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ドリームゲーム  作者: 虎の子太郎
8/9

第7話

4月初旬は多忙で、疲労のせいか夢を見ることがほとんどなくなっていた。


4月19日。この日は久しぶりに夢を見た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー「あら、久しぶりね。」



誰だっけ。



ー「忘れてしまったの?今思い出させて上げる。」


目の前の女性に肩を叩かれた瞬間、走馬灯のように記憶が蘇った。



ああ、どうしてこうも夢の記憶って簡単に忘れてしまうのだろうか。


自分の生死がかかっているかもしれないのに。


本当に実現するのであれば、だけど。


「今日はかくれんぼじゃないのかい?」


ー「久しぶりだからよ。全く覚えてないのに、ゲームに参加させるわけないじゃない。」


この人は敵なのか、味方なのか?ここまでで悪い人のようには思えないが。


そういえば、この前彼女見つけたような。いや確かに彼女だった。


「この前の夢は正夢になってないんだけど、やっぱりこれはただの夢だったのか?」


ー「そうすぐに実現するとも限らないわ。気長に待ちなさい。」

ー「ちなみに実現される夢は、友達が運命の女性と出会うこと。」


や、焼肉のほうじゃないのか。まあ再現が簡単すぎるもんな・・・・。


ー「嬉しそうじゃないわね。あなたの望んだ夢よ。友達想いなのね。」


そう言うと、優しく彼女は笑った。


たしかにあいつには幸せになってほしいと思ってたけど、いざとなると嫉妬も・・・。


次は俺のために願おう。うん。


「そういえば、君の名前を教えてくれないか?」


ー「あら、口説いてくれるのかしら?私は”サヤカ”よ。」


「・・・サヤカさんは何者なのかな?」


苦笑いですこし口が引きつってしまった。


ー「私たちは、”ディーラー”。夢の住人なの。とはいってもあなたと同じ人間よ。ほとんどはね。」


サヤカさんは意味ありげに答えた。ただ、それ以降さまざま質問してみたが、それ以上はたいして教えてくれなかった。



とはいえ、かなり整理出来てきた。

こう何度も同じ人が夢に出てきて、整合性がとれていると、ドリームゲームってやつも本当だと思っていいようだ。


しかしながら、こう目覚めるたびに記憶が欠落するというのは不便だ。朝起きたら、メモをしておかないと。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



目が覚めた俺は、メモに『ドリームゲーム』と残した。これで思い出せるはず。


この日を境に、”夢のかくれんぼ”には積極的に参加した。条件はわからないが、時々サヤカが鬼になっていることがあった。どうやら、見つかってしまうと逆転の内容が、現実になるらしい。


今のところは回避できてるようだが。


それともう一つ、分かりやすいように、見つけた、もしくは見つかった時点で一度目が覚めるようだ。

これに関しては何度も経験出来た。そして、見つけたという実感が残る。


あとはポイント制、自分には分かるようになっているらしいが、まったく自覚がない。

本当にこれだけは勘弁してほしいところだが・・・。




5月10日。


「今日さ〜。女の子に契約しようっていう夢見たんだよね。」


ユウマの口から、身に覚えのある言葉が出てきた。


「なんだよそれ、魔法少女にでもなるのかよ。魔法少年か。」



笑いながらそう答えたが、心の中に一抹の不安はあった。

あいつも同じようなことに巻込まれたとしたら、悪夢だけは見ませんように。



「お前の深層心理は厨二病か。」


からかいながら、自分を鎮めるように、ユウマの背中を叩いた。


「いって〜!ただの夢だからいいだろ〜」



本当に心配してるんだよ。いい夢見ろよ。


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