XXVI 最底辺⑨
「ねえ、マオ。何処から来たの?**があるし、西*とか?」
「…分かる、ない」
「分かんないの?」
「何処か、部屋」
「何処かの部屋ね。それ以外は?」
無我夢中で逃げてきたので、それ以外は何も分からない。
質問に答える為にマオは首を横に振り、否定を表そうとした。
だが、目の前の子供。シーマは疑問符を浮かべながら口を開く。
「何?その動き。何か関係があるの?」
意味が通じていない。
いや、ここは異世界だ。質問に対して頷いたり、首を横に振るといったボディランゲージは通用する訳がない。
前世では意味があったかもしれないが、ここでは無意味だ。
そんな無意味な行為を繰り返していると、不審に思われるだろう。
使わないように矯正していくべきだな。
「関係、ない」
「あ、そうなの。踊りを大切にしている部族とかではないのね」
自分のことは良く分からない。
此方から質問しても良いだろうか。
シーマはこんな穴に住んでいるのだろうか。ここで一人なのか。色々聞きたいことが沢山ある。
「シーマ」
「ん?何?」
「シーマ、ここで、何」
「え?あたし?あたしはここで暮らしているの」
「ここ?」
「そう、…色々あってね」
その色々が聞きたいが、なんとなく話したくない空気をシーマから感じる。
自分は空気の読めない男ではない。よって、後回しだ。自然に聞く機会が訪れれば聞く。それで良いだろう。
「親、は?」
「居ないよ」
「同じ」
「マオも居ないの?」
「母、分かる。父、知らない。母、居ない、前から」
「…そう」
文章の構築が甘過ぎて難解な文章になってしまったが、シーマはちゃんと聞き取ってくれたようだ。
まだ会話が完璧には出来ない。早く覚えたいな。
「ねえ、マオ。あなた行く当てはあるの?」
「ない」
「ないのね。…あなた利口そうだし、私の手伝いをする気はない?」
「…手伝い?」
手伝い、とは。
もしかして、ここに住むのだろうか。
行く当てざ無いのは確かだが、流石にここで寝泊まりするのはどうかと思う。
小さい穴からムカデみたいな虫や、バッタみたいな虫が確認出来る。
虫は別に苦手でも無いのだが、寝ている間に口から入ってきそうではある。
「ここ、寝る?」
「ここでは無いわよ。寝床は別の場所」
「…手伝い、内容」
「簡単よ。ここは*****だから、***の材料になる虫や**の**を掘り起こして、売るの」
「…?」
「もしかして、*****って知らない?」
「知らない」
全く分からない単語が山のように出て来た。
中途半端に知識があるせいか、気になって仕様がない。
そんな自分に、シーマは嫌な顔一つせずに詳しく教えてくれた。




