出会い始まり
「へい、らっしゃい!今日も安いよー!」
「お兄さん、うち寄っていかない?サービスするよ♡」
漫画やアニメのなかでしか見たことない顔や耳のいろんな種族が共存していた。
「おおぉぉぉ!!!きたきたきたーーー!!ここから俺の冒険が始まるのか!!」
いき揚々と気合をいれていたのだが
あることに気が付いた。。。
「あれ・・・俺って装備とかなにもなくね?こんな寝間着姿でどうやってモンスターたちと戦っていくんだよ!!」
そんなことを嘆く
「あ!そうか!ステ振りがきっとすごいんだな!!でもそーいうのって何で確認するんだ?」
つぶやきながら歩いていると
「あら、見慣れない顔ですね。何かお困りですか?」
「え、えっと・・・」
やばい、女性と接することが今までなかったせいで女性に対しての免疫が皆無なのが恨めしい。。。
「その、自分冒険者になりたいんですけどどうしたらいいですかね?」
「あら、この街まで来たのに冒険者カードを持っていないんですか?」
「え?それは、どういう意味でしょうか?」
「この街は最も強いモンスターたちに囲まれた強者のそろう街。その名もエングライド!!」
「え、、、えええええぇぇぇぇぇええ!!!」
普通こういう異世界転移的なものって始まりの街とか辺境の小さな村から始まるものじゃないのか?
いきなりこんなところから始まるなんて鬼畜げーにもほどがあるだろ!
心の中で愚痴をこぼしていると
「冒険者になりたいんでしたね。それならこの先にある冒険者ギルドに行くといいですよ。強者が集まるとは言っても、『どんな人、種族にでも親切に』がこの街のモットーですから!困ったときはこの街の人になんでも聞いてくださいね!」
「は、はい。ありがとうございました。」
そうお礼を言い、その場を後にした。
正直いろいろと驚きがすごすぎて、まだ少しパニックになっているが・・・
「それにしてもさっき道を教えてくれた子かわいかったなぁ」
また会えないかなぁなんてそんなことを考えながらギルドへと向かった
景色を横目に歩き続け、気が付くとギルドについていた。
三回深呼吸をして
よし、入るか。
カランカラ――ン
入口の鐘が鳴ると同時に
「こんにちは。見ないお顔ですね?本日はどうなされましたか?」
とてもナイスバディな女性が声をかけてきた
きっとこのお店で働いている受付嬢かなにかだろう。
「えーっと。冒険者登録をしたいのですが・・・」
「はい。かしこまりました。それではこちらへどうぞ」
誘導されるがままにナイスバディなこの受付嬢らしきお姉さんについていくと
「こちらのカードのほうを舐めてください。」
なんの曇りもない笑顔で驚きを隠せないことを言い出した。
「え。舐めるんですか?」
「はい。」(にこっ)
「本当に舐めるんですか?」
「はい!」(にこっ)
「本当に本当に、舐めるん、ですか?」
「本当に本当に舐めるんです」(にこっ)
なぜ舐めないといけないんだ
水晶とか魔道具とかそういうのがセオリーだろ
「早く舐めてください。」
「わかりました」
もう舐めるしかない。
スーーハァー
よし。
決意を固めるとカードを手に取りそのままカードに舌をのばし
ぺろっ
俺はカードを舐めた
するとカードが光だしカードには自分の名前とその隣にレベル1と書かれ、六角形の図にその端々にパワー・ガード・スタミナ・スピード・テクニック・?と書かれていてそれぞれに能力値のパラメータが表示されている。
ん、待てよ、おかしなのがあったぞ?
