第三十六話 合成
お久しぶりです！！
お長く待たせてすいませんでした。では、続きをどうぞ。
「これで強い武器が作れるな」
「バトラは槍を使うんだったよな？」
「ああ、一番使い慣れているのが槍だからな。『武器練成』」
バトラはワイバーンの鱗と鉄屑を使って、自分用の槍を作り出していく。良質な鉄ではないのは残念だが、ワイバーンの鱗は鉄以上の硬さを持つので混ぜ合わせれば、今までの武器より強くなるのは間違いは無い。その結果、刃先は鱗の青みが残った色が染められ、持手は鉄成分を多くしてある槍が出来上がった。切れ味は試してみないとわからないが、見た目だけでも切れそうな刃だと感じられた。
「そうだ、マキナはどんな武器がいい？」
「わ、私ですか！？ えぇっと、武器は今まで使ったことがないので……」
「マキナはゴーレムを主に使うから、自分で戦わなくていいしな。まぁ、ナイフぐらいは持っていた方がいいぞ」
「アリス様がそういうなら……」
「ナイフね」
バトラは能力を沢山使ってきたからなのか、前よりは速いペースでナイフが出来上がっていく。なんの効果も無いナイフだが、綺麗に磨かれたような出来だった。
「わあ！ ありがとうございます！」
「そういえば、作るだけでなく、修復も出来るの？」
「材料があれば、出来るよ。ただ、魔剣は元の効果を持ったまま直せるかはわからないな。やったことないし」
「あー、壊さないように気を付けないとなぁ……」
あまり使っていないが、アリスはオーガから奪った蛇曲剣を持っている。剣の軌道を曲げられる効果を持つ魔剣だが、それよりも自分の爪、『魔爪』の方が強いので、使う出番が無いのだ。ぶちぶちとそう考えていたら、アリスが予想していなかったことが起きた。
「――え？」
「アリスの右眼が黒く光っている！？」
「アリス様！？」
突然にアリスの右眼が光りだしたのだ。痛みは無いが、急なことに驚きで心の中では慌ててばかりだった。
「な、なにがーー、む？」
収納されていた蛇曲剣が現れたかと思えば、右眼に吸い込まれていった。そして、頭に声が響いてきた。
《希少スキル『剣装者』、通常スキル『魔爪』、武器の『剣曲剣』を合成し、希少スキル『魔王爪』を獲得致しました》
「だ、大丈夫なのか！？」
「……なんか、スキルが勝手に合成して強化されたみたいだな」
「えっ、スキルが？ そんなことってあるの……？」
「わからん。だが、『魔王爪』って、強そうじゃね？」
とにかく、新しくスキルが生まれたことは喜ぶべきなのか、勝手に合成されたことに怪しむべきか。そんなことを考えながら、鑑定してみたらーーーー
「おっ！！ 『剣装者』よりも凄い効果になっていやがる！！」
「そうなのか？ だったら、良かったのかな？」
新しく出来た『魔王爪』の能力は、魔力で出来た爪に吸収した魔剣の能力を乗せられるのだ。更に、希少スキルに進化したことで、切れ味、硬さ、長さも強化されている。今は蛇曲剣の能力を爪で使えるようになり、今後も別の魔剣を吸収すれば、使える能力が増えていけるようになっていたのだ。
「勝手に合成されたのは少し怖いが、自分が欲しいと思ったスキルになっていたのは喜ぶことだろう」
「スキルって、本人の了承もなしに変わっていくのかな？」
「そんなのは聞いたことがありません……あ、魔神ゼロは思い通りにスキルを進化させたり、強化させて配下に分け与えることが出来ていたと情報がありました。本当のことかわかりませんが」
「そんなことが出来るのか……」
「噂で聞いた話ですから、可能性での話でしかありませんが」
「ふむ、千年前に現れた魔神か……あ、千年前といえば、あいつがいるじゃねえか」
「もしかして、あの魔王？」
「その配下もな」
魔王ミディやその配下達なら千年前から生きているので、話を聞くならそっちの方がいいだろう。想定外のことがあったが、今は聖アリューゼ皇国に詳しい現地人を捕まえ、案内させたいので話が分かる魔物か魔人を探していく。
