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第24話.見つめれば想いは伝わる




単調な調べを奏で、夢王国に連れさろうとする教師の声と死闘を繰り広げながら、そんなことを悟らせないように聴いてますオーラを出し、今日のお弁当に思いを馳せる。



苦難の末には幸福が待つのだ。今は辛くても、乗り越えればお弁当が私を待っていてくれる。だから、耐えてみせよう。



お弁当のために。



ただただお弁当のために頑張る。



お弁当のため、私はこの闘いに勝ってみせる。



お弁当が居て私が居る。


私が居るからお弁当が居る。



お弁当は皆のために。皆はお弁当のために。




何言ってるのか解らないかもしれないが、私だって解らない。だから早く授業終わばいいのに。と思ってはみても、なかなか終わらないのが授業というものだ。



チラリと三原君を見れば、先生の話を真剣に聞いている。




真面目か。




常に真面目に生きていて、疲れないのだろうか。



真面目に通学路を歩き、真面目に学校まで行き、真面目に靴を上履きに変え、教室のドアに黒板消しを仕込むこともせず真面目に先生を待ち、真面目な顔で真面目に授業を受け、真面目に先生の話を聞く。



授業を真面目に受けないと死んでしまう病なのだろうか。




生きてて楽しいのだろうか。


何が楽しくて生きてるのだろうか。


世の楽しいことと無縁で死ぬ定めなのだろうか。




三原君がこちらを見ずにスッとノートを私に見せた。



〈批判やめて下さい〉



エスパーか。









授業が終わった時、重大なことに気付いた。



オヤツ忘れてる、と。









使われてないとある教室の掃除用具入れに設置した転移ドア(学校非公認)で、オヤツを取って戻ると、行きにはなかったケバい玄関マットと、踏み台が目についた。




玄関じゃないのに玄関マットが何故ここに?


特に高い位置に取る物もないのに何故踏み台が?



そんな疑問が浮かばないでもないが、これは、そう、アレだ。




踏みなさいという御告げですね解ります。


天井にぶつからないように軽くジャンプし、踏み台に両足で着地しようとして、ウッカリ頭を蹴、いや頭とかないから。踏み台に。端?うん、端ね、端。端っこにちょっと足が当たってしまいグラついたけど、うまく踏み台を踏めた。



「「ぐえっ」」




せっかくうまいこと踏み台を踏んだというのに、踏み台が私を支えきれず、ケバい玄関マットに突っ伏す。



なんて脆い踏み台なんだ。ちょっとした重さも衝撃も持ちこたえられないとは、踏み台失格だな。



この先の踏み台人生が心配になるレベルだ。



こんなんで立派に踏み台というお役目を全う出来るのか気掛かりだな。



誰の踏み台かは知らないが、立派な踏み台になれるようにアドバイスするべきだろうか。



私の踏み台でもないのにアドバイスとか、なんて親切なんだ私。



自分の優しさに感動。



踏み台から降りる際、ウッカリ玄関マットの手、いや、端っこ的なとこを踏んだ。


「痛ッ」




やはりアドバイスはしないでいいや。私の踏み台じゃないし。



限られた時間を、他人の踏み台に割いてる場合ではない。


お弁当が私を待っている。


一刻も早く愛しのお弁当さんのもとへ行かないと。


なので、自力で立派な踏み台になってください。




「おいッ待」



待っててねお弁当さん。






と思ったのにもう1つ授業があった。おかしいな、私の腹時計はすでにお昼だというのに。


私は私の腹時計を信じ、授業なんかこの後ないという結論を出した。




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