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第14話.御宅訪…問…?≪美羽≫



藍蒔に渡されたメモ通り、終点で降りたバス停の側に、人がやっとすれ違えるくらいの幅の吊り橋があり、二対の天使像がその脇に、まるで橋を守護するかのように控えている。



吊り橋を渡り下を見れば、川が大分下に見えるくらい高い場所だと分かる。


歩くたび、なんだかひどく橋が揺れる気がしてならない。



か、帰りたい。




『逢いに来い。』



藍蒔の声が過る。



びくびくしながら橋を進んだ。









橋は三百メートルくらいあった気がする。な、長かった…。



木立を抜けると、バカでかいゴツい門。


門の側には台座に置かれたブルーの石があり、そこに手を置く。



少し経った頃、石が淡く光り門がゆっくりと開き、短めのトンネルを抜けると、中の光景が目に映った。



「嘘でしょ…」



目の前には、延々と続く険しい階段が…。



か、帰りたい。



険しく長い階段に心が折れそうな私の目に、立て札が。



【←足腰に自信のない方はこちらへ】



迷うことなくそっちの入口を選んだ。










そしてすぐさま後悔。



扉を開けたら目の前は壁でした。


正確に言うと、通路ですけどね!



幅2メートルくらいの通路の途中に、扉があったようで、左右に道が続いてるけど先が見えない。


藍蒔のメモを見ても、この場所について特に何も書かれてないんだけど、どういうこと?



所々灯りの灯る通路を取り敢えず右へ…








そして左、右右左右左右…




なんなの!?ねぇ、なんなのここ!



藍蒔の家を訪ねたはずなのに、なんで私迷路に居るの!?



連絡取ろうにも通信魔法具が使えない。



帰りたくても、もはや帰り道が分からない。



これだけ歩いたのに、誰1人見掛けないことに、今更ながら不安が過る。



私、ここから帰れるの…?



このままここで、さ迷って、餓死した後もここに縛られて、永遠にさ迷い続けることになるんじゃ。


そんなことを考えてしまうほど、薄気味悪い場所だ。




人の魔力や生命力を糧にし、少しずつ拡大していく意思ある迷路。


そこに迷い込んだ者は誰1人帰らなかった…




という番組を昨日見た。



魔物が居るような異世界と違って、前世過ごした世界並にこの世界は平和で、魔力なんてものが有るけど、無い人も居て、魔力有り無しで人生やら就職やらで差別されることはないし、特に有利になるとかもない。



魔力が無いと就けない特殊で高給取りな仕事も確かにあったりはするけど、大抵の人は一般職に就くから関係ない。



だから魔力なんて、有れば道具の充電が安上がりとか、物をいっはい詰め込めるバックが使えるくらいの存在だと私は思ってる。(魔力無しは普通の電化製品使用)



そんなわけで、人を喰らう摩訶不思議迷路とか、この世にあるわけないじゃないって、笑いながら観てたのに実在したの…?



昨日のそれを思い出したら、もうここが、そうだとしか思えなくなっていて、ぞっとした。


どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう



こんなとこで死にたくない!


藍蒔の狙いは、私をさ迷わせ、餓死させることだったんだ!


なんて奴なの!許せない!絶対生きて脱出して、藍蒔に復讐してやる!


怒りに支配され、足音荒く前に進んだ。












「もおやだあ~…。どこ歩いても外に出れない。」



ずるずると座り込み膝に顔をのせる。



私また、人生の途中でリタイアなの?



せっかく美少女に生まれたのに、死ぬなんて嫌だ。



この若さでこんなワケわからない場所で、独りで死んだら、長生きして、大勢の美形にちやほやされながら、曜日ごとに恋人作って充実した毎日を過ごすっていう、私の夢が叶わぬままになってしまう。



「…やだよ、そんなの。」


百歩、…ううん、一万歩譲って、夢半ばで命尽きることがあっても、その時は、七人の恋人に囲まれ、その時一番のお気に入りに抱きしめられながら死にたい。






恋人達は悲しくて涙を流しながら、私を見つめる。



そんな彼らに



最期に笑顔が見たいと告げれば、彼らは無理やり笑みを見せる。



泣き笑いの彼らに



皆大好き…と告げ、私は独り旅立つ…




うん、こんな感じが良い!


そして私が死んだ後も私だけを愛し、生涯を捧げて欲しい。



美形だからいろいろ言い寄られるだろうけど、頑として首を縦に振らないの。


だって私だけを想ってるから!



ああ、私ってなんて罪な女なのっ。



皆ごめんね、夢中にさせて。私と出逢いさえしなければ、平凡でつまんない暮らしの中、不細工でしょうもない伴侶と生きていけたのにね。



ほんとごめんね!うふふ…







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