第一話 離島奪還訓練
久しぶりの投稿ですがペース的にはこんな感じになりそうです…
この訓練において日本国防軍は持てる戦力のうち以前から防衛任務についていた護衛艦クラスを残し、ながと級巡洋戦艦全艦並びにやまと級戦艦全艦、そして近年就役したばかりの特殊工作揚陸艦「しが」「ながの」を参加させるという有力部隊のほぼ全力出撃で訓練に臨む。これには大部隊運用のノウハウ取得の意味も含まれる。特殊工作揚陸艦には水陸両用師団1個師団とそれに随伴する10式戦車1個大隊48両が乗艦している。艦隊が全て集結し小笠原諸島沖約150km西を通過したころ突如気象レーダーに巨大な影が出現した。しかし目の前は眩しいほどの快晴である。嫌な感覚を覚えたやまとに乗艦し、司令部を置く艦隊司令の石原大将は進路変更を命じようかと思ったが航海参謀らに訓練日程が狂うと言われ仕方なくその嫌な予感を抑え込み、頭の中で反芻していた。
影が出現して15分ほど経ち、全艦隊が影の中に入りきったその瞬間異常を知らせる警報音がCICに鳴り響く。
石原「どうした!何が起きた!報告せい!」
CIC要員「全レーダーシステムおよび通信システムダウン!衛星通信、データリンク、GPS全てが使用不能!」
石原「わかった、落ち着こう。各部損害はないな?」
CIC要員「はい。負傷者および損傷は報告されていません。」
石原「よし。各艦に発光信号!各艦陣形を保持しつつ冷静に現海域を離脱!システム回復に努めよ!」
30分ほど航行し例の巨大な影の予想範囲から離脱すると電子システムが回復し始めた。石原はほっとしたがあることに気付く。
石原「なぁ、なぜGPSと衛星経由のリンク16が使えないのだ?システムトラブルなら至急対処すべきだと思うのだが…」
CIC要員「ネガティブ。システムトラブルはありません。全システムオールグリーン、異常なし。」
石原「ということは通信トラブルか電波障害か…」
CIC要員「それが…衛星自体を捕捉できません。それも全てです。さらに言うと民間航路の航空機、船舶の類も確認できません。」
石原「おいおいなんだぁそりゃ。俺らはタイムスリップでもしちまったのか?」
CIC要員「いえ…なんとも言えませんね…。」
やまと艦長吉崎大佐「…司令、意見具申よろしいでしょうか。」
石原「うん?吉崎君なにかあるのかい?」
吉崎「はい、偵察としてながと級一隻と随伴護衛艦4隻を本土方向へ出してみてはいかがでしょうか。もし仮にタイムスリップしていても人はいるはずです。こちらには食料と燃料の予備も十二分にあります。政府があるかどうかはわかりませんが対話を試みて我らの居座りどころを決めないと…」
石原「なるほどな、たしかにその通りではあるな…わかった、副司令、君にこの艦隊を一時的に預ける。わしはながとに乗り移りあちらで交渉をしてくる。艦隊は硫黄島に停泊すること。」
副司令飯島中将「謹んで承りますが危険では?」
石原「たしかにそれはあるがもし過去にタイムスリップしたなら、もし攻撃されても防御するだけならながと一隻でも第二次大戦時の機動部隊を相手に圧勝できるはずだ。それに話し合いになった時に最上級指揮官がいないと厄介だろう?」
飯島「まぁ…その通りではございますが…」
石原「まぁそう心配するな、なるようになるさ」
この後、移乗した石原司令率いるながとを旗艦とした偵察分遣艦隊は進路を北に取り、日本本土横須賀を目指すこととした。