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第五十四話 狂気の軍隊

あけましておめでとうございます。

今年に入って、初めての投稿になります!




 遅れて出てきた聖騎士と竜騎士だったが、様子がおかしい。全員が虚ろな瞳で眷属という敵を見つけると、狂ったように雄叫びを上げて、突撃してきた。明らかに正気を失っているように見えるのに、陣形を作って突撃していたので、アリス達は驚いていた。


「あれは、狂気状態になっているのに、味方や民を襲う事もなく、陣形を組んでいるな……」

「あれが、クリスチャス王子の能力です。狂気状態にし、理性を失っても敵と味方の区別が出来るようにしてあるみたいです」

「細かいことを一つのスキルで出来るのか?」


 アリスは自分の能力で理性を失うことなく、狂気状態になることが出来るけど、それは二つのスキルを同時に発動しているからなのだ。もしかしたら、狂気状態にする能力と別に他のスキルも使っているかもしれない。眷属対聖騎士&竜騎士の戦いを見ると、アリスは眉を潜めてしまう。


「む、思ったより互角に戦っているな?」

「やはり、連携が出来る人間側は数の差を埋めてしまうようですね」

「眷属だっけ、眷属は協力をしないからね」

「うーん、やっぱりゴーレム隊も出した方がいいかな?」


 アリスが人間側の魂を見る限り、強さは眷属と同等に見えるが、連携によって眷属が少しずつやられていっているのがわかる。本来なら、眷属達に聖騎士と竜騎士を任せて、アリス達は王城へ直接に忍び込もうと思っていた。しかし、このままでは、数が多くてもいつかはやられる――――


「いや、ゴーレムは使わない。アレを使え」

「いいのですか?」

「構わない」


 アリスが言ったアレとは、千年前に活躍していた化物。死体から作られた白きの捕食者。死体集合体をここで放つ事に決めた。Aランクである聖騎士が三人で掛かっても、倒せなかったという、化物を二百体程を上空から放っていた。

 上空から突然に現れた死体集合体は地上にいた聖騎士達を狙い、爪で切り裂いて捕食し始めた。これで陣形が崩れたが、狂気状態になっている人間達は恐れる事もなく、相手をし始めていた。


「あれだけ放てば、大丈夫でしょう。竜騎士は竜に乗っているので、倒すのに時間は掛かりますが、ほぼ不死身に近い死体集合体なら、全滅させるでしょう」

「うわぁ、首を斬りおとされても、死んでないよ」

「頭にある核を潰さない限りは消えません」

「魔神ゼロはこんな化物みたいな生き物を生み出したんだね……」


 死体集合体という種族は魔神ゼロが生み出した化け物で、戦争の時は百万体も出撃させていたという。死体集合体は種族名で、あれの名前は幽腐鬼と名付けられていたらしい。


「幽腐鬼と言ったか。ヨハンはアレを増やせるのか?」

「いいえ、アレは魔神ゼロの能力によって作られたので、私には出来ません。戦争で使われた固体とその前段階に作っていた固体を回収していて、それを使い回しているだけなので」

「放ったので全部じゃないよな?」

「まだ私の収納には二種類を合わせて、三十万体は残っています」

「三十万!?」


 アレがまだ三十万体も残っていると聞き、驚いていた。あれだけあれば、人間との戦争は簡単に勝てるのではないかと思ったが、魔神ゼロの時は百万体も出したのに、負けていたのを思い出した。数は大事だが、やはり質が良くないと戦争には勝てないのだろう。

 先に進みながら、話を聞いていたが狂気に染まっている聖騎士の中でスキルを使っている者がいることに気付いた。


「狂気状態になっても、スキルを使えるのか。ヨハン、クリスチャス王子が使っている能力は……」

「希少スキルです。情報を集めて、わかったのは『狂信者アガメルモノ』と言う希少スキルを持っていることです」

「希少スキルにしては、有能なスキルだな? 狂気状態にして、強化させ、恐怖を消してスキルも自由自在に使えるとか」


 希少スキルにしては、使い勝手が良過ぎるような気がした。他に希少スキルを持っているのではないかと思われたが、クリスチャス王子は人前であまり能力を見せる事はないので、それしか情報がなかったのだ。


「『狂信者アガメルモノ』は支援系のスキルだとしたら、自分自身が戦うための希少スキルも隠し持っていそうだな……」

「そろそろ王城に着くよ!」


 今まで路地など狭い道を通って、王城の近くまで行っていた。途中で兵士に見つかることもあったが、一瞬で終わらせたので騒ぎにはなっていない。こちらには魔王が二人もいるのだから、相手にならないのは仕方がないのだろう。









「ここで勇者を出すか」

「戦いは王城の中になると思っていたけど、予想と違っていたね」

「……貴様が、首謀者か?」


 王城の前に、勇者三人が立っていた。どの勇者もアルベルトには劣らないぐらいの実力があるのが読み取れた。リーダーっぽい男性、歳を取った魔術師のように見える勇者が前に出て、こちらに話しかけていた。この三人で魔力量が一番多くて、貫禄があるように感じられた。

 アリスは魔王として、名乗りも忘れない。




「俺は魔王になったアリスだ。クリスチャス王子の首を貰い受けにたまった!!」







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