第57話.自由にしていいと言われたらやることはひとつ
午後の授業を受ける気がすっかり失せたので、帰ってオヤツ食べながら映像編集でもしよう。ーーと思ったら背後の空間が裂け、不穏な気配がしたので振り向き様手刀
「フハハッ!そんな生温い動きー」
と見せ掛け腹パン。
「げぼあ」
人前で出しちゃダメなものが出た。
「人前で出しちゃダメなものを見せつけるプレイですか。近頃の若造は羞恥心というものがないらしい。」
「誰かに聴かれたら誤解される言い方やめて!?変態だと思われちゃう!ーー殴られたせいで出したくもないもの出たんだからね!?」
「か弱い乙女が人を殴るわけない。常識的に考えて。」
「いやいやいや殴られたからね!?何かすっげぇ早くて重いの何発も入ったからね!?見なくても気配で俺ちゃんて分かるんだから、普通に振り向いて!」
「分かるからこそああする。」
「俺ちゃん嫌われてる!?」
「背後に現れないように言ったはず。」
「前からだとオッパイ揉みながら耳しゃぶれる確率下がるからヤダ!」
後ろからなら確率上がるような口振りだが、一回も成功していない現実を受け止めるべきかと。
大分前になるが背後から奇襲を仕掛けてきた時、咄嗟に私を庇った灘流が犠牲になったことがある。
キツネ目美少年に耳をカプッとされる美少年ーー奇跡のコラボレーション。
あの感動を何時までも忘れたくなくて、心のシャッターと魔法具のシャッターを切りました。因みに犯人は灘流に半殺しにされた。
「早くちょうだい。」
「いきなりおねだりきたー!よっしゃ、欲しがりさんに俺ちゃん進呈しちゃうぞ!」
「〈雑貨屋〉君の身体を自由にしていいってことですか。」
「してして!さぁ、俺ちゃん家でタップリ愛し合っちゃおうぜぃ!」
「〈雑貨屋〉君の家がどんなか気にはなるが、今日は私の家で。」
「俺ちゃんはどっちでもいいでっす!」
「〈雑貨屋〉君の好みの見た目を選ばせてあげる。」
「うんうん俺ちゃんの好みをーーん???」
「掘るより掘られたい派のための「あっ!!俺ちゃんこの後大事な用事が!さぁ、今回お持ちした試供品をお受け取りください!」
試供品を渡し慌てて去ろうとする〈雑貨屋〉君の腕をガシッと掴む。
「いぃゃぁあああ!勘弁してください!掘られるのはいやぁあああーー!」
「〈雑貨屋〉君はノーマルだったね。いくら相手は人形だとはいえ、男子に掘られるのは怖じ気づくよね。気遣い出来ずに申し訳ない。まずは拡張を」
「気遣い大事だけど俺ちゃんの求めてる気遣いと違うんですけど!?」
「〈雑貨屋〉君の場合、初めてが男子だと敷居が高いだろうから、拡張後は掘りたい女子の必須アイテムで私が掘るから安心するといい。」
「やったー!ついに俺ちゃん達結ばれーーたくないよ!?俺ちゃんの求めてる結ばれ方と違うんですけど!?」
「冗談はさておき、さっさと試供品出して。私も暇じゃないので。」
「俺ちゃん試供品出そうとしてましたよね!?」
「あと欲しい商品あるからそれも出して。注文面倒だから今すぐ出して。ーーもしなかったら腹いせにもぐから。」
「なんか理不尽!?」
欲しい商品をゲットした。