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【2】




あの頃から大分変わってしまったあたしに、彼は最初気づかなかったけど、名前で気が付いたようで、希に顔を合わせた時は、嫌悪感を隠そうともしない顔であたしを見る。


どうして?何でそんな目であたしを見るの?あの日逃げたから?


逃げて謝りもしなかったから?



小心者のあたしは、あんな顔を見た後では、話し掛けることすら出来ない。






「立夏。」

「へっ!?…え、え、あの、…な、何かな?」


「なんだよお前、ボッチ飯か。」


「うっ、だ、だってまだ友達出来なくて。」


「ハハッ、しょうがねぇヤツ。どうせ相手が話し掛けてくれんの待ってんだろ。自分からいけよ。」


「う、うるさいなぁ!人見知りなんだからしょうがないでしょ!」


「お前昔からそうだよな。」




わだかまりなんてなかったみたいに、あたし達は他愛もないお喋りをして、あっという間に時間切れ。



「あ、俺そろそろ行くわ。次の講義、遅れるとうるさいんだよ。」


「う、うん。え~と、またね?」


「おお、またな!」



彼の姿が見えなくなった瞬間、大きなため息を吐く。


またな、だって!また、あたし達仲良く出来るんだ!


そう思うと嬉しくて、ついにやけてしまってもしょうがないよね。







声をかけられた日から、大学で行動を共にすることが増え、遂に初デート!



待ち合わせ場所に行くまでずっと緊張しっぱなしで、逢ってからも緊張でガチガチのあたしに彼が苦笑した。


「何でそんな緊張してんの?」


「だって、だって…」



これって初デートだもんーーと言いかけてハッとする。もしかしてデートと思ってるのはあたしだけ!?そうだったらすごい恥ずかしい!良く考えたら一言もデートだなんて言われてなかった!


あたしのバカバカ!勝手に勘違いしてガチガチになってるとか、ホント恥ずかし過ぎ!



「え、あ、もしかして…デートとか思って?」


うわーッやっぱりデートじゃなかった!ーー慌ててそんなこと思ってないって言おうとしたら



「ごめん、ちょっとからかい過ぎたな。…良かったよ、俺だけがデートだと思ってたわけじゃなくて。実は俺も緊張してたり。」


「嘘、全然見えない!」

「頑張ってそうしてんの!…楽しもうな。」


「うん。」



まだまだ緊張はしてたけど、彼も同じなんだと思ったら嬉しかった。ーーあたしを意識してくれてるってけとだよね?




通りをブラブラしたり、気になったお店を覗いたり、すごく楽しい!



「あっ、見て見て!これ可愛くない?」


「こっちの方が可愛いって。」


「え~、そうかな。ーー?」


「どした?」

「何だか誰かに見られてたような…」


「俺たちがすごく仲良いから、羨ましがってる奴が見てたんだよ、きっと。」


「そ、そうかな?」


「もしくは、立夏みたいな美人さんを連れた俺への羨望?」


「美人!?ばっ、ばか!恥ずかしいこと言わないで!…でも、まぁ、えっと、あ、ありがと。そんなこと言われたことないから、す、すごく嬉しいです。」


「…その顔反則だよ。」

「え?」

「い、いや、何でもない。」


本当はしっかり聞こえてた。えへへ。




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