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第六十話 最終準備

はい、続きをどうぞ!



 アリスは自分の復讐を達することができた。後は、人間を殲滅させることに準備を進めていく。


「お前らは――――飛べないか。ヨハン、しばらくの間は街から転移して待機してくれ」

「わかりました」


 ヨハンはアリスがこれから何をするか聞かずに、バトラとマキナと一緒に街の外へ転移した。これからやることは、誰もいない方がやりやすいからだ。




「新しく手に入れたスキル、ちょうど欲しかったスキルだったな。――――この国全てにいる眷属! 街を巻き込んで融合せよ、『眷属融合』!!」




 悪魔王を倒して魔力を吸った瞬間に、制限された力が解放された。開放されたスキルは『眷属融合』と言うスキルだった。アリスは今から、そのスキルを使って、ある物を作ろうとしていた。

 発動した瞬間に、生き残っていた眷属達が街の物質を巻き込んで融合していく。王城さえも飲み込んで、黒く染まれて行く――――




「よしよし、この調子で塔を作れ。俺の最終準備の為に――――」




 アリスは拠点が欲しくて、このようなことを起こした訳でもない。これからやる事に、このように高い建物が必要だったからだ。敵から邪魔されることも考え、塔のような建物にしてそう簡単に壊されないように、眷属の身体で補強していく。もし、この塔を破壊したければ、魔王が数人で攻撃をしなければならない程の威力が必要になる。ただ、その可能性も捨てずにヨハンに頼んで、それ以上に強化できるか聞いてみるつもりだ。











 リディア王国が一つの塔に纏められている中、その異変に気付いた人達がいた。その者は、たまたま集団依頼を受けて、リディア王国から離れてネーム村に向かっていた冒険者達だった。

 その冒険者の中に、勇者パーティであるリント達もいた。


「なんだよ、アレは……」

「塔?」


 リディア王国とネーム村はある程度の距離があったのに、はっきりと塔を視認出来ていた。30人もいる冒険者達の全員が慌てていることから、リント達にしか見えていないということはないようだ。しかし、あの方向はリディア王国があった所と重なっていた。リントは嫌な予感がして、今回の依頼でリーダーを受け持っているSランクの剣士に声を掛けていた。


「ザンさん、今はリディア王国に戻らないほうがいい。危険な気配がするんだ」

「リントだったか。俺もそう思う。何かが起こったのは間違いないように見える」


 ザンと言う男性もリディア王国に何かが起こったのを感じ取っていた。今の依頼を中断してでも、他の街に行って警戒を促した方がいいと。


「あー、リントが依頼を受けようと言わなければ、今頃は……」

「しっ! 言わないでよ!?」


 もし、リントがネーム村へ行き、偵察してくるという依頼を受けようと言わなければ、今もリディア王国に留まっていた可能性が高かった。




――――そう、今のリント達ではリディア王国にいたら間違いなく死んでいた。これも、リントが持つ希少スキル、『超幸運』のお陰でもあった。



「依頼は中断だ。あんな塔を一瞬で現れるなんて、魔王の仕業だとしか思えん。すぐ三手に分かれて、近くの街に向かえ。そして、この事態を知らせるのだ!!」

「「「はい!!」」」


 依頼に出ていた冒険者達はすぐ、近くの街に向かってこの事態を知らせに向かうのだ。だが、リントのパーティだけは少し離れているサーズ王国へ向かえと指示が出た。


「僕達はサーズ王国へ?」

「あぁ、魔王が関わっている可能性がある。だから、巨大な戦力が必要になるかもしれん」

「サーズ王国、聖アリューゼ皇国やルーディア帝国と同様に千年以上も続いている国ですね。魔神ゼロとの戦いに加わった一つの国でもあるわね」


 今、聖騎士と竜騎士が一番多く滞在しているのはサーズ王国であり、千年前から生きている老竜もいるらしいと。戦力を求めるなら、サーズ王国が一番良いのだろう。


「でも、私達だけで?」

「あぁ、お前達の実力は今まで見せてもらったが、この中で一番強いし、無事に辿り着くことが出来ると考えのことだ」

「もしかして、サーズ王国の周りは強い魔物がいるのか?」

「あぁ、私達でも行けるが、聖アリューゼ皇国へ向かおうと思っている」

「確か、近くにある街は三つ。聖アリューゼ皇国は入っていないわけね」

「そうだ。俺達も俺達のパーティだけで聖アリューゼ皇国に向かう」


 三つのチームに分けると言ったが、実際は五つのチームだろう。リーダーのパーティとリントのパーティだけは少し離れた大きな国へ向かうのだ


「ルーディア帝国は?」

「それなら、向かわなくても通信石を持っている人がいたから、通信で知らせることが出来る」

「なるほどね――――「る、ルーディア帝国が!!」……何かが起こったみたいわね」

「どうした!?」


 ルーディア帝国へ通信できる石を持っていた人が慌てた様子で、ザキの肩を揺さぶっていた。


「落ち着け! 何があった!!」

「ま、魔王の襲撃で、勇者王の子孫が!! こ、殺されたと!!」

「なんだと!?」


 殺されたのは一週間前のことだが、通信関係はヨハンが遮断していたので、なかなか他の国へ繋げることが出来ていなくて、少し前にようやく通信を直すことが出来たのだ。


「勇者王の子孫……アルベルトが?」

「勇者王って、カズトのことだよな?」

「そうよ! その子孫が魔王に殺されたのよ!? 一体、何が起こっているのよ……」


 リディア王国に塔が急に出来たり、勇者王の子孫が殺されていたと。一体、どんな奴が事を起こしているのか。それらの情報を全ての街に届けられるようにと、急いでチームを分けていくのだった――――







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