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【2】



休日のヒロ君に始まり、平日の日替り美形男子数名を美味しく頂き、再び休日がやって来た頃それは訪れた。



ピンポーン


ガチャッー


「はぁ~い、どちら様…」


開けたドアを速効閉めようとして阻止された。


「相手を確かめずに開けるとか無用心だな。」


「盗られる物なんて命くらいの一般市民だから、関係ないんじゃね?」


「なるほど。」


「ななななんっなんっで居るのよ!?ちょっと、勝手に入んないで!」


「入るなだと?…ふむ。」


藍蒔がおもむろにノート型魔法具を取り出す。



嫌な予感がした私は速効で阻止して家にあげた。







「…何の用?」



まるで王族のような堂々たる態度で、リビングのソファに座る藍蒔に不機嫌に問えば



「今日はお前に礼を言いに来てやった。」

「は?礼?」


「お前のお陰でいくつかデータが取れたからな。」

「意味解んないし。」



…とは言ってみたけど、嫌な予感しかしない。



「無知で有益さの欠片もないお前にとやかく言ったところで、情報も何も得られないと悟った俺達は、お前が喰いまくる男のブツを直接萩原に観察させるのが早いと結論付けた。」



ノート型魔法具が再生された。



消音再生されたそれには、どこからどうやって撮ったのか、いろいろものすごく疑問が沸くくらいがっつりしっかり重要部位が映っている。



「まだまだデータが欲しいから、これからもその調子で励めよ。」



急に喋った萩原に心底ビクッとした。



え、…ずっと居た……?



玄関で見て、その後一切気配がなくて、てっきり帰ったと思ってた。



何なのコイツ。



急に萩原が得体の知れない人物に感じ、恐怖で身体が震える。




気配消したり、認識阻害の魔法は確かに存在するけど、こんなに完璧に使いこなすなんて、学生のレベルを遥かに越えてんじゃないの!?





暗殺者。






ふとそんな言葉が過る。



良く考えたらあの動画…、私と同じ部屋に居て撮ったとしか思えない。




でも、私知らない。萩原が同じ場所に居たことなんて。…なのに萩原は、確実に私の側に……



口の中がやけに渇いた気がして唾を飲む。




…嫌なことに気付いてしまった。




萩原がその気になれば、誰にも知られず、私なんて容易くこの世から消せるって。



ここには、萩原の仲間の藍蒔だけ。私の家族は留守で、味方は居ない。



今日ここに来たのは、さんざん罵った私を消しにだったら……?




冷たい汗が顔と背中を流れていく。



鏡を見なくても、今の私の顔は蒼白で、酷い有り様だと分かる。



萩原の、感情の読み取れない赤紫の瞳と視線が絡み、知らず後退った。



「おい、お前。」

「な、何よ!」



真実に気付いたことを知られないように、何も知らない顔で強気に振る舞わなきゃ!



「今日の数回の便所時間、長かったな。腹壊してるんだろ?今も漏れそうみたいだし、早く行ってこいよ。」


「はあああーっっ!?ああああん、あんたっ、また私のトイレチェックしてたわけー!?最っっ低っ!このド変態が!今更なんでチェックし続けてんのよっ!」


「今日はたまたまだ。俺が始終お前ごときの便所チェックをしてるとか、勘違いするな!自意識過剰女め!」


「自意識過剰ですってー!?これはそういうんじゃないでしょーが!あんたに気持ち悪い前科があったから、疑われて当然でしょっ。」


「純粋に、ただだだ守りたいと思う気持ちが迸り、見返りも計算もなく、守っていたことが誇りだと言うのに、非難されるとは心外だ。」



憮然としてる意味が解らない。


まるで姫を守る騎士っぽい雰囲気醸してるけど、あんたなんてただの変態でしょーが!



「はぁ~~…」



なんか力が抜けた。



そうよね、こいつはこういう奴だったわ。



ちょっと気配消すのが上手いだけの、只の最低最悪ド変態野郎なだけだった。



こんな奴を怖がるとか、どうかしてたわ。



「早く便所行ってこいよ。」


「…もう治ったからいい。」






その後、労いのマッサージをしてやるという藍蒔に、あっという間にベッドに運ばれ



「お前の敏感な場所はもう分かってるから、今日はもっと気持ち良くしてやるよ。」


甘い声で耳を擽り、知り尽くされた敏感な場所を攻められ、何も考えられなくなった私に藍蒔が



「次の休日――」



よく分からないまま、気付いたら『はい』って返事してた。








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