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第六十九話 邪神アバター

本日二話目!!



「私は邪神アバター。千年前からヨハンに成り代わっていたよ」

「邪神だと? まさか、貴様がゼロ様を――――!!」


 フォネスは相手が邪神アバター、千年前にゼロを乗っ取ろうとしていた敵だと知り、怒りに燃えていた。一万度を超える炎をアバターに向けて放っていた。側にいた魔王アリスを巻き込む形で。


「こらこら、大事な素材を燃やそうとするなよ」

「なっ!?」


 アバターが持つ黒い剣を一振りするだけで、地獄の炎と言える威力の攻撃を掻き消していた。


「無駄と、さっきので知ったんじゃないか? この程度で神を殺せると思うな」

「くっ!!」


 リント達が来る前に一度は攻撃を加えていたが、さっきみたいに払われていた。凄い音が聞こえたのは、攻撃を掻き消されていた時のだろう。

 アバターから放たれる威圧に身体を抑え付かれるような感覚を味わう。フォネスの他も威圧に黙ってしまう。


「ようやく静かになったね。ヨハンのことだっけ、千年前はゼロにやられて、身体から追い出されて別の身体に乗り移る必要になったんだよね。そして、たまたま見つけたのが、このヨハンだったわけだ」


 魔神ゼロだった頃の身体より脆いが、神の力を多様しなければ、今まで保つことが出来ていた。長年を掛けて、ヨハンとして行動しつつ、ゼロ達の動向を調べながら駒を捜していた。今度こそ、魔神ゼロみたいなことにならないように、完璧な身体を手に入れる為に――――






「後はこいつを取り込めば、私は完全になる」

「何かしたの? 生きているようには見えないけど」

「ふふっ、そらそうだよ。こいつが動いていられたのは、闇の残滓が生命力の代わりをしていたお陰。闇の残滓は私が生み出して散らしておいた物だ」

「成る程、あの兵器は――――」

「頭がいいねッ! 魔力を貯めることが出来るとしか言っていなかったけど、闇の残滓も吸収するのさ!!」

「な、ま、さか……」


 アバターの説明でわかったことは、アリスは闇の残滓があったお陰で、魔物へ生まれ変わることが出来、動けるようになっていた。もし、あの兵器が闇の残滓までも吸収することになると――――


「あ、アリス様は――もう……」

「あはっ、わかったね! もう生きていないんだよ!! これは抜け殻だよ!! まぁ、抜け殻だけど、魔力はまだ沢山あるから取り込ませて貰うけどね」


 アリスがもう死んでいることにバトラとマキナは絶望する表情になっていたが、取り込むと聞いて、動けない身体を無理矢理に動かして、魔剣と光の攻撃を加えようとしていた。バトラとマキナ程度では、防がれる可能性が高いのは理解していたが、何をせずにはいられなかった。


「君達はもう用済みだよ。バイバイ」

「くそぉぉぉぉぉ!!」

「アリス様――――」


 バトラは魔剣ごと黒い剣に切り裂かれ、マキナも黒い光線によって貫かれていた。両方とも核を壊され、生命活動が出来なった。


「二人とも!!」


 バトラとマキナのことを知っていたフォネスが助けに入ろうとしたが、もう遅かった。炎をぶつけ、二人の身体を引き寄せたがもう核は壊されていた。


「ごふっ、アリス――――今まで楽しか――……」

「あ、アリス様、一緒にいれて、嬉かったよ……」


 二人とも、虚ろなアリスに向けて手を伸ばしていたが、すぐその手は落ちてしまう。魔人であっても、核を壊されてしまえば死んでしまう。アリスの忠実な配下だった二人、バトラとマキナはこの場にて、事が切れるのだった――――






「あはっ、死体に何か言っても無駄なんだよ? あはははっ!!」

「本当に、クソ野郎なんだよね。アバター!!」

「お前に笑う資格はないよ!!」


 マリアとシルは二人がどれだけアリスに忠実を誓っていたか知らないが、笑い続けるアバターに我慢ならないと感じていた。魔王の二人が放つ攻撃はアバターへ向かって行くが、先程と同じように黒い剣で払われてしまう。


