優斗さんはお怒りの様です
段々と青い光が収まっていき僕は目を開けた。
ああ、僕を脅かす為に嘘をついたのかと少し期待したのに視界に映ったのは黒い鎧を着てこちらを見てきている明らかに人間ではないだろう人達だった。
「くそ〜騙された。何がてへ、だ絶対に初めからわかってただろ。あんな喋り方でてへ、とか言うなよ。なんなんだよあいつ」
僕がペチャクチャと文句を言っていると、一人の男の人が近づいてきた。
「少年よ何の用があって我らの魔界へきた!そしてどうやって転移石を使った!」
「え?来た理由?そんなの無いよ!僕は人間の街へ行きたかったんだよ!なのにあいつが間違えたせいで(絶対わざとだろ!)来ちゃったんだよ!くっそ〜次会ったら絶対文句を言ってやる!」
何故ここに来たということを聞かれたことによりあいつのせいでこんなことになっているということを再認識してつい怒鳴ってしまった。
僕に質問してきた男の人は少し引いていた様だがすぐに
「もう一つの質問にも答えてもらおうか!どうやって転移石を使った!」
と聞いてきた。ああ〜うるさいなー。僕は今イライラしてるんだよ。
「転移石をどうやって使った?ただ触れただけだよ!」
僕がそう答えると男の人が
「どうしても喋らんか・・・ならば死ね!」
と切りかかってきた。
この瞬間ここにいる魔人族が優斗のやつ当たりに付き合わされることが決まった。
まず僕は冷静に抱えていた木の枝を一本取って襲いかかってきた男の方へ振る。
それだけで木の枝は粉々になり襲いかかってきた男の人は首を落とされてその場に崩れ落ちた。
「木の枝を持っていてよかった」
これで僕のイライラを発散できる。
静まり返った空間に僕の声が響いた。
そして始まったのは一方的な虐殺だった。
逃げ惑う黒い鎧を着た人を鎧ごと真っ二つにしたり、二人一気に切り裂いたりを繰り返し続けた。
そして・・・「あっ」逃げていた鎧を着た人をソニックブームで切った後枝を取ろうとしてもう無いことに気がついた。
周りを見るといくつもの死体が転がっていた。
首が取れていたり上半身と下半身が分かれていたり真っ直ぐ切られていたりと無惨な光景が広がっていた。
どうやら僕は怒りの沸点が少し低いみたいだ。そしてここに来て人のような生き物も殺すことにあまり忌避感がなくなってきている様だ。
遠くを見ると生き残ったのか一直線に走っていく人影が見えた。
僕はそれをほっておいて帰ることにした。
このせいで後にすごく面倒くさいことになるとは知らずに。
僕が転移石に触れるとまた青く光り出して気づいた時にはあの神殿の様な場所にいた。
そして僕があの声に文句を言おうと前を見た時、「お〜い」という声が聞こえた。
そこには巫女の様な格好で立っている幼女がいた。
「誰だ?」
僕は誰かわからず質問をしたのたが
「儂じゃよ儂。それにしても生きておったか。というかなぜそんなに血だらけなんじゃ?」
という声を聞いて分かった。
この幼女はあの声が実体化した姿だと。
「なにがあったんじゃ?」
と聞いてくるこの見た目だけの
「見た目だけとは何じゃ!わしは体も心も永遠のニ十代じゃぞ!」
僕は思っていることがだいぶ声に出やすいらしい。あとそんなジジイみたいな口調で心もニ十代とかなに言ってんだよ。見た目も大人じゃなくて幼女じゃん。
「なにがあった?あんたのせいで魔界へ送られてしかも襲いかかられたんだぞ!」
「お、おい、なんでそんなに怒ってるんじゃ?」と少し怯えた様な声が聞こえた。
「当たり前だろ!人間の街に行けると思ったら魔界に送られたんだぞ!怒るに決まってるだろ!」
「え〜と、その血は?」
「全部返り血だよ!」
ニコ「一発殴らせて」
「嫌じゃよなんでわしが殴られないといけないんじゃよ」
即答だった。それでも一発でも殴らないと気が済まない僕は頼み続けた。
すると急に見た目だけ幼女のBBAがニヤ、と笑って「どうしても殴らせて欲しければこやつらを倒して見よ」そう言いながら手を振った。
すると横にあった二体の石像が動き出した。
片方は剣を、もう片方は斧の様なものを持った巨大な人型の石像だった。
そして石の剣を持った方の石像が剣を振ろうとした直後
「ちょっと待って」
「どうした?怖気付いたか?」
ニヤッと笑ってそう言ってきたのを聞いて思わず怒鳴りそうになったが抑えて
「いやちょっと武器を取ってきてもいい?」
「いいじゃろう。しかしここらには武器屋なんて無いぞ?もしやそこら辺に落ちてる木の棒で戦おうってわけじゃ無いじゃろ?」
そんな声が聞こえたが僕は黙って木の枝を拾いに外に出た。そして近くにあった持ちやすい形の木の枝を3本拾ってもう一度中に入った。
するとあの見た目だけ美少女が驚いた様な顔をしていた。
「本当にそんなので戦うのか?」
「そうだよ。これだけで十分だもん」
