【5】
「…っん、…っ…はっ…」
触れるだけのキスから、いつの間にか深いものへと変わっていく。
大人のキスに翻弄され、徐々に何も考えられなくなった頃には、ソファに押し倒され制服の上から胸を乱暴に揉まれていた。
「痛っ!止めっ…んんー!」
彼を止めようとする言葉は、聞きたくないとばかりにキスで遮られ言うことが出来ない。
「痛いの!やめてっ…」
彼の様子は、まるで痛がる私を楽しんでいるように見えた。
「良いね。ーー次はこうしてみよう。」
そう言って私の首に手をかけて力をーー
「ーッ!!…ゃめてーっ…って、え、あ…?」
夢!?ーーって、あれ?いつ寝たんだった?
「目が覚めた?」
声にビクッとなった。
「え?え?あれっ?」
何で支配者が私の部屋にーーって、良く見たら寮じゃない!?
「失神したからベッドに運んでおいたよ。」
「失神!?」
「驚いたよ、良い雰囲気になったら失神とか。」
「ごめんなさい!多分緊張で…」
「そうなんだ?俺が力加減間違えたかと思った。」
支配者の手が私の首に触れた。
「…ぅ゛、ぐぅ、う゛…」
苦しい苦しい苦しい助けて誰か助けて苦しい死ぬこのままじゃ死…
~♪~♪♪~
「ーたくない死にたくなぃぃいい!ーーッーーハァ……ハァ………」
見慣れた寮の天井が目に入る。
~♪~♪♪~
混乱したまま通話を押す。
「ママ?どうし『週末は必ず戻りなさい』
「は?え?…って、もう切れてるし。」
ママの声を聴いてどこかホッとした気持ちになる。
「はぁ~………」
大量にかいた汗で濡れたパジャマが気持ち悪い。ーー疲労感に襲われ正直何もする気になれないけど、学校もあるしそんなわけにもいかない。
初めて彼の部屋に入れたと思ったけど、あれも夢だったのかな?ーー今だに生々しく首に手の感触が残っているような気がして、夢だと分かっているのに鏡で首に後が無いか確かめてしまう。
当然だけど、絞められた痕などはなかった。ーーすごくホッとした。
校内で遠くの方に居る彼の姿を発見したけど、何となく近付けなかった。ーー夢だってことは分かってるし、彼があんな人じゃないのも分かってるけど、もしかして目が覚めてると思ってるだけでやっぱりまだ夢でした。ーーっていうのが怖くて近づくのを躊躇ってしまった。