優斗転移石で魔界へ行く
・・・魔人族視点・・・・・・・・・・・・
「今こそ我ら魔人族が人間共を支配する時!
これはその第一歩だ。今までは我らの住む魔界とあの忌々しい人間共の住む人間界を切断する境界の森を抜けられず我らは攻めることができなかった。しかし今は違う!我らは人間界へと行くことが出来る転移石を見つけた!そして今日が記念すべき人間界侵略始まりの日だ!手始めに我らは国を一つ落としに行く!」
大きな声でそう喋っているのはこの軍を指揮
していると思われる魔人族の男だ。
そしてそれを聞いて雄叫びをあげているのは黒づくめの鎧を装着し同じく全身が黒く空で静止している竜や地龍といった魔物に乗った魔人族の兵士達である。
指揮官と思われる魔人族は話続ける。
「忌まわしき人間共に我らの力を示せ!人間など恐るるに足りん!それでは・・・行くぞ!」
そして魔人族の兵士達が転移石に触れる前に転移石が青く光った。
「な、なんだ?」
兵士達が疑問の言葉を言っている間に光は段々と収まっていき兵士たちが構えている中現れたのは・・・木の枝を抱えた一人の少年だった。
「「「「は?」」」」
魔人族の兵士たちは混乱した。勿論指揮官の男も含めて。なぜなら少年が一人きただけだったからだ。
転移していたと思われる少年はそんな混乱している兵士たちを無視して独り言を言っている。
「くそ〜騙された。何がてへ、だペチャクチャペチャクチャ・・・」
「なんだこいつ?人間じゃないか?」
ふと少年を見た兵士の一人がそう呟いた。
それを聞いてあの指揮官の様な魔人族の男が
「人間だと?なぜここに。まあいい血祭りに上げてやろう!」と剣に手をやりながらその
少年の前まで歩いていった。
そして少年の前まで来たその魔人族の男が問うた「少年よ何の用があって我らの魔界へと来た!そしてどうやって転移石を使った!」
転移石は魔力が人間の数十倍はある魔人族でも十人ほどが限界まで魔力を注ぎ込んでやっと使かうことが出来るという代物だったのだ。
そうすると人間が使おうとすると万単位の魔術師が必要になるのだ。そんなことをしてまで送るってきたのがなんでお前一人だけなのかなどを聞きたかった指揮官の男だったのだが聞かれた当の本人は
「え?きた理由?そんなの無いよ!僕は人間の街に行きたかったのにあいつが間違えたせいで来ちゃったんだよ!くっそ〜絶対次会ったら文句を言ってやる!」と急に誰かに怒り始めた。指揮官の男はそれを見て若干引いていたがすぐ気を取り直して
「もう一つの質問にも答えてもらおう、どうやって転移石を使った!」
「えっ?転移石をどうやって使った?ただ触れただけだよ!」
こいつは嘘をついているな。こんな少年がたった一人でしかも触れただけで転移石が使えるなんてありえん。というかこの小僧は何故こんなにも怒っているのだ?
彼|《優斗》は本当のことを言っているのだがこの魔人族の男はそう勝手に解釈した。
「どうしても喋らんか。・・・ならば死ね。」
もう聞いても何も喋らないだろうと言い終わったとともに魔人族の男は少年に斬りかかった。
周りでは「こいつ死んだな。」などと話して誰もその指揮官の男の勝利を疑わず侵略に行った時に誰が何人人間を狩れるかなどで掛けをしている奴もいた。
そしてその指揮官の男自身も自分の勝利を確信していた。俺がこんな人間の小僧にやられる筈がないと。
そして切り掛かった時、一瞬少年の腕がぶれた様に見えその後すぐ視界が斜めにずれていった。
指揮官の男は自分が何をされたのかを最後までわからずに死んだのだ。
「木の枝持っといてよかった。」
ここにいる全ての魔人族が静まり返った中少年のその声が聞こえた。
時は数分前に遡る
・・優斗視点・・・・・・・・・・・・・・
どうにか腹痛との戦いに勝利した僕は川に沿って歩き始めた。
「はあ〜あの忌々しい肉のせいでだいぶ時間をロスしちゃったじゃないか。早くこの世界の街に行きたいのに。ほんと何であんな怪しい肉食べちゃったんだろー」
もう多分昼頃だ。
僕は昨日食べた肉に文句を言いながら歩いていた。
グゥゥゥ。僕のお腹から大きな音がなっている。
「お腹減った〜。」
僕はお腹を壊した後から何も食べていないのだ。
僕はお腹を押さえながら何か食べられるものはないかと探しながらあるいていた。
そして木の根元の方にキノコが生えているのを見つけた。
それは何とも毒々しいカラフルな色をしていた。
僕は心の中でこのキノコを食べようか悩んだ後空腹に負けてそのキノコを食べた。
「うまッ!」
恐る恐る食べたキノコはすごく美味しかった。
それから僕はそのキノコを見つけては食べていた。
翌日
僕は目を覚まし身体中の軽い痛みを我慢して立ち上がった。
そして構えても意味ないだろうけど腹痛に備えて構えた。
・・・痛くない。食べても痛くなかったぞ。
やった〜これでキノコだけだけど体の不調を起こさない食べ物を見つけた!
