第三十四話 剣装者(タチキルモノ)
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新しいスキルを覚え、ステータスも豊富になってきた。これが今のアリスのステータスだ。
ステータス
名称 アリス
種族 狂剣体変異種
称号 ”畏怖される者”
スキル
希少スキル
『自心支配』、『暗闇眼』【鑑定・黒霧視点・愚焔・白蒼魂視・愚氷】、『剣装者』
特殊固有スキル
『人形遊戯』【作成・操作・自爆・収納】
通常スキル
『無痛』、『防水』、『高速思考』、『瞑想』、『遠視』、『魔力操作』、『魔爪』、『狂気発作』、『自己再生』、『物理耐性』、『斬撃固定』、『斬撃強化』、『斬撃無効』
『剣装者』を手に入れたことで、攻撃手段が増えたのは嬉しいことだ。早速、試したいと思った先にーーーー
「またワイバーンだよ!」
「む、仲間がやられたからか? ふむ……全部で7体かーーーー」
「今回は皆と一緒にやるでいいよな!?」
バトラはアリスが強いのは知っているが、アレだけのワイバーンを相手にするのは厳しいと思っていた。それに、進化したばかりでは自分の力を十全に扱えるのかも心配だった。
武器を創り出そうとするバトラだったが、アリスによって止められる。
「いらん。俺1人で充分だ」
「何をーーーーえ?」
言葉が途中で止まり、驚く声を発していた。バトラの眼にはアリスの周りに数本の剣が浮いている姿が映っていた。
「ーー顕現出来るのは、7本までみたいだな。まぁ、それでも充分過ぎる戦力だ」
「あ、アレらはアリスが……?」
「そうだな。ただの剣だと思うなよ? ーーこれから、その力を見せてやろうじゃないか!!」
この力は、『剣装者』の効果であり、能力者の魔力量によって剣の強さ、数を設定して操作することが出来る。
「断ち切れーー『絶空』!」
7本の剣が一気に振り出して、斬撃が生まれた。その斬撃は飛翔してくるワイバーンの元まで飛んでいき、避け遅れた1体を細切れにしていた。
ワイバーンは竜の一部であり、身体を覆う鱗は生半可な攻撃を通さないのだが、アリスの斬撃はそれをあっさりと断ち切っていた。『剣装者』の斬撃は物理的にではなく、魔力によって出来ているので、威力はアリス本人の魔力量によって上がっていく。
「これで驚いていたら、心臓が持たないぞ?」
バトラとマキナが驚いているのを他所に、一つの実験をすることに。
新しく手に入れたスキル、『斬撃固定』の効果はいかに?
アリスは出来るだけ高く跳び上がり、1本だけ剣を振らせーーーー
「あはっ、漫画みたいなことが出来るな!!」
その試みは成功していた。今のアリスはーーーーーーーー斬撃の上に乗っていた。
試みとは、斬撃に『斬撃固定』を使い、乗ることが出来るかのことだった。『斬撃固定』とは、斬撃に実体を持たせることが出来るスキルで、三日月の形をしている斬撃の腹と言える箇所に乗れるか試していたわけだ。
固定された斬撃に乗り、あっという間にワイバーンがいる中心まで飛べていた。ワイバーンもアリスがやったことに呆気に取られ、迎撃することも忘れていた。さらに上へ行こうとしていた斬撃から降りーー
「竜の中で雑魚かもしれないが、竜もたいしたことがないかもなーー」
ワイバーンは既に懐へ入られたことに気付いても、それから行動しても遅かった。アリスは使い慣れた『魔爪』で周りのワイバーンを斬り裂いて行った。
『斬撃強化』で更に切れ味が上がったので、状態維持強化をせずともワイバーンを真っ二つにすることは簡単だった。アリスは狂剣体と言う珍しい種族になったこともあり、斬撃に関することにしては、前よりも格段に強化されていた。
実験は成功し、襲ってきたワイバーンはあっさりと片付けることが出来た。それは良かった。だが…………1つだけ問題があった。その問題とはーーーー
やべ、着地のことを忘れていた。
後のことを考えずに、飛べも出来ないのに空中まで行ったことのツケが帰ってきた所だった。重力に従い、死体になったワイバーンと共に下へ落ちていくのだったーーーー