「その自信はどこから来てるのじゃ?言っとくがこの石像は並の剣じゃ擦り傷さえつけることができないほど硬いんじゃよ?」
「まあやってみなくちゃわかん無いじゃん」
「よし、分かった。その自信捻り潰してやろう。それではわしが始めと言ったらスタートじゃよ」
「それでは・・・始め!」
その声が聞こえたと同時に僕は一本の枝を剣を持った方に振ってもう一本の枝を斧を持った方に振った。
僕の放ったソニックブームは一直線にあの石像に向かっていきそのまま石像を真っ二つにした。
そして石像の上半分が落ちていって神殿の様な場所にガゴーンという3つの音が響き渡った。
「はい終わり。ね?木の枝だけでよかったでしょ。」
そういって僕が見た目だけ美少女の方を見ると、目を丸くして顎の骨が外れそうなぐらい大きく口を開けていた。
「おーい」と声をかけ続けていたら数秒後やっと再起動した見た目だけのBBAがすごい勢いで聞いてきた。
「な、なにをしたんじゃ?どうやったら木の枝であんな威力が出るんじゃ!」
「何をしたって、ただ木の枝を振っただけだよ?」
「嘘をつけ!木の枝を振っただけでわしの自信作のあの石像が壊れるはずなかろう!しかも明らかに木の枝が届く距離じゃなかったじゃろ!」
「はあ〜仕方ないから教えてあげるよ。木の枝を振ったあとにソニックブーム的なやつが出てあの像を切ったんだよ。」
「そにっくぶーむ?なんじゃそれ?訳のわからんことを言ってないでちゃんとした説明を頼むのじゃ。」
「ちゃんと説明してるよ!ソニンクブームっていうのはいわゆるう〜ん、《ウインドカッター》と同じ様なものだよ。」
「そんな訳なかろう!《ウィンドカッター》ではこんな威力は出せんわ!」
「だからこれは《ウィンドカッター》じゃなくて似た様なものを飛ばしてるだけで《ウィンドカッター》とは違うんだって。」
そう言ってもまだわかっていない様だったので適当に言った《ウィンドカッター》が本当にあったことに少し驚きつつ説明を続けた。
そして数分後やっと理解してくれた。(老化が始まってるんじゃ無いだろうか?)
「じゃあ約束通り、切られるか殴られるか土下座するか選んで。」
「ちょっと待ってくれ、選択肢が増えてる様な気がするのじゃが?」
「気のせいだよ。一番目が良いんだよね? 」
そう言って最後の一本をロリババアに向ける。
「嫌じゃよ!どうしてわしが切られないとダメな「一番が良いんだよね?」
「だから嫌じゃと「一番が良いんだよね?」どうしてそんなに切りたがるんじゃよ!どれか一つをすれば許してくれるんじゃろ?三番目!三番目の土下座というものをするのじゃ。」
「・・・」
「・・・」
「早くやってよ。」
「やり方がわからぬのじゃが?」
「早くやってよ」
「だからやり方がわからぬと言って「早くやってよ。」ええいうるさいわ!お主なんなのじゃ?先程から壊れた人形の様に同じことを何度も何度も言いおって。」
「誰のせいでこんなに言ってると思ってんの?」
「儂なのか?儂が悪いのか?」
「ハァ〜、仕方ないなあ、土下座っていうのはね?こうやって正座をして両手をついて頭を地面につくぐらいまで下げることを言うんだよ。わかった?」
「え〜となにをどうするって言ったんじゃ?」
本当に老化が始まっているんじゃ無いだろうかこの人?
「うるさいわ!お主が早く言うから聞き取れんかったんじゃろうが!」
おっと、また思っていることが漏れていた様だ気をつけないと。
「分かったよゆっくり言うよ。」
スゥーーー
「こ〜う〜や〜っ〜て〜り〜よ〜う〜て〜を〜スゥ〜ゆ〜か〜に〜つ〜い〜て〜「お主、極端すぎるじゃろ!なんでそんなにゆっくり言うんじゃよ!」
「え?あんたがゆっくり言ってくれって言ったからゆっくりしてたんだよ?」
「だからってそんなに極端にゆっくりにしなくてもよかろう!」
「え〜、聞き取りにくいって言ったから聞き取りやすく言っただけなのに」
「最初の方が聞き取り易かったわ!」
文句ばっかり言いやがって。
本当に切ってやろうか。
「分かった悪かったのじゃ、土下座というものをするので切らないで欲しいのじゃ。」
「じゃあ今度教えてわからなかったら切るからね?」
「わ、分かったのじゃ」
「こうやって・・・・・・・・・・・・・・
」
そのあと土下座のやり方を理解してもらうのにニ時間ほどかかった。
教えている途中で何度切ってやろうと思ったことか。
それを我慢して教えた成果がこれだ!
ダン!「申し訳ありませんでしたなのじゃー」
そこまで教えていないのにジャンピング土下座をしてきたのでチョッピリだけ許してやろうかなと思った優斗であった。
すいません!1日1話投稿と言っていたのに投稿が遅れてしまいました。
1日1話は投稿できない日があったりして無理なのでできるだけ間を空けずに投稿していきたいと思います。