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転生トラック運転手は不憫  作者: あの日の僕ら
序章 前世の記憶
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XII ウラ⑩

「前向きな返事、有り難うございます」


 天野は結局、天使の提案を飲んだ。

 自分が消えてしまうという恐怖や記憶を持って転生できる利点を合わせた結果だ。


「改めて、真凰さんに果たして頂きたい目的をお話しします」

「…ああ」

「真凰さんには、出来るだけ長く生存して頂きます。計画の実行前に真凰さんが死んでしまった時には、私の部下を捩じ込みます。その時にミカエルにバレてしまうかもしれませんが、なんとか誤魔化します」

「…それって何年位なんですか?」

「そちらに転生してから、前の世界の50年程後を予定しています。ですが、それ以上時間が掛かってしまうかもしれません」


 天使が確認を求めてきたので、天野は頷いた。

 ただ生きているだけで良いなら、それで断るほどではない。自分が自殺したいとも思っていないので、これは大丈夫だろう。自分が死ぬ原因になったあの女に復讐したい気持ちも無くもない。


「それでは真凰さんをあちらの世界に送ります。よろしいですか?」

「…え。いや、デメリットとかも説明するのが筋だろう」


 そんな甘い話がある訳がない。

 天野は言葉の節々から、この天使を胡散臭いと思っていた。絶対に話していないことがあるはずだ。

 例えば、転生先が人間では無い、とか。言葉が分からない、といった問題だ。


「…デメリット、というよりは、私には力の限界があります」

「というと、なんだ」

「私には身体を用意することが出来ません。言語理解も付与することが出来ませんし、有効な特典も授けることが出来ません」

「身体が無いのか?それでどうやって生存させるつもりなんだ」

「身体を用意は出来ませんが、次の転生で記憶を失わないよう加工は出来ます。…そして、死産する予定の赤子の身体に入ることになる、でしょう」

「…もう少し詳しく頼む」

「魂の込もっていない、死産する運命にある赤子の身体を利用し、あちらの世界で生を受けます。言葉はあちらで覚えて貰いますが、…問題はその対象を決めることが出来ないことです」

「対象?どういうことだ?」

「転生する場所も、人種も、身体の丈夫さも、選択出来ません。全て運、ということです。運が良ければ長寿のエルフ族でしたり、ドワーフ族に生まれるかもしれませんが、大抵は人族でしょう」


 全てが運。

 天野は生前人には恵まれたが、運が無かった。最悪なのは目の前にミカエルという女が転移してきたことだろう。あれが原因で死んだのに、運が良かったとは口が割けても言えない。


「何知らないで転生するのは酷だろ。少しで良いから転生先の世界のことを教えてくれ」

「…分かりました。お教えします」

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