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第二十四話 転移

本日一話目!ーーと言いたい所だけど、一話しか書き上げられなかったから、今日も一話だけです。

すいません。DQM3にハマっちゃって……とりあえず、早めに書き上げられるようにしたいと思います!

 


 倒したゴーレム達から紅い珠を集めていた時に、バトラが声を掛けてきた。


「そんなに強いなら、人間の村を襲った方が良くないか? 人間は魔物と違って、スキルが多いから魔素を沢山吸収出来るぞ。さっきもそうだったんだろ?」

「確かに、ゴブリンメイジよりは多かったな。街はさっきみたいな冒険者が沢山いるから後回しにしていたが、村か……」


 街はさっきの理由により、襲うことはまだ考えてなかった。だが、バトラが言うように村であれば、人数も少ないし冒険者が沢山いるということはないだろう。

 今のアリスは岩山にいた魔物では相手になっていなかった。だから、いっそと人間がいる村を襲ってはどうかと提案をしたのだ。


「人間の村は何処にある? 近くにあるなら、やってみるのも一興だ」

「近くにか……あったな。頂上まで登れば、見える筈だ」

「場所がわかるなら、わざわざ頂上まで登らなくてもいいだろう。何もない頂上に行ってもなぁ」


 頂上に向かおうとしても、岩山だから何もないと思っていた。魔物の魂は弱いのしか見当たらなかったから行っても無駄だと言い、案内させようとしたが……


「あ、頂上には何も無いとは言えないよ。アレがあるんだし」

「アレ?」


 バトラの言い方では、頂上に何かあると言っているようなものだった。


「魔王の拠点だったと噂の話をしたよな? それが少しだけ残っているんだよ」

「ふむ、魔王の拠点だった場所か………………馬鹿馬鹿しい。噂に踊らされて時間を無駄にする俺じゃないさ。ここは昔から岩山だったよな?」

「まぁ、そう話してあったな」

「こんな目立つ場所に拠点を建てる馬鹿がいるかよ。山に登らなくたって、頂上に建物があったら目立ち過ぎるし、ここは街からそう離れてないんだぞ?」


 冒険者が歩けば、2日か3日で着くような目立つ場所に魔王が拠点を建てるワケがない。少し考えれば、わかることなのでわざわざ頂上まで行く理由にはならない。


「うーん、そうかな? なら、アレは何だろう?」

「だから、アレと言われてもわからんぞ」


 このオーガはアレと言えば、何でも通じると思ってないかと呆れの表情になりつつあった。


「あぁ、アレとは壊れた祠のことだよ」

「はぁ? ほこらぁ? なんで、頂上にそんなのがあるんだよ。意味がわからん」

「私だって、知らないよ。話で聞いたには、千年前からあるって言うんだよ」

「また千年前からか……」


 どうやら、この世界は千年前に起こったことが強い影響を及ぼしているようだ。この世界に来たばかりのアリスにしたら、千年前のことはどうでもいいことだ。


「とにかく、行かんぞ。さっさと、人間の村へ案内しろよ」

「へーい、一度は見てみたかったがな……」

「観光なら1人で行けよーーーー」


 アリスの言葉が止まり、急に頂上へ目を向けていた。何かを感じ取ったようで、『白蒼魂視』を発動していた。


「急に強い魔力が現れやがった!」


 頂上は濃い蒼で塗りつぶされていたように見えていた。明らかにアリス達よりも遥かに強いのがわかる。『狂気発作』、『激昂発作』を使っても勝てないぐらいは分かる程にだ。


「すぐに此処から離れるぞ!!」

「わ、わかった!」


 バトラも頂上にいる魔力を感じ取ったようで、ロドムと会った時と同じ顔をしていた。どうやって頂上に現れたんだよと、愚痴を溢していたらーーーー




「お前か」

「っ!?」


 アリスが逃げようとした方向に、1人の男がいた。咄嗟に走り出そうとしていた脚を止めた。

 何もなかった空間から現れたように見えた。


「て、『転移』持ち!?」


 バトラの叫びから、目の前にいる男がどうやって現れたのか理解した。頂上に転移してきたから、いきなり魔力が発生したように感じられたのだ。

 それよりも、何のためにアリス達の前に現れたのか知らなければならない。


「俺が配置させておいたゴーレムがやられていると思えば、お前の仕業か…………アリスお嬢様?」

「っ、その呼び方は…………」


 そんな呼び方をされたのは、一度しかない。それだけで、現れた男の正体が予想出来る。




「また魔王の配下か。更に、ロドムの仲間だな?」

「正解だ。俺はナガレと言う。爺さんとは仲間で間違いはないさ」

「爺さん?」

「ロドムのことな」


 そこでスッと放出されていた魔力が抑えられていた。敵意の意思はないと言う表現だった。


「お前らに手を出すなと言われていてな。だが、もう此処のゴーレムとは戦わないでくれよ」

「もう充分に集まったからいいが…………何かを守っているのか?」

「うーん、まぁ、いいか。爺さんに気に