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第六十三話 集結

ちょい短いですが、続きをどうぞー。



 リディア王国が潰されてから、一ヶ月経っていた。



アリス達は最終準備を進めている中、人間側は黙って指を加えて見ていなかった。ルーディア帝国、聖アリューゼ皇国を襲った魔王はリディア王国を潰して塔に籠もっていると判断した、人間達は兵隊や勇者達を集め、攻め込むことに決まった。

 塔から三キロ程離れた場所には、サーズ王国、ルーディア帝国、聖アリューゼ皇国から集まった兵隊と勇者達がいる。兵隊は聖騎士と竜騎士も合わせて、三百万人。勇者は三十五人程が集まっており、千年前の聖戦よりも多い人数で戦争を始めようとしていた。集まった三十五人の中で、勇者として資質が高い人は『浮浪の勇者』、『黒竜の勇者』、『黄金の勇者』の三人。どの勇者は『勇者の子孫』のアルベルトにも劣らない実力を持っている。

 『浮浪の勇者』はルーディア帝国から、『黒竜の勇者』はサーズ王国から、『黄金の勇者』は聖アリューゼ皇国から出されており、今の時代で最強の勇者として名を連なっている。


 三百万人の兵隊を率いるのは、サーズ王国の第一王子をやっているオーラス殿下であり、軍を率いた経験もある。竜に乗って、集まった兵隊を見回す。


「皆、偵察してきた者の話によると、魔王の軍隊は二百万以上と。数で勝っているといえ、一体一体の実力はAランクの化物だと聞いている。油断せずに、勇者達を塔の中へ送らせる。わかったか!?」

「「「はい!!」」」


 今回の作戦は、敵の数が多過ぎるので、幽腐鬼と眷属の化物は兵隊と五人の勇者が引き受け、偵察部隊と三十人の勇者を塔の中へ送ることに決めた。塔ごと破壊することも考えたが、近付くと空を飛んでいる新生幽腐鬼に邪魔をされてしまうので、正攻法で行く事に決まった。


「魔王の目的はわからないままだが、街へ攻め込んできた経験があることから人間と敵対しているのは間違いない。容赦はするな。魔王の首を取り、平和を勝ち取るぞ!!」

「「「おおおおおおおおっ!!」」」


 オーラス殿下が激励を送り、全部隊で塔へ向かって突撃をし始める。まず、塔を囲むように兵隊を配置していって、周りにいる化物達の数を減らしていく。一対一では苦戦するような化物の相手でも、常に三人か四人の冒険者パーティと同じ数人で戦えば勝てていた。

 兵隊が化物達を片付けていく中、塔へ突入する予定の勇者達は背後で道が開くのを待っていた。サーズ王国にいたリントもガロの背中に乗って、待機していた。


「『黒竜の勇者』って、その黒竜はガロの子供だったり?」

『そうだ。まだ青二才の子供だが、実力が高い勇者を乗せて空を制しておるぞ』


 『黒竜の勇者』とは、リントとガロのことではなく、ガロの子供も勇者を乗せて、戦っているようだ。その勇者はリントと違い、何十年も竜に乗っており、ベテランでもある。集結するまでに竜に乗っての戦いを教えてくれた短い間の師匠でもあるのだ。その人物は空から警戒しつつ、サーズ王国から率いた竜騎士達の指揮をしていた。


「しかし、なんで目立つ場所にあんなのを作ったんだろう?」

『わからん。魔王が考えることはほとんどが碌なことではない。目立つことを承知して、何かの目的があってのことだろう』

「ふーん、頑丈そうな塔を壊せれば良かったけど、先行した人は塔に傷を付けても、すぐ元に戻ったと聞いたけど」

『塔そのものが生き物みたいな気配がする。そこに突入しなければならないのは気が引けるが、魔王はその中にいるのだから入るしかなかろう』


 塔を作り出した理由はわからないままだが、目立つ場所に塔を作らなければならない程の理由があるのは間違いない。戦い続ける前線を見渡すと、人間側の優勢で少しずつだが、前へ進んでいっているのがわかる。

 しかし、相手は魔王だ。そう簡単に事を進めてくれはしないだろうと考えていた時に、それは動いた。






 さっきまで倒していた眷属達が一斉に集まりだし、ぐぶぐぶと音を立てながら形を変え始めたのだ。






「一体、何が!?」

「なぁに、戦力を増幅させようと思ってね」

「っ、誰だ!?」


 困惑していたオーラス殿下の疑問に答えていたのは、空に浮かぶヨハンだった。そのヨハンを見て、その姿に驚愕を浮かべていたのは、実際に見たことがあるガロだけだった。


『貴様は!? 聖戦にいた魔神ゼロの配下じゃないか!?』

「おや、私の情報を消していた筈ですが……あぁ、竜でしたら千年も生きるのは珍しくもありませんでしたね」

『貴様が、今回の事を起こした魔王か!?』

「いえ、残念ながら、違います。私は新しい魔王の配下でしかありませんよ」


 ヨハンはクスクスと笑いながら、疑問に答えていた。兵隊達はガロの言葉から、宙に浮いている者が千年前の聖戦に出てきた魔神ゼロの配下だった者で驚きに声が上がっていた。しかも、その重要な人物が他の魔王の下に着き、動いていたことを知り、まだそれ以上の者がいることに顔を引きつらせている者もいた。


『どういうことだ、お前より強い者がいるのか? その魔王も千年前から生きていると?』

「質問が多いですね。まぁ、答えてあげますが。今回の事を起こしている魔王は、最近に生まれたばかりの魔王アリス様と申します」

『最近に生まれたばかりの魔王だと?』


 そんな魔王にヨハン程の化け物が下に着くとは思えなかったのだ。その理由を知る前に、ヨハンが指を指して告げていた。




「放っていていいのですか? 完成していましたよ?」

「なっ、なんだコイツはぁぁぁぁっ!?」


 叫んでいたのは、前線に出て指揮をしていたオーラス殿下だった。その目には、沢山いた兵隊が蹴散らされて、倒れていく姿が見えていた。そして、巨大な化物が四体もいた。




「この四体は朱雀、白虎、玄武、青龍です。その形を似せただけではなく、その実力もその名に相応しいようにしております。さて、どのくらい、生き残りますかな――――」




 眷属が融合して、強力な守り神を生み出した。人間達はその四体を突破して、塔に向かえるのか――――








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