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第二十七話 半人半造(サイボーグ)

はい、続きをどうぞ!

 


 長いテーブルの上に寝かされていた少女が眼を覚ました。少女に毛布を被せられており、何があったのかすぐに思い出せない様子だったが、後ろから声が聞こえて振り向くと、そこにはアリスが立っていた。


「貴女はーー」

「俺はアリス。約束通りに力を与えてやったぞ」

「約束……あ」


 アリスに言われて思い出した。自分が助けて欲しいと嘆願して、配下になる事で助けるだけではなく、力も与えてくれると。


「あ、あれ?」


 今まで気付かなかったが、無かった筈の左腕から感触を感じる。毛布を取り払うと自分は裸だったが、それを気にしないぐらいに、左腕があったことに衝撃的であった。

 そして…………


「み、右眼も……」

「右眼は見えているのか?」

「は、はい」


 銀色の前髪に隠れていた少女の右眼が覗き、その右眼は紅く輝いていた。そう、ゴーレムから奪った珠だ。そのまま、嵌め込んだって使えるわけでもないので少しは弄ったが、どうやら見えているようだ。

 左腕もアリスが作った物で、義手のような造りだが、神経が繋がっているから感触や痛覚もある。少しだけ歪で左腕にも紅い珠が3個も埋め込まれているが、動かす分には問題はなかった。


「あ、ありがど、う……」


 少女は嬉しさで泣き出してしまった。アリスはまさか、泣き出すとは思っていなかったので驚愕してオロオロとしていた。

 そこにバトラが部屋に入って来て、少女が泣いているところを見られて……


「……アリス、どうしたの? アレは」

「俺だって知りたいわ!!」


 泣き止むまではバトラも含め、少女を泣き止ませる技術を持たない2人は何も出来ないでいた。数分すれば、ようやく泣き止み…………


「すいません……」

「大丈夫だ。嬉しかったんだろう?」

「はい!」


 少女は生きていることが嬉しかったようで、感極まって泣いてしまったのだ。


「さて、もう一回自己紹介させて貰おう。俺はアリス。見て通りで人形の魔物だ」

「私は大鬼オーガでバトラと言う。アリスの配下をやっている」

「はい! 私は……名前がありません……」

「心配するな。名前なら決めている」


 少女が寝ている時に、アリスは既に名付けを終えていた。その際に魔素と魔力を移していたため、死に掛けから生き抜いたのだ。

 更に、少女の種族も人間ではなくなっていた。


「お前は人間を止め、半人半造サイボーグとして生まれ変わっている。名前は『マキナ』だ」

「え、ええ?」

「まぁ、いきなり人間を止めたと言われたら驚くよな。ステータスを確認してみればわかる」


 マキナと呼ばれた少女は恐る恐ると自分のステータスを確認してみると…………その変貌に更に顔が驚愕に染まる。



 ステータス

 名称 マキナ

 種族 半人半造サイボーグ変異種

 称号 ”アリスの配下”

 スキル

 希少スキル

巨兵創造ゴーレムクリエイト』【作成・操作】


 通常スキル

『思考』、『魔力操作』、『痛覚耐性』、『身体強化』、『自己再生』



 半人半造サイボーグに生まれ変わっていたことに驚愕していたが、更に変異種で希少スキルまでも獲得していたことも拍車に掛けていた。

 マキナの希少スキルは、単純にゴーレムを造り出せる能力だが効果は高い。どのように効果が高いのかはーーーー


「ステータスに希少スキル『巨兵創造ゴーレムクリエイト』があるのを確認出来ているな?」

「ゴーレムって、土や岩から出来た生き物ですよね?」

「そうだ。だが、お前の能力は少しだけ変わっているぞ。俺がそうしたがな」


 そう言いながら、アリスはマキナの左腕を掴んで、3つの紅い珠が並んで配置されているのを見せてやる。


「ここに珠があるのはわかるな?」

「は、はい」

「これはゴーレムの核から創り出した物であり、『巨兵創造ゴーレムクリエイト』に関する重要な働きをする。まず、3個の珠はマキナが操れるゴーレムの数と同義だと思ってくれ」

「えぇと、3体のゴーレムしか操れないという事ですか?」


 希少スキルなのに、たった3体しか操れないのは少ないのでは? と思ったが、その考えを読んだのかアリスはニヤッと笑い、説明を続けた。


「たった3体だけと思ったな? 言っておくが、数だけを増やしても今のマキナには操れんよ。だから、数は絞って、能力の力を他に回した方が強くなれるぞ」

「他に……?」

「俺は数を制限することで、カスタム性能を強化させた。創造は無限なのだから、パラメータを自由に変えられた方がいいだろう?」

「カスタム性能? パラメータって?」

「そこからか……」


 バトラの方へ視線を向けてみるが、バトラもハテナを浮かべていた。

 どうやら、この世界は英語は余り浸透してないようだ。何故か、生まれた時からこの世界の言葉を理解出来たのもまだわかっていないが、アリスには前の言葉である日本語に聞こえているから、神が勝手に翻訳して聞こえているだろうと無理矢理に納得していた。

 わかっていない2人のために説明を増やし、例えを混ぜる事でなんとか理解出来たようだ。




「つまりだ、ゴーレムを作る際に自由度を高めたわけだ」

「わかりました。え、えっと……試しに1体だけ作ってみますね」


 マキナは地面に手を付けると、3つの珠が光りだした。そこに3つが同時に光りだしたことに、ん?となったアリスだったが、作り出されたゴーレムを見て、理解した。

 マキナが作り出したゴーレムは、体長が8メートルもあり、土だけではなく近くにあった村人の家をも巻き込んでいた。土、岩、家などが固められただけのゴーレムが出来たが、その質量は馬鹿に出来ない。


「出来ましたけど……めちゃくちゃ……」


 質量は凄いが、いつ崩れるかハラハラとしそうなゴーレムだった。人型に見えなくはないが、岩山で見たようなゴーレムとはクオリティに差があり過ぎた。


「そりゃ、いきなり3個分の珠を一気に使おうとするからだ。3個分を纏めれば、より強いゴーレムが出来るが、お前はまだ『巨兵創造ゴーレムクリエイト』に慣れてないから、こんなのが出来るのは当たり前だ」


 1個分であれば、今のマキナでも簡単な土で出来た人型のゴーレムぐらいは出来る筈だ。マキナは空回りしてしまったが、アリスに認められたいと思い、一気に3個分を使っていたのだ。


「うぅっ、すいません」

「ただ、チャレンジ心は評価する。色々と試して慣れていけばいい」

「あ……はいっ!!」


 アリスがマキナの頭を撫でると、嬉しそうに笑みを浮かべていた。もしかしたら、奴隷歴が長かったため、撫でてもらうことは余り無かったかもしれない。

 何か出来たら、褒めてやるのも上司の務めだろうと考えていたら…………




 グウゥゥゥ~




 可愛らしい音が鳴り、マキナは恥ずかしそうに顔を赤らめていた。


「す、すいません……、御飯は少ししか頂けなくて……」

「そうだったな。奴隷だったから、少ししか食べられないもんな。よし、屋敷に戻るか」


 アリスはマキナのために、また屋敷へ戻ることにする。食べ物はないか台所へ向かうのだった………








次は明日の朝7時に投稿します!

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