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転生トラック運転手は不憫  作者: あの日の僕ら
序章 前世の記憶
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XI ウラ⑨

「詳しく教えろ。途中で出てきた縁とか、計画のことをだ」


 苛立っていた天野は、天使に向かって少々乱暴な口調で言葉をぶつける。

 対して天使は、然したるダメージも受けずにその笑顔のまま説明を始めた。


「縁、というのは抽象的な表現ですね。正しくは転生予定の青年と真凰さんの相性が壊滅的に悪い、ということです」

「…それは、悪いことだと思うんだが」

「もし、です。転生先で相対することになっても、心の奥底に、互いに確執があります。真凰さんが説得されて、ミカエルの利になるよう活動されては困ります。その為の、縁、です」


 本来の意味である縁と全く違う意味で使われているのが分かり、天野は更に警戒を強めた。

 この天使がさりげなく使った言葉も、そのまま受け取ることが出来ない、ということになる。

 天野のその考えを読んだであろう天使が、慌てて弁明を始めた。


「この言葉以外は変な意味を込めてはおりません。信用して下さい」

「…」


 天野には、天使の言うことに対して疑念が生まれていた。しかし、変な空間に連れてこられた時点で自分には拒否権がないことを、おぼろげながら理解している。

 自分の同意が必要な理由は知らないが、天使なんて存在は記憶くらいはどうとでも出来そうだ。

 目の前の存在は相変わらず笑みを浮かべている。


「それと、計画の全ては話せませんが。少々ぼかしてなら話せます」

「…それで良いです」

「はい。では、お話しします。私達がそれぞれ動き、ミカエルの弱体化を狙った布石を打っていきます。布石を打ち終わったら、一気に叩きます。以上です」

「…ぼかし過ぎじゃないですか?」


「真凰さんを信頼して送り出しますが、私には思想に影響させるような権限は持っておりません。要するに、あちらの世界で拷問されても口止め出来ません。なので、具体的なことは話せないのです」

「…拷問?」


 突然出てきた不穏なワードに、天野の思考が止まる。なぜ拷問なのか。

 その答えは、考えを読んでいた天使が口を開いたことで出された。


「ミカエルを信仰する信者達ですが、彼女を心酔している者ばかりです。なので、真凰さんがあちらの世界で計画を吹聴して歩くのは非常に危険です。捕らえられて異端審問に掛けられ、最悪ミカエルに通じます。その最悪の事態を避ける為に、詳しくは教えられません」

「…そうですか」

「座標としての役割を果たして貰う為に、真凰さんには出来るだけ長く生存して貰う必要があります。…改めて聞きます。受けて頂きませんか?」


 明らかに文明のレベルが低い世界だ。それに、天野は既に一度死んでいるので、興味も薄い。

 そこで、天使が口を開いて、天野を揺さぶる言葉を投げ掛けた。


「断るのは自由ですが、その場合は真凰さんの記憶、人格は削ぎ落とされ、新しい人生を迎えます。転生先は前の世界とは限りませんし、何も出来ないまま死ぬこともあります。…記憶があるからこそ、避けられる死もあるかもしれません」

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