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第五十二話 計画の準備

本日二話目!

早く書けたので、続きをどうぞー。



 ルーディア帝国に充分な打撃を与えたアリス達は完全に壊滅させることはなく、アルベルトを討った時点で撤退していた。ゴーレム隊を率いていたバトラとマキナは新しいスキルで活躍していたようで、マキナは褒めて欲しそうに色々話してくれた。ヨハンが配下になったと話したら、とても驚かれたが強い者が仲間になるのは賛成で、面倒なことは何も起こらなかった。

 アリスは今回で強力な配下を手に入れ、魔王にもなった。あるスキルのお陰で戦力のアテが出来た。


 今はヨハンの屋敷にて、これからのことを話し合っていた。


「次に攻める所を話す――――前に、俺のことを話しておく。詳しく話してなかったし、次の目標もそれに関係することだから、聞いてくれ」

「アリス様のことで?」

「ああ、俺は人形系の魔物として生まれたと話したと思うが、実際は、ただの人形だった頃から、前世を持った転生者だったんだ」

「……えっ? ただの人形??」

「人間の国によくある玩具の人形は知っているな? それに、前世の記憶を持って転生した。というか、憑依したが正しいか」

「そんなことがありえるのですか。初めてのケースですよ」


 ヨハンもこのことには驚くしかなかった。最初から人形系の魔物に転生したと思っていたが、違っていた。ただの物である人形に転生が出来るとは、今まで聞いたこともなかった。


「前世は勇者王カズトと同じ、日本人の人間だった。魔神ゼロもそうだろうな。黒目黒髪は日本人がほとんどだと思う」

「人間だったのですか? でも、何故、人間を殲滅したいと思ったのですか?」

「そこだな。俺は前世の頃から、人間に幸せを奪われ続けられた。最後は無実の罪で裁かれそうになり、事故で死んだ。それで、人間が嫌いになったんだ」

「同じ人間に……」


 その話にバトラは自分と似ていると感じていた。同じ種族の大鬼に、ただの掟のために殺されそうになっていた。


「そして、ただの人形に転生した俺は、貴族の少女に買われた。まぁ、最初は人間を憎んでいたが、ただの人形に何も出来なくて、されるがままだったな……」


 あの頃を思い出して、そんなこともあったなと懐かしく思えていた。だが、次は怒りと憎しみの表情になっていく。


「数ヶ月だったかな。その少女と一緒に暮らして、友達だと思えるようになった。初めての友達との生活はまあまあ悪くないと思っていた―――――――あの男が現れるまではな……」

「あの男?」

「あぁ、そいつが魔物になる切掛けになったクソ野郎だ。王子でまだ幼い奴だったが、俺の最初の友達を殺した――――」


 今でも清明にクソ野郎の顔を思い出せる。一番殺したいと思える人間、黒い笑みを浮かべて友達を殺した王子、クリスチャス王子を!!


「アリス、落ち着けよ」

「む、そうだな。ようやく、本人を殺しに行けるからな」

「王子と言っていましたが、名前はわかりますか?」

「確か、クリスチャス王子だった。リディア王国にいる筈――――」


 その情報を聞いたヨハンはしばらく考え込むと、何かの情報に思い当たったのか、納得したように頷いていた。


「なるほど、その王子は勇者です。『狂王の勇者』と呼ばれており、強い勇者を囲んでいます」

「勇者だと? あのクソ野郎が?」

「はい、リディア王国の王族に勇者が産まれたと盛大に騒いでいましたので、それなりには有名かと。まだ小さいので実力はそれ程に高くはないのですが、周りにいる勇者達が邪魔になるかと」

「ふぅん、俺はあの王子が狂っているのは知っているが、何故、『狂王の勇者』と呼ばれている?」


 あの王子は人殺しをしていたが、周りを気にしていたのを見ている。わざわざ森まで連れてきて、殺していたのだから。しかし、王子であり勇者なら、その『狂王の勇者』という不名誉な二つ名は呼ばれたくはない筈だ。


「『狂王』はあるスキルに関するようです。決して、不名誉な意味ではなく、それ程に相応しいといえるから、名付けられただけのようです」

「『狂王』の関するスキル? 俺は王者能力キングダムスキル狂凶王アジ・ダハーカ』を持っているが、同じスキルを持っていると言わないよな?」

「まさか」


 ヨハンはあり得ないと言う。王者能力は勇者だとしても、そうそうと簡単に得られるものではないし、クリスチャス王子はまだ十歳を過ぎたばかりの子供なのだ。そして、王者能力は同じ時期に二人が取得することはあり得ないということらしい。


「どんなスキルを持っていようが、どうでもいい。そいつを殺す」

「では、次の目標はリディア王国ですね」

「そうだ。リディア王国にいる勇者は何人か知っているか?」

「時間を少し頂けますか? 情報が少々古いので、再び調べておきます」

「そうか。準備を万端にしてから攻めるなら、情報も重要だ」

「お任せを」


 ヨハンがリディア王国を偵察してくるようだ。アルベルトの『執行者サバクモノ』を見落としたといえ、情報収集力が高いのは間違いないので、任せる事にした。ヨハンは会議から抜け、情報を集めに行った。






「ヨハンが帰ってくるまでは、準備を進めておくぞ。新しいスキルの検証も必要だからな――――」






 準備期間の1週間が過ぎ、アリス達はこれから魔王として初めての活動を起こすのだった――――








次回から、ついに復讐が始まります!!

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