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第五十六話 ヨハンの実力

本日二話目!

さぁ、続きをどうぞ!!



 千年の年を魔王として、生きてきたヨハンは魔法を得意とする勇者を相手にする。ユウゴと言う老人の勇者は長年、最強の魔術師として君臨していた。今はクリスチャス王子の護衛として、ヨハンの前に立つ。


「『魔隠術』、これで勝手にキャンセルさせることは出来んぞ。『雷迅突トールスピア』」

「ほう、確かにキャンセルさせることが出来ないですね」


 ヨハンは感心しつつ、撃ってきた魔法をひらりと避ける。ユウゴは避けられるのを予想していたのか、『雷迅突トールスピア』が途中で拡散して、全てがヨハンに全方向から向かっていく。




「よく魔法を知っており、よく使えていますね」




 ヨハンは手元に紙で出来た桜吹雪を生み出して、それらを撒くだけで拡散した雷を防いだ。防いだ紙は燃え散ることはなく、形はそのまま残っていた。


「――ただの紙ではないな? 『風嵐ストーム』」


 ユウゴは試しに風で紙を吹き飛ばしてみようとしたが、効果はなく紙は動かないままだった。


「なるほど。雷に強いだけの紙ではなく、能力によって生み出された物だな」

「ええ、それだけではありませんよ?」

「っ!?」


 一瞬でヨハンの手元に鶴の折り紙が現れ、それから死の気配を感じたユウゴは警戒を高めた。それだけ警戒するほどの魔力もあり、ただの魔人ではないとわかっていたが、想像以上だと理解したからだ。


「貴様! 一体、何者だ!?」

「そうですね、本気でやれば、すぐ終わってしまうでしょうし、少しだけ会話を楽しむのもいいですね。世界にある書物には魔王は二人の名前が有名になっているのは知っていますね?」

「二人の魔王だと? ミディとニオキスと言う者だったな? 戦争で活躍していたと――――」

「ふふっ、情報操作は成功しておりましたね。ニオキスは魔王ですが、あまり表には出ていません。もちろん、戦争にもね」

「は?」


 ユウゴはニオキスと言う魔王が戦争にも出ておらず、あまり表には出てもいなかったとヨハンに言われ、意味が解らなかった。それに、情報操作という言葉も気になった。


「実は、戦争で魔王としての面が広がったのは、ミディと――――この私ですよ」

「なぁ!?」

「魔神ゼロ様がいなくなってから、やることがあったので、情報を操作させて隠遁していたのですよ。まぁ、ニオキスに被害があったと情報は聞かなかったので、その情報操作は意味がありませんでしたが。ふふっ」


 ヨハンが言っていたことが正しければ、目の前にいる魔人は千年前から生きている魔王と言う事になる。信じたくない思いだったが、突然に溢れ出る魔力から信じられないとは言えなかった。


「ま、魔王が魔王の下に付くのはありなのか……?」

「普通ならないでしょうが、私はアリス様のことが気に入りました。だから、配下に入りました」

「――っ、魔王が二人! お前は絶対にこの先を行かせない!!」


 クリスチャス王子は戦える実力があるのをユウゴは知っている。だが、二人の魔王が相手となれば、クリスチャス王子であっても危ないとわかっているので、必ず行かせてはならない。負けるにしても、数分でも足止めをしなければならなかったユウゴだったが――――




 ヨハンはその思いを汲むことは無かった。




「話している内に準備を終わらせて貰いました。時間を頂きありがとうございます」

「――――しまっ」

「『生命吸華ライフエネジス』」


 ヨハンは先程、作った鶴の折り紙を上空へ放ち、形を変えていく。鶴は肥大していき、華の形になっていき――――




「さぁ、貴方と街にいる人間を標的にしましたので、王子とそちらにいる二人の勇者は死なないので安心してください」




 上空に浮いた紙で出来た華は一部を除いて、全ての人間から生命を吸収した。普通の民間なら一瞬、兵士や冒険者なら三秒、狂気で動いている聖騎士と竜騎士は五秒、目の前に立つ老人の勇者は――――




「はい、十秒。流石でしたよ」




 ユウゴはとっくに事を切れていた。その十秒内では大量の魔法を発動して、ヨハンの攻撃を止めようと奮闘していたが、全ての魔法は紙吹雪に防がれて、一つの傷を付けることも叶わなかった。

 事が切れたのを確認した後、上空に残った生命というエネルギーは、魔力に変えて、まだ戦っていたバトラとマキナへ流していた。


「プレゼントです。これで、勇者を圧倒して下さい」

「サンキュー!」

「ありがとう!!」


 勇者の二人、リエミとエイジは自分より強かったユウゴがあっさりと殺され、街中で戦っていた人達の気配がなくなったことに驚愕していた。更に、突然に戦っていた相手の力が上がったこともあり――――






「ごはぁっ!? や、槍が!?」

「魔力が増えたことで、魔剣も強くなったみたいだ」

「こんなことが――――」

「あり得るんだよ」


 今、使っている魔剣には自分の魔力量によって、硬質と力量が上がっていく効果があった。ヨハンから貰った魔力で自分の魔力量が増えたことにより、相手の槍を破壊してそのまま胸を貫くまでいったのだ。勇者であることを除けば、人間である事には変わりはないので弱点を貫かれたリエミには成す術もなく、死んだ。


「ふぅー、勝てたか。勇者とはこれっきりにして欲しいな……」


 生きて勝てたことに安堵しつつ、溜息を吐くバトラであった――――






 マキナも戦況が変わっていた。さっきまでは『光臨者ノゾムモノ』の光は吸収されて、決め手を奪われていてゴーレムで防御に努めるしかなかったが――――






「私の魔力を全て賭ける! 『光輪絶砲ホーリーキャノン』!!」

「な、馬鹿でかい――――!?」


 魔力が増えたマキナが取った手は、吸収しきれない程の光をぶち込むことだった。脳筋なやり方だが、間違ってはいなかったようで、発射された後は、人の影も残らず、パンクして割れた剣だけが残っているだけだった。

 流石に全ての魔力を差し出す必要もなく、オーバーキルだったが勝てたマキナは満足な表情で倒れていた。


「勝った――――!」

「勝ったのはいい事ですが、倒れるまで魔力を使う事はなかったでしょう。終わったら、要練習ですね」

「え――!?」


 ニコニコしているが、何処か呆れているようなヨハンに注意され、勝ったことに湧き上がった心が少し落ち込んでしまうマキナであった。

 ヨハンに助けられた形だったが、三人は無事に勇者を倒すことが出来たのだった――――







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