第78話.三原君のせい
「ムグッーー!?」
育ちの良い三原君は、一度口をつけた物を出すという行儀の悪いことはせず食べた。
「ちょっ、ポテトのまとめ突っ込みとか喉詰まるから!」
「喉に詰まったら、死ぬ前に私が取り出してあげるから安心するといい。」
「全く安心出来ない件。」
チーズバーガーとポテトを食べた後、チョコシェイクを飲む。ーーしょっぱいの食べながら甘いの飲むと、何故こんなにも美味しいのか。
「すばるさん、こっち注目。」
ポテトを食べながら三原君に注目。
「ポテトはまとめて突っ込まない。ーーはい、復唱。」
「ポテトはまとめて突っ込まない。」
「もう一度。ポテトはまとめて突っ込まない。」
「ポテトはまとめて突っ込まない。」
「ポテトは1本ずつ。」
「ポテトは1本ずつ。」
三原君が手を差し出す。私がその手に右手を乗せれば、三原君が頬笑みかける。
手を退けシェイクを飲む。
「1本足は」
「からかさ小僧。」
「ピーチ小僧は」
「リアクション芸人。」
三原君が手を差し出す。私はその手に左手を乗せる。
「良し。」
頭を撫でられた後アボカドチーズバーガーを差し出された。犬か。
ハンバーガーを食べながら雑談をしている途中、ふと、まわりの視線が集まってる気がした。決して自意識過剰ではない。見られてもいないのに、見られてるとか言い出す痛い人でもない。
「三原君が いつものノリでポテト何本入るかなチャレンジなんてしてたから、他のお客さんに注目されちゃったじゃないですか。ここは外なんだから、少しは人目気にした方が良いよ。」
「いつもしょうもないチャレンジしてる人みたいなイメージ作り止めてください。注目されたのは明らかにすばるのせい。」
「どこにでもいるごく普通の乙女の私が、注目とか有り得ない。」
「いやいやいやいや、あんなにあったバーガーが消費されたらチラチラ見ちゃうよ。俺だって初見だったら二度見くらいするからね。」
「三原君は大袈裟だね。」
さも私が大量のハンバーガーを食べたような口ぶりは止めていただきたい。
アボカドバーガー、アボカドチーズバーガー二個、チーズバーガー、ダブルチーズバーガー、テリヤキバーガー二個、チリチーズバーガー二個、マッシュルームベーコンバーガーしか食べてませんよ。