「だから~、無駄だと言ってもわかんないのかな~? 見ているといいよ!! この私の完全になるところを!!」


 ついに、アバターはアリスの側に着き、手を肩に乗せた。それ次第に、黒い子供だった姿が肥大化して兵器から黒いエネルギーが流れ込む。兵器はアリスから魔力と闇の残滓を奪う他に、高い場所から世界中に散らばった闇の残滓を集める効果もあった。




「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは――――――――――――――――!!」




 邪神アバターはその黒いエネルギーを吸収しつつ、アリスをも取り込む。途中で攻撃を仕掛ける者もいたが、黒いバリアーみたいな物で防いでいく。

 邪神アバターが十メートルぐらいになると、形を成していく。下半身が極太い蛇になっていき、顔の部分が鬼の仮面で覆われて変わっていく。上半身は手が四本になっており、筋肉質の化物になっていた。




「うはははははっ――――――――!! これだ!! これなら、太陽神のミトラスを消すことが出来る!!」




 邪神アバターの目的は千年前から変わっていない。太陽神のミトラスを消し、世界を奪うことにある。




「世界に邪神アバターが現れた事を教えてやろう!! 神之能力『暗黒神ダークマスター』発動!!」




 四本の手を上へ向けると、上にあった兵器ごと天井を破壊して、上空に黒い雲が発生していく。それが世界の全てへ覆い尽くしていく。

 その黒い雲は太陽神ミトラスの力を封じる力がある。つまり、太陽神ミトラスの手が伸びている勇者達は与えられた力を無くしてしまう。未だに幽腐鬼と戦っていた勇者達は最初から与えられた能力が使えなくなった。


「なっ、なんで! 俺の力が!?」「希少スキルが使えない!?」「魔法は使えるみたいだが、化物には足りない!!」「何が起こったの!?」


 外にいた勇者達は混乱に襲われていた。この世界に来てから自力で手に入れた力は使えるようだが、最初に与えられた強力な気性スキルが使えなくなっていた。そのせいで、人間側の戦力が弱まってしまった。


「やばっ、俺も使えないわ」

「……む、確かに」

「『竜戦士』! 『竜戦士』! 駄目だ!!」


 この場にいた勇者も希少スキルが使えなくなっていた。


『くっ、戦えない者は下がれ。ワシが盾になる』

「そちらは何処かに消えていなさい。足手纏いよ」

「私達は守らないからね~」


 完全体になった邪心アバターに対し、魔王の三人は戦うつもりだった。力の差が更に広がっているとしてもだ。しかし、この戦力では可能性がゼロに近い。その時だった――――




「闇を覆い尽くされていると思えば、邪心アバターが現れましたか」

「誰!? ん、ん? もしかして、千年前にいた大天使?」

「いかにも。私は第一位大天使ミカエルだ。本来なら、他の天使達も来る予定だったが、あの雲が邪魔をするので通るのに時間がかかるそうだ」


 第一位大天使だけではなく、第二位大天使ルシフェルと第三位大天使ガブリエルも来る予定だったが、上空の雲に遮られて、一番実力が高いミカエルしか直ぐ降りることが出来なかった。


「私達は邪神アバターを退治に来た。魔王達よ、邪神と敵対しているのだったら、力を貸してもらえぬか?」

「……いいわ。こっちも邪神さえ消えてもらえば、それでいい」

「わかった。しばらくは協力しよう」


 普段なら、魔王と大天使は敵対する存在だが、今だけは共通の敵がいるため、一時的に協力することになった。

 邪神アバターは大天使が現れても、余裕を崩さなかった。大天使ごときに手こずるとは思ってはおらず、敵が多数であっても、こっちは一人でも神である自信がこの空間を支配していた。

 ここから神との戦いが開始されるのだった――――

















 この今、誰からも忘れられていた存在が鼓動を打ち始めた。









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