「あの、この『?』ってなんですか?」
「あれ、おかしいですね。普通はテクニックまでの五つなんですが・・・しかもその『?』にすごいパラメータの数値が伸びてますね。」
「え。なら俺のカードが壊れてるんですかね・・・」
「そんなはずは、、、きっと大丈夫ですよ。これは隠された力かなにかなのでしょう」
お姉さんは少し苦笑い気味で答える。
かなり不安だが、どうすることもできないのでそのままにしておくしかないな・・・
「って、今はそんなことはどうでもいいんだよ!!ステ振りに期待していたのに、わけのわからない『?』以外はごみじゃねーか!!!」
俺はいったいどうやって冒険していけばいいんだろう。
どうやってモンスターたちとわたりあっていけばいいんだ。
ましてやここは強いモンスターに囲まれた街、おかしすぎる。
いくらなんでもおかしい、鬼畜ゲーを通り越してムリゲーでしかない。
「いったい・・・どうしたらいいんだーーーー!!!」
カツン。カツン。。
「少年よ、なにを嘆いているのだ?なにかお困りかな?」
紅く美しい長髪をなびかせて彼女はそう話しかけてきた。
「は、はい・・・実はこの街にきて冒険者になったはいいんですけど、装備もないし右も左もわからない状態でして・・・」
「ふむ。それなら私とパーティを組まないか?今ソロでやっていて仲間を探していたところなのだ」
「ほ、本当ですか!?」
「あぁ、それに君にはなにか特別なものを感じるのだ。」
なんだこのうれしすぎる展開は
この話は断る理由がない。
「ありがとうございます!ぜひパーティを組ませてください!」
「そんなに改まることはない。これからは仲間なんだ、気楽にいこう!そうだ、名前を聞いていなかったな」
「名前は山田伸!よろしく!」
「やまだしんか。いい名前だな!わたしはハーク・レインだ。よろしくな!」
こうして俺たちはパーティを組みギルドを出た。
俺としてはかなりラッキーだったな!
「これで少しは目の前が明るくなったぞ」
「なにをぶつぶつ言っているんだ?」
「あ、いや、なんでもないよ!それよりこれからどうするんだ?」
「とりあえず武具を調達しに行こう」
「え、でも俺は武具を買うお金なんてないぞ?」
「大丈夫だ!わたしの行きつけの鍛冶屋があるからそこでなにか譲って貰えないかきいてみるつもりだ」
「本当か!ありがとう!助かるよ!」
「まぁ、あまり期待せずにいてくれ」
そうして俺たちは鍛冶屋について中に入ると
「おいおい、おっさん。はえーところ武器出してくれよ」
二人組の男たちがなにやら言っているようだ
「で、ですがお客さん。この金額ですとお出しできる武器はありません・・・」
「なんだと?お客様である俺たちに武器は売れないってのか?」
「い、いえ、そういうわけでは・・・」
お店の人が対応に困っていると
「おい!貴様ら!」
そういうと同時にレインが男たちに向かって腰に備えていた剣抜き取り目の前に突き立てていた
「おいおい。俺たち相手にそんなので勝てるつもりか?」
「ハードバインド」
さっきまでなにも喋っていなかったもう一人のほうがスペルを呟くように唱えると
「な、なに、、」
レインは動けなくなっていた
どうしようどうしようどうしよう
俺は一体どうしたらいいんだ。店の人も見るからにどうしようかという顔をしている。俺はなにもできやしないのか。
「残念だったなぁ。俺らが相手なのが悪かったんだよ」
男が手にとったナイフをレインに近づけた瞬間、頭に言葉が響いた
「リターンエイト」
その言葉を俺はとっさに口に出した
「あ、あれ、なんで」
男たちはさっきまでのレインのように動けなくなり、レインは逆に動けるようになっていた。
レインは動けるようになると男たちをボコボコにして放り出した
「ありがとうシン!助かったよ!まさかあんな特殊スペルがつかえたとはな」
「俺からも礼を言わせてくれ!ありがとうな!」
「いやいや、俺はとっさに思い浮かんだことを口に出しただけで」
「それでもすごいよ!兄ちゃん!特殊スペルはそんな簡単に扱えるようなものじゃないからな」
「その特殊スペルってのはなんなんだ?」
「知らないのかシン?」
「特殊スペルってのはな、スペルを返したり打ち消したり、他にもいろいろあるが、まぁそんなもののことだ」
「とっさだったとはいえ、そんなもがつかえたのか」
俺は自分に驚いていると
「とはいえレイン、なんか用があってきたんじゃないのか?」
「そうだった!紹介が遅れたな、この男はわたしの仲間のシンだ。そしてこっちの男はここの店主のキーンさんだ。シンは冒険者になったばかりで武具が無いのだ。なにか売れ残ったものがあれば譲ってもらえないか」
「そーいうことか!それならお安い御用だ!さっきは助けてもらったからなこの店のものから選んで持って行っていいぞ」
「ほ、本当ですか!?」
キーンさんは笑いながらうなずいた
俺はさっそく武具を選ばせてもらった
「ありがとうございましたキーンさん!」
「礼はいいよ。そのかわりこれからはひいきにしてくれや!」
「はい!」
「では、またな」
俺とレインは別れを告げ店をでた
仲間もできて武具もそろったし、ここからが
「冒険者生活のはじまりだーーーー!!!」
「まさかあのレインに仲間ができるたぁな」