第三十七話 現地人の魔物
本日二話目になります!
話が通じる現地人の魔物か魔人を見つけようと山から森の中へ潜っていく。知能がない魔物に襲われたりもしたが、新しい武器を手に入れたバトラによって斬り裂かれていた。
「今度はデザートウルフか。ふむふむ、風を使うか! マキナは正面に立たないように気をつけておくんだよ!!」
「わかりました!」
デザートウルフは羽を持った狼で、風魔法を使ってくる。バトラの『識別者』で魔物の使う魔法を知ることが出来るので、直線的な風魔法しか使えないことをマキナに教えていた。マキナはゴーレムを操って戦うので、接近されたり魔法で撃ち込まれたら危ないのは理解しているので、バトラがサポートをしていた。
「ふーん、魔物の特性や使える魔法まで知ることが出来るなんて、便利な能力だな」
「自分より弱い魔物だったらわかるけど、強者のは知ることが出来ないんだよな」
「そうか、スキルはそこまで万能じゃないからな」
全ての魔物の情報を得られたら、負けることはなくなるのだから。もし、自分より強いとわかれば、逃げればいいし確実に勝てる相手だけに戦えるようになれば、少しずつでも強くなれる。
「一号! 叩き潰してやるのですよ!!」
「ブギャッ!?」
マキナは二メートルほどのゴーレムなら二体まで、完璧に操作できるようになっていて、脚が速いデザートウルフの相手でも攻撃を当てて叩き潰していた。戦っている途中に仲間を呼ばれたりもされたが、それらはアリスとバトラが切り裂いていた。
「なかなか見つからんな。話が通じる奴」
「人間を攫って言うことを聞かせたほうが早くないか?」
「うーん、しばらく探し回っても見つからなかったら、そうした方がいいな」
星神宮は何処にあるかは人間に聞いた方が早いかもしれないが、あっさりと魔物に教えるようなものだと思えなかったから、先に魔物や魔人を見つけて聞いて置きたかった。今のアリスは人間より魔物の方が信用は高い。
「ん、白い魂ばかりだな。おーい、また魔物が来るぞ」
「おーい、今度こそは話が通じるといいがな……」
「ん、んん? あれ、服っぽい物を着ている?」
またデザートウルフみたいな脳みそが小さい魔物かと思ったら、こっちに向かっている魔物は着物を着ていた。獣人みたいな姿から魔物や魔人ではなく、亜人の一種かと思ったら……
「待ってくれ! 話をしたい!!」
一番前には白い旗を持って、こっちに声を掛ける狐の耳と尻尾を持った女性がいた。亜人のことはバトラとマキナから聞いたことがあるので、その女性と後ろにいる人達は妖狐族の者だと判断した。
「やっと、話の通じる奴と会えたか」
「え? もしかして、話が出来る者を探していたのですか……?」
「ああ、こっちは魔物だが、話ぐらいは聞かせてもらってもいいよな?」
「え、魔人ではなく魔物でしたか……それにしても、魔力が高い者ばかりですね」
「む?」
亜人でも魔人と魔物は敵だと判断されているはずなのに、この反応はおかしいと感じていた。まるで、魔物や魔人で良かったと安堵しているように見える。
「念のために聞いておきたいが……お前達は妖狐族だよな?」
「いえ、私達は……」
何かを解除したような魔力の残滓を感じ、警戒をするが、それがなんなのか理解したアリスは目を見開いていた。その視線は尻尾に向かっていた。
一本だった尻尾は数本に増えて、目の前にいる女性は八本の尻尾を持っていた。つまり、ここにいる者達はーーーー
「私達は九尾族であり、貴方達と同じ魔物になります」
全滅していると判断されていた九尾族の魔物であった……




