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第六話 自心支配(マイコンラート)

本日二話目!

 


 希少スキルの『自心支配マイコンラート』が発動した瞬間に、アリスの腕が振るわれていた。既に『魔爪』が発動しており、先程のと違い、バターを斬るように豚をあっさりと斬り裂いた。


「…………えっ?」


 アリスの眼には理性の光があった。『狂気発作』を発動した筈なのに、理性はまだあった。バターのように簡単に斬れたことから、狂気状態なのは間違いないが、理性があることに疑問を感じていた。

 そして、思い出す。身体の中からもう一つのスキルが自動的に発動していたことを。そのスキルは『自心支配マイコンラート』なのもわかった。

 暫く、『思考』で普通の2倍の速さで頭を働きかけていると、ある推測が思い付く。




「まさか、『自心支配マイコンラート』は自分の感情を完璧に支配出来る?」





 感情を支配。例えば、緊張を取り除きたいと思えば、あっさりと取り除いたり恐怖も意識して排除も出来る。

 今みたいに、狂気は理性を排除されてしまうが、『自心支配マイコンラート』で理性を維持させ、狂気状態を扱える。そうではないと、今の状況を説明出来ない。


「ふ、ふふっ、ふはははっ!! これは使える!! 狂気の力を使い放題さじゃないか!!」


 狂気は理性が消えてしまい、考える事が出来なくなり、他のスキルや魔法を使えなくなるが、理性を残したまま狂気状態になれば、5倍の力を使えたままスキルも発動出来る。まさに、デメリットを解消したようなものだろう。

 更に王子への憎悪も思考へ邪魔させない程に抑えられている。それがなかったら、考え無しに街へ攻め込んでいた可能性が高い。

 そこまで考えていた時、魔物から何かが漏れ出しているのが見えた。


「……ん? なんだ、黒い煙みたいなのはーーーーうわっ!?」


 魔物から現れた黒い煙みたいな物が急に欠けている右眼に向かって吸い込まれていくのが見え、驚くアリス。

 手を振るが、何の成果もなく右眼へ吸い込まれていく。驚いてすぐには気付かなかったが、なんか力がみなぎるような感覚を感じていた。アリスが言っていた黒い煙とは魔素であり、それを吸い込んでいるアリスは強化されているのだ。


「これは……、魔物を倒す程に強くなれるのか? なんで、右眼から吸い込むのかわからないが、経験値みたいなもんか?」


 アリスは黒い煙のことを魔素という情報を持っていないので、経験値と捉えた。強くなる意味で間違ってはいない。


(とにかく、魔物を殺していけば、強くなれるんだなッ!!)


 アリスは黒い煙を吸い込んでいけば、強くなれると理解した。早速、魔物を探しに行こうとした際に、花を見つけて…………




「……お墓ぐらいは作った方がいいか」


 エリーナが死んだことに心が暗くなるが、アリスがやれることは限られている。近くにあった花を毟って、集めていく。






 ーーーーーーーーーーーーーーーー






「これでいいか」


 エリーナが埋められた場所には、山みたいに土が盛り上がっており、上には石の墓と花が添えられていた。簡易な作りだが、アリスに地球にあるような立派な墓を作れるかと聞かれたら否だ。


「エリーナ。この一ヶ月は本当に幸せだった。ありがとう……」


 アリスは本当に感謝をしていた。前世のと比べれば、この一ヶ月は満ちた日々だった。


「俺はお前の仇を取ろう。だが、目的はそれで終わらない。やっぱり。人間が嫌いだよ。憎いし、地獄へ落としたいと思うよ。随分と変わったと思うが、俺はその変化を受け入れようと考えている」


 人間から魔物になっただけではなく、心情の変化という意味もある。完全に人間の敵になることを決意した。心に決意を留めて、墓から離れていく。




「エリーナは見ていてくれ。さようなら…………」







 今日から目的を達するために、魔王を目指すべく、先へ進む…………








次は朝7時になります!


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