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第三十話 vs勇者

はい、続きをどうぞ!

 


 劣勢だった人間側から2人の勇者が現れた。どちらも日本人の男女で、黒髪に黒目だった。


「なぁ、ミウ。アレはサンゴーレム?」

「いえ、身体が砂ではなくて岩です。サキヤはサンゴーレムと戦ったことがあるでしょう? アレは大き過ぎます」


 勇者達が目に付いたのは、巨大なゴーレムだった。サキヤと呼ばれた男の勇者は、マキナが作ったゴーレムのことをサンゴーレムだと思っていたが、材質や大きさも違っていた。

 因みに、サンゴーレムとは身体が砂で出来ていて砂漠で現れる3メートル~4メートルの大きさがある魔物のことである。


「まぁ、何でもいいや。先にあれを倒すぞ」

「どうぞ。私はあの白い人形達を止めますので」


 2人は役割分担してサキヤはゴーレムを、ミウは人形達を止めることに。






「さてと、強度はどうだろうか。唸れよ…………『旋拳サイクロンバレッド』!!」


 サキヤは武器を持たず、拳を握り締めて虚空へ殴った。その拳は風鳴りを鳴らしながら、ゴーレムの肩を大きく削って吹き飛ばしていた。

 豪快に削られてしまい、マネキンの魔物を依代にしていたアリスは驚愕していた。

 たった一撃でアレだけやられるとは信じられなかったかもしれない。この時、アリスは勇者のことを上方修正して、長くは持たないと判断した。

 勇者に勝てないのはわかりきっているので、残った片方は勇者ではなく、街を狙っていた。


「なっ、俺を無視して街を狙うのかよ!! そうさせるか!!」


 狙いは街だとわかった瞬間に、『旋拳サイクロンバレッド』を連発していた。

 まず、ゴーレムの腕を街の外へ吹き飛ばし、徐々に身体までも削られてーーーー


「うらっ! これで消し飛べぇぇぇ!! 『螺旋咆哮牙エッジバースト』!!」


 先程の技より大きく、先端が牙のように尖っていた。その威力はゴーレムの一番硬いところで、核のある胸をあっさりと貫通する程だ。

 核を壊されたゴーレムは抗うことも許されず、崩れていった。


「どうだっ! 俺の『螺旋者カイテンモノ』の味はっ!!」

「煩いわよ。こっちも終わったわ」


 ミウと呼ばれる女も戦いは終わっていた。周りには沢山の泡が浮いており、全ての人形を捕まえていた。泡の中に入れるように捕らえており、殴ってもなかなか割れないていた。

 殴ってもダメなら、自爆しようとする人形もいたが……


「無駄よ」


 ミウはそう言って、自爆しようとしていた個体を上空へ素早く浮かしていた。誰もいない上空で爆発が起き、人間側に被害はなかった。

 それを見たマネキンの魔物はすぐ命令を出した。




 全ての人形に自爆を命じるとーーーー




「だから、無駄と言っているでしょ?」


 アリスは全ての泡を操って、上空へ浮かすなんて無理だろうと思っていたが、ミウはあっさりとやってのけた。




 ドオォォォォォォォォーーーーッ!!




 残った人形も上空で自爆してしまい、街に被害はガラスが割れたぐらいだった。


「後は貴女だけよ?」

「なんだい? 見たことがない魔物だなぁ?」


 アリスは喋らない。話しかけられても、マネキンの人形では喋れないのだから。

 今のアリスが出来ることは限られている。そう、突撃だけだ。


「なんだよ、来んのか」

「話せないみたいだね。さっさと片付けてよ」

「はいはい」


 勇者達は実力に差があり、こちらが断然に有利だとわかっていた。サキヤが動き、ゴーレムを倒した技で決着を付けようとする。




「相手が悪かったな。『螺旋咆哮牙エッジバースト』!」




 依代だったマネキンの人形は、あっさりと胸を貫通された。人形の魔物は殆どが胸に核が隠されている。

 それが常識であった。その常識に従っていたため、サキヤに小さな隙ができていた。故に、紅い珠が懐まで入り込まれていたことに気付くのが遅れた。胸を貫かれたマネキンの人形は右眼がさっきより酷く割れており、手は何かを放り込んだような体勢になっていた。

 そして、紅い珠が発光し始めーーーー


「やべぇッ!?」


 アリスの意識が本体へ戻る前にそんな声が聞こえたような気がした。爆発が起きる前に、アリスの意識は本体へ戻っていたーーーー









 遠くから爆発音が聞こえ、本体に戻ったアリスはすぐに『遠視』で街を確認していた。


「なんだと?」


 そこには予想してないことが起こっていた。至近距離から爆発を起こしたのに、勇者は無傷で立っていたのだ。それに、爆発はどうやってやったかわからないが、街の上空で起きたようた。


「チッ、どうやったかわからんが、女の勇者が何かしたのか?」

「うーん、わからないけど、目的は達したから良いんじゃないかな」

「確かに目的は達したが……、全てを出したとは言い難いな」


 アリスが街に攻めたのは、勇者の実力を少しでも知りたかったからだ。人形の軍隊で攻めたら勇者が出たのは予想通りだったが、無傷で終わってしまうのは予想外だった。

 少しは傷を付けられるかと思ったが、どうやったのか爆発から逃れたようだ。


「はぁ、第1目的は半分だけ成功。第2目的はまぁまぁかな。死んだ人間の数は予想より少なかったが、5体の人形が帰ったのは良い成果だ」


 アリスがそういうと、土がポコっと盛り上がった。5体の人形は、地下に隠れていたモグラみたいな人形のことだ。

 その役割は、魔力と魔素を集めて無事に帰ってくること。人間の死体から魔力と魔素を抜き出すことが出来る人形はアリスにとっては最高の傑作であると自負している。

 魔力と魔素を吸収する時はできるだけ近くにいないと駄目だが、街まで本体が行くわけにはいかないので、代わりに魔力と魔素を吸ってくる人形を作り出したわけだ。


「んー、良く集めた。街に攻めた甲斐があったな」

「これからどうするのー?」

「また別の街でも襲うか? 今みたいやれば、魔力と魔素が沢山集まるだろ?」

「それに準備が必要だが、悪くはないな。あの勇者がどうやって無傷で爆発から逃れたのか気になるところだが……」


 勇者の力は大体わかった。おそらく、勇者は熟練度が高い程に強くなる性質があると思う。

 あの2人の勇者はそれ程に凄いスキルを持っているようには見えなかったが、使い方が上手いと感じられた。特に、女性のミウは。

 男性のサキヤはまだ粗があって、懐まで紅い珠を近付けたのがその証拠である。


(それだけで判断するのは危ないが、これからは試して行くしかないだろうな……)


 気になることはあるにはあるが、ローテ街から離れることに決めたアリス達であった。次はどの街へ攻めるかバトラ達と相談しながら、ローテ街から離れていくのだったーーーー







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