【5】
屋台が並んでいるところを目指している途中、離れたところに校内巡回中の三原君を発見。
向こうも私に気がついたので、頑張ってねの気持ちを込めて手を振れば、三原君も振りかえしてくれた。
名の知れた店、行列の途切れない店、地方にしか出店していない人気店等が屋台として並んでいるので、どの店の物を食べても味は保証されている。
名が知れていれば知れているほど、行列が途切れなければ途切れないほど、食べるために苦労するような店を呼んで来れれば来れるほど、呼べたクラスーーというか招致出来た人は鼻高々っていうね。
そういう店は呼びたいクラスも多くて被るのもあるが、腕に自信があるのは言うまでもなく、お金出せばOKってわけではないし、食に対するプライドも生半可じゃないうえに説得もかなり骨が折れるので、招致出来ればアイツ交渉スキル高いなという羨望も集められたりする。
美味しい物がたらふく食べられる陽光祭にしてくれる、交渉上手な人々にはとても感謝です。
感謝も捧げたので、何から食べるかを考えよう。
一番食べたい物からやはり食べた方がいいよね。お腹いっぱいになってしまったら、食べたいと思っても食べられなくなってしまうから。
そうは言ってもどれから食べるのか悩む私なのであった
・・・・・
・・・
・・
「「・・・・・・」」
チョコバナナクレープうまうま。
「どうしたの二人とも、クレープ好きじゃなかった?」
「大好きよ?大好きだけどね・・・」
「美味しくなかった?」
「美味しいわよ?美味しいけど・・・」
「美味しいのにあんまり食べてないってことは食欲ないんだね。」
せっかくいろいろな美味しい物食べる機会なのに、食欲が無いとは勿体ないことだ。
「すいませーん、イチゴジャムチーズとーーー」
イチゴジャムチーズ、チョコチーズ、バナナカスタードうまうま。
甘いの続いたからしょっぱいの食べよう。
「すいませーん、チキンマヨネーズとーーー」
「違う・・・そうじゃない。食欲が無いとかそういうのじゃない。」
「なんていうか、もう・・・」
チキンマヨネーズと野菜が合ってて良い感じに美味しい。
「ねぇ、ちょっとおかしくない!?クレープの前にも散々食べたわよね!?なのになんでそんなにクレープ食べれるの!?」
「こっちはクレープ前に少し摘まんだだけなのに、なんかもう十分食べた気になるわ・・・。これだから貴女と一緒に何か食べるのって気が進まないのよ!」
「へー。」
ツナチーズとツナピザうまうま。
人の食べてるところ見たくらいで食べた気になれるとは、意外と安上がりなんだね。私なら誰かが美味しそうな物食べてるの見たら、絶対食べたくなるけど。
「「こんなに食べるのに全然太らないのがなんか腹立つわ~。」」
その後、イリアちゃん一番のお目当てーー新進気鋭の脚本家作ーーの劇を観て、二人は帰っていった。