安全?な食べ物を見つけた僕は意気揚々と歩き出した。
そしていたるところに生えている毒々しいカラフルな色のキノコを集めていった。
そして一際大きなキノコを見つけた。
何だこれ?まあいいか同じ様な模様のキノコだし食べても大丈夫だろう。そして僕は少し歩いたところでキノコを食べ始めた。
まずあの大きなキノコから、次は他のより少しだけ大きくなっているキノコお〜うまい。次は・・・
全部食べ終わった僕はまた歩き出した。
そして少し進んだ時何かの建造物を見つけた。近づいてみると何やら大きな龍の彫刻が彫られた扉がある神殿の様な場所だった。
僕が近づくとゴゴゴゴゴと重い音を立てて勝手に扉が開いた。
僕は自動ドアかよなどと考えながら歩いてきた。
そうすると急に声が聞こえた。
「よく来た勇者よ。さあ転移石を使い魔界へ行くのだ。」
ん?勇者?「おーい誰か〜?僕は勇者じゃないよ〜」僕がそう言うと「え?」という声が聞こえてきた。
そして独り言が聞こえてきた。
「あれ〜あの扉は勇者じゃないと開かないはずなんじゃがの〜。」
「え?僕が近づいたら勝手に開いたよ?」
僕が本当のことを言うと「え?嫌々そんな訳ないであろう。あれ石の扉じゃよ?自動で開く訳ないではないか。」どうやら信じていない様だ。
ならば、もう一度通って自動で開くところを見せてやろう。見えてるのかは知らないけど。
僕が近づいていくとまた勝手に扉が開き始めた。ゴゴゴゴゴという音が響いて「嘘じゃろ。」という声が聞こえた。
そして慌てた様に「やっぱり勇者じゃろ。」
と言ってきた。
いやいや僕はこの森で迷子になっているただの高校生です。
「こうこうせい? なんなのじゃそれは」
「えっ?もしかして声に出てた?」
「普通に出ておったわ!」
どうやら僕は思っていることがたまに声に出てしまう様だ。
「それで僕に何をさせようとしてたの?」
疑問に思ってそう聞くと「魔界に行って魔人族を全て殺してもらおうとしたんじゃ。」
「なんでそれを勇者?がやらなくちゃいけないの?」
「それはただのこうこうせいとやらのお主には教えられん。」
「えーケチだな〜。」
「うるさいわ!」
「はあ〜それでは仕方がないのでお主を人間達の住む場所まで送ってやろう。前にある石に触れるがいい。」
僕が声に従って前を見ると謎の字が彫ってある二つの大きな岩があった。
「右の岩?それとも左の岩?」
「え〜と確か右だった様な、後それは石じゃ。」
え〜岩でしょ。まあ右の岩「石じゃ!」・・・石に触れたら人が住んでるところに行けるだったらさっさと行こうかな。
よし「さようなら。」「うむ、さらばじゃ。」短い別れの言葉を言った後(言う必要あったかな?)僕は右の石に触れた。
その途端石が青く光り出して視界が全部青い光で覆われ「あっ、間違えた。そっちは魔界に行く方の石じゃった。てへ。」
そしてその言葉を聞いた直後僕は青い光に完全に包まれた。
「なんで間違えるんだよー!」
僕のその絶叫が届くことはなかった。
今回は少し長くしてみました。
段々と長くなってますね。