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第四十話 襲撃

本日二話目!!


 九尾族の女性を殺した後、アリス達は動き出した。準備に一日を賭けて、アリスの思い通りになるように計画を建てた。先に動いていた元宰相のカルドはどうなったかは……


「く、苦しい、た、たす、けて……」

「どうして苦しいんだ? ようやく、お前の復讐が始まるんだぞ。喜んだ方がいいんじゃないか。ね、二人共?」

「いや、無理があるんじゃないかな。この状態になってしまっては」

「いえ、アリス様の言う通りですよ! 復讐を達せるだけの手助けもしてくれているのですから、感謝ぐらいはして欲しいですね!」


 バトラはなんともいえない表情になり、マキナはキラキラと目を輝かせて、アリスを称えていた。カルドの今の姿は――――




 誘拐していた子供と一緒に心臓がある場所へコードが繋がっており、縄で縛られていた。コードは星神宮にあった兵器の物であり、対象者の魔力を吸い取るために魔力の源である心臓へ刺していた。苦しんでいるのはカルドだけではなく、さっきまで眠っていた子供達も同じである。


「痛いよ…」「帰りたい…」「死んじゃうよぉ」「痛い痛いよ…」「なんで、なんでよ…」「シスター、助けて……」


 アリスは子供であっても容赦はしなかった。一人も逃がすこともなく生贄にしていた。兵器を起動すれば、魔力を空になるまで吸い取られて、最後は死ぬだろう。

 そこまではカルドが計画していたのと変わらない。その魔力量程度では、町の一部を破壊するだけで終わってしまうだろう。だから、アリスの魔力も加えておいた。前に採取したゴーレムの核へ注げるだけの魔力を込めて、コードに繋げて置いた。


「よし、これぐらいなら大分の被害が出るだろう。マキナ、発動した後のことは大丈夫だな?」

「はい! 更に強化してくれたので、問題なく使えます!!」


 マキナの姿は変わっていないが、半日を掛けて強化されている。材料は、さっき殺した九尾族の破壊した核だ。昔は強者の魔物だっただけ、核に込められていた魔力の質は高かった。左腕に嵌められているゴーレムの核と混ぜ合わせて強化したため、質が高いゴーレムを作れるようになった。今回は兵器による攻撃が終わったら、マキナの働きによって、アリスの計画が成功するかが掛かっている。


「私に出番はないんだな」

「今回は我慢してくれ。昨日は結構働いてくれたし」

「いや、我慢というか、どっちでもいいけど……」


 ハッキリしない物言いにアリスはハテナを浮かべつつ、全ての準備を終わらせたのを確認して、兵器の前に立つ。ただの魔物だったら、意味が分からない機械が並んでいるように見えなかっただろう。だが、アリスは違う。前世の記憶があり、タッチパネルになっている画面を操作していく。


(わかりやすい操作方法で良かったな。しかし、暗証番号さえも掛かってないって、無用心だなぁ)


 タッチパネルのことを知らなかったら、その使い方がわからずじまいだったが、アリスが転生者だったことが星神宮を預かる人にとって不幸だっただろう。


「ここをこうして、こうだな!」

「なんで、操作出来るだ? 『識別者シルモノ』を持っている私だってわからないのに……」

「それはアリス様だからです!!」


 マキナはアリスを崇拝しているレベルなので、アリスのやることの全てに賛成し、称える。生まれてからずっと奴隷だった性質もあるが、助けてくれて、力も与えて下さったアリスのことを神のように思っているようだ。




「「「「「う、あ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」




 コードを伝って、魔力が動き出していく。使っている兵器は戦略魔法レベルの威力があり、村なら灰燼にしてしまうほどだ。アリスはあえて、威力が分散されても広域に広がるように弄ってある。

 星神宮にはいくつかの兵器が置いてあったが、アリスが選んだ兵器は天に魔力の塊を撃ちだして、空中で花火のように爆散して、天の裁きのように雷が落ちていくのだ。威力は分散されても、大量の魔力を注ぎこんだから、家をも突き破って中にいる人を消し炭にすることが出来る。


(他の兵器も試してみたかったが、それは今度だな)


 アリスが見つけた戦略レベルの兵器は三つ、更に魔剣も殺されていた守備衛隊の一人から見つけ出し、右眼へ吸収し終わっている。様々な魔道具もあったが、自分に必要だと思えるものが無かったので壊して魔力だけを吸収していた。最後に、勇者に関する魔道具も見つけており、召喚されたら聖アリューゼ皇国にいる偉い人へ通達されたり、勇者の居場所を知ることが出来る効果があった。しかし、でか過ぎるので同じく壊して、魔力だけを吸収することに決めていた。ただ、壊すのは計画が終わってからだ。

 すぐ壊して、聖アリューゼ皇国の誰かに通達されるようなことがあれば、邪魔される可能性があるから、計画が終わってからと決めてある。




「そういえば、この兵器の名前を知らないな……まあ、適当でいいか。『天来無塵カタフロスト』、起動!!」




 発動のボタンを押して、溜められた魔力が上空へ撃ちだされた。突然に上空へ上がった物に聖アリューゼ皇国に住まう人達は目を大きく見開いて驚くだけで、何も対策することは出来なかった。そのまま、上空で爆散して、大量の雷が降り注いだ――――




 ドゴオオオォォォォォォォォォォ―――――――――!!




 星神宮の屋上から聖アリューゼ皇国の様子を確認し、予想以上の威力にアリスはニヤニヤしたくなるのを抑えながら見ていた。王宮にも雷が落ちており、何百人は死んだかなとワクワクしつつ、次の段階へ進める。




「マキナ、やれ」

「はい!!」




 マキナがやったことは、手に地面を置いただけだ。大きな揺れが起きて、星神宮の周りにある山の全てを使い、一体だけの巨大なゴーレムを生み出した。昨日に、バトラがゴーレムの核を山に一つずつ埋め込んでくれたのが発揮された。

 その大きさは前に作った10メートルのゴーレムよりもでかく、100メートル以上はあった。強化されたため、作れるようになったといえ、操作まではまだまだ経験が足りない。だが、今のマキナに出来ることはある。


「よしよし、大きさは充分だ」

「ううっ……」

「歩くのは一歩だけでいい。その後は、倒れる・・・・だけでいい」

「はい!! はあああぁぁぁぁぁ!!」


 なんとか聖アリューゼ皇国の方向へ倒れるように調整して、後は巨大なゴーレムをそのまま前のりに倒れさせる。それだけでも、更に何百人も死ぬだろう。




「うははははは!! 俺の糧になって、その後も死者を増やしてやろう!!」




 このまま、死者が増えていけば、地中に潜っていかせた、沢山の人形が魔力を吸収して溜めてくれるだろう。そして、更にアリスはもっと強くなれると信じていた――――






王者能力キングダムスキル幻焔王グラナエル』……『黒炎魔獄ヘゲナ』!!」






 邪魔が入らなければ、計画は成功していたはずだった。いつの間にゴーレムの前へ現れた女性によって、黒い炎がゴーレムの全身を纏わり付いて消し炭どころか、灰になって消え去ってしまった。




「なっ――――!?」




 巨大なゴーレムが一瞬にして、灰にして消し去られてしまったことと突然に巨大な魔力を持つ者が現れたことに驚愕してしまう。計画を邪魔されてしまったことに怒りが沸き、空中に浮いている女性を睨む。


「九本の尻尾だと?」

「あ、あれは、まさか!?」

「ま、魔王……?」


 昨日に知った魔王の人物だが、すぐわかった。魔王に相応しい魔力量に強さ。九本の尻尾を持った九尾族。これだけの根拠があれば、間違いは無い。その女性こそが――――






「貴方達なのね。こんなことをでかした馬鹿は」






 アリスの邪魔をした者は、魔王の一柱である焔と幻覚を操り、魔神ゼロの元配下であった魔王フォネスだった。






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