼かれたところまでは覚えてるんだけどな。


「まーなんでもいいよー。俺が気に入っただけだからなー」


「はぁノワール様の三人目の仲間が人族ですか……もうそろそろ自覚を」


「いーの、いーの。俺は代理なんだから」


 ……なんか色々あるんだな。


「代理とはいえ、怠惰の席を任されているんですから」


「分かってるってー」


「それで話を戻しますけど、君は……なにか特別なスキルを持ってるんじゃない?」


「す、スキルですか?」


 スキルか。


 そんなただの高校生が持ってるスキルなんてスポーツが出来るとか家事が出来るとかしかないと思うけどな。


 まぁ多分違うんだとは思うけど。


「まー細かいことはいいのー。……黒の仲間(アグロ・アリオンス)


「なっ! ノワール様!?」


 ノワールさんがなにかを唱えた後……俺の体の周りを黒いなにかが包んだ。


 こ、これは?


 って声が出ない……!


「いいんですか? 異界の旅人は保護するようにと……」


「ミカミは面白いやつだけど……これで死んだらその程度のやつだったってことだよ」


 ま、瞼が重いな。


 ってか暗闇で何も見えないしな……


 これはやばいかも……額とか背中とか軋むように痛いし……


 俺の意識は……そこから途切れてしまった。









「……ここは?」


 目が覚めると俺はベットの上だった。


「あれに耐えきる人族がいるなんてね……」


「なー、ミカミなら大丈夫だって言ったろー」


 うーん、体がだるい。


 水泳をした後みたいな感じで全身がだるい。


「よく耐えたなーミカミー。お前はこれで一人前の悪魔だなー」


 悪魔? 何を言ってるんだろう。


「何が起こったか分からないでしょ。簡単に言うと君は人族をやめたの」


 マリナさんが手鏡を持ってきてくれる。


 そこに映っていたのは……俺?


 マリナさんやノワールさんのように額から黒く細い長い角が生えていた。


 それに……背中から悪魔って感じのコウモリのような翼が生えていた。


「こ、これは?」


黒の仲間(アグロ・アリオンス)……ノワール様だけが使えるスキルよ。簡単に言うと他人を悪魔族に変えるスキルね」


 悪魔族……か。


 俺は額の角を触ってみた。


 確かに……今までに感じたことのない所が触られていて、ちょっとむず痒いな。


 それに……翼も頑張れば動かせそうだしな。


「さて……ちょっと俺は出かけるなー」


「ちょっとノワール様。これから魔王城に出向かないと……」


「それより面白いやつがいるんだよねー。じゃぁねー」


 そう言ってノワールさんはどこか遠くへ……


 もう見えなくなってしまった。


「あ、ミカミ君。……ちょっとノワール様を呼んできてくれない? 場所は多分……あそこね」


 俺はマリナさんにアビールという場所を教えて貰った。


「そ、それじゃあ行ってきます」


「あ、ちょっとまって。速度上昇(グランド・ヴェティス)


 俺の体を青色の光が包んだ。


「これは?」


「速さが上がるスキルよ。これで早く行けるでしょ?」


 よし……飛んでみるか。


 俺は翼を動かしてみる、


「お、飛べるな」


「それじゃあ、真っ直ぐ行けばつくから」


「わかりました」


 俺は何とか背中に生えた翼を動かしながらある切り立った岩の所に飛び立った。

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