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第60話.それ私のだから


転移するとそこは使われていないクローゼットでした。


浴室に出るようにしておいたのに、クローゼット。


あわよくば三原君の全裸接待を受けられるように浴室に出現するようにしておいたのに、クローゼット。


三原君、恨みます。



クローゼットを出て部屋から出ると、三原君とゴリラがソファに居た。



「どうしたの?食べないの?」

「た、食べるよ?」



俺のゴリラじゃないとか言いながら、ゴリラへ餌付けを試みている三原君。ーー私に黙って、私の居ないところで、コッソリ何を食べる気なのかが非常に気になる。



三原君の隣に座り焼き菓子を見ると、某有名店のめちゃうま高級焼き菓子であった。


私に内緒でめちゃうま焼き菓子を食べるとはどういう了見なのか、高級焼き菓子をゴリラの餌付けに使うのはどういう了見なのか問いたい。富豪の戯れ的なものですか?



横でストロベリーフィナンシュを食べるが、ゴリラの餌付けに熱中している三原君は私に気づかない。


私が暗殺者だったら死んでるところだよ。集中するあまり周りに注意を払えなくなるのはいかがなものか。


おそらくマンションのセキュリティに信頼を寄せすぎている弊害なのだろう。『俺んちセキュリティ万全だし?態々この俺が賊に気を付けるとか無駄っしょ?』とか思ってるに違いない。


そんな甘い考えでは長生き出来ないって気づいてほしい。どんなに高度なセキュリティだろうと、破られる前提で日々を過ごし、いつ暗殺者が命を取りに来ても臨機応変に出来るように対策しておかないと。




「指先が冷たくなってるね。」

「そ、そう?」



私が三原君の寿命を心配している横で、ゴリラの指先の心配をする三原君。そんな呑気なことでどうするんだ。もっと自分の命についてしっかり考えてほしい。


ここはひとつ、私がちゃんと注意してあげなくては。



肩に手を置く。



「ふぉあっ!?」

「お楽しみのところ失礼します。」



指が三原君の頬に当たる仕様も忘れない。



じっと私の顔を見てくるが何かついてるのだろうか。フィナンシュでもついてますか。それとも『俺の美しい顔に傷付ける気かこのヤロウ、いい度胸だな』の意ですか?



三原君がゴリラを見た。ーーそう言えば知ってる香りがする。


ゴリラをキュッと絞めて意識を刈り取った。声をかけるタイミングがあと少し遅れていたら危なかった。焼き菓子が。ーー違った、三原君の唇が危なかった。万が一唇を奪われていたら、ゴリラに欲情する男として名を馳せることになってたね。



こうして愛すべき焼き菓子をゴリラの魔の手から救い、めちゃうま焼き菓子の全ては我が手中に収められ満足ーー違うな、三原君の唇を守ることが出来て良かったです。






「つまり、その香水をつけると別人に見えるようになると。」


「うん。それにつけてる人の側に居るとちょっとムラムラする。」



いくら破られること前提とはいえ、ここは一般人に安易に破られるようなセキュリティレベルではなく、かなり高いレベルの三原君の部屋にゴリラが居たのは、飼育しているためかと思ったが、単に香水でゴリラをゴリラと認識していないだけだった。



「ゴリラにムラムラした?」

「おい言い方。まるで俺がゴリラに欲情する男みたいに聴こえるから。」


「違うの?」

「違います。」


「ふーん。」



焼き菓子を堪能し、ゴリラにピアスをつけた後、足首を掴む。



夕食食べていくかと聞かれたが遠慮した。私は気遣いの出来る乙女なのである。




ソロ活動頑張ってください。



三原君のクローゼットから我が家へゴリラ連れで帰り、待っていた相手に渡す。



「これ捨てといて慈狼。」

「了解。」




ゴリラさんの行動を記録したクリスタルを親宛に送っておいたから、親が何かしらの行動をしてくれることに期待しておこう。


もし親も人様に迷惑をかけても平気なタイプだったら、また何か考えなくてはいけないけど。



親はまともだといいな。ーーいい加減三原君のストレスも頭皮が心配なレベルだから。






移動させたのは白檀

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