第1話 大学生 ユウマ
ー「見つかっちゃった!」
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5月14日の夢
遊んでいると、かわいい女性に出会った。髪に水色のリボンをつけていた。少し前に足が不自由になってしまったらしく、車椅子に乗っていた。話した内容はよく覚えてない。すぐ日が暮れ、夕方のチャイムが聞こえたところで目が覚めた。
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「今日も思い通りにはならなかったなあ〜。」
僕はため息を漏らしながら、机に向かいペンを取る。
夢での内容を日記につけている。決して夢占いに使うわけではない。
これは訓練なのだ。
自分の思い通りに夢を見たいと思ったことはないだろうか?
枕の下に好きなものを入れるとその夢が見れる、なんて迷信聞いたことないだろうか?
ただ、思い通りに夢を見れることなんて滅多にないし、これが夢だなんて自覚していることなんて尚更ない。
でも、”滅多にない”ってことは、ある程度可能だということだ。
そしてこの夢のなかで、”これは夢だ”と自覚する夢を明晰夢という。
この明晰夢を見ることの出来る可能性を上げる訓練の1つが、この夢日記なのだ。
と、自慢げに説明しても、僕はまだ成功したことがない。
そもそも毎日のように夢を見れるわけじゃないから、根気が必要なのかも。
もう3ヶ月は日記を付けているんだけれど。
いつものように、過去の日記のページをめくる。
「あれ、そういえば夢に出てきた女性って見たことあるような・・・。」
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3月28日の夢
友達と遊んでいると、女性が道に迷っていた。髪に赤のリボンをしていて、可愛い子だった。
連絡先を交換しようとしたら、友達にずるいと背中を叩かれたところで目が覚めた気がする。
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確かにあった。ただ、赤いリボンだから同じ女性だったかまでは覚えていない。
似たような夢なんていくらでもあるだろう、特に気にも留めずに大学へ向かう支度を始める。
手首には ”60” と印が付いていた。