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転生トラック運転手は不憫  作者: あの日の僕ら
第一章 今世の始動
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XXVII 最底辺⑩

 シーマから知らない単語について教えて貰ったが、理解出来なかった。

 地下だとか、闇だとかの単語が説明で出てきたが、余り良いイメージの単語では無いのだろう。


「…分からない?」

「分かる、ない」

「…仕事を手伝ってくれたら、言葉も教えるわ」

「仕事、案内」

「分かった。コッチ、来て」


 仕事を手伝えば言葉を教えてくれるらしい。

 正直教えて欲しいが、ヤバい仕事なら無理してやる必要はない。

 そう考えていると、シーマが歩みを止めた。いきなり止まったものなので、マオはその背中にぶつかってしまった。


「ちょっと。大丈夫?」

「大丈夫」

「あなた小さいんだし、疲れたなら言いなさいよ」

「大丈夫」


 確かにちょっと疲れているかもしれないが、まだ大丈夫だ。

 それよりも仕事の方に興味がある。

 これからあの部屋に戻る訳にはいかないし、帰り道すら分からない。

 流石に宿なしは辛いからな。


「そう。…暗いから、足元に気を付けなさい」


 シーマは横穴の前で止まり、後ろを振り向いて言った。

 横穴はこの空間より、明かりがかなり少ない。

 ここに入っていくのだろうか。


 シーマが躊躇なく横穴へと歩いていく。

 置いていかれないよう、マオはシーマの歩幅に合わせた。


「着いたわ。これを集めるのが仕事」

「…どこ?」


 横穴の途中でシーマが止まった。

 薄暗くて良く見えないが、何もない場所だ。

 土でも集めるのだろうか。


「これ。**ね」


 シーマが見ている方向を良く観察してみると、苔らしきモノがびっしりと生えているのが確認出来た。

 この分からない単語は、苔、なのだろう。


「こ、け。こけ。苔」

「そう苔。これを剥がして集めるの」


 そう言うと、シーマは何処から厚い布を取り出した。

 その布を壁に根を張っている苔の下に配置し、素手で落とし始めた。

 ポロポロと簡単に苔は落ちていくようだ。

 一定量、布の中に苔を集めた後、シーマはそれを折り畳んで懐へ仕舞った。


「これは**作用があるのよ。これは***だから食べちゃだめ。下手すると死んじゃうわよ」

「死ぬ。分かった」

「…そういう言葉は分かるのね。なんとも中途半端な」


 ネガティブな言葉は優先的に覚えたからな。

 そういう言葉に敏感になれば、危険からは遠ざかれることがあるだろう。

 苔は食べてはいけないということは理解出来た。


「終わったから戻るわよ」

「はい。理解」

「言葉ちょっとおかしいね。後で教えてあげる」


 来た道を戻るシーマの後ろに着いていき、先程の空間へと戻る。

 そこまで戻って来るとシーマが振り返って、下から顔を覗き込んできた。


「やっぱり、疲れてる」

「大丈夫」

「大丈夫じゃないでしょ。コッチに来なさい」


 シーマに手を掴まれて、別の横穴へと引かれる。

 疲れているのは確かだが、まだ動ける。

 そんな考えとは裏腹に、マオは大人しく横穴の中へと引き摺られていった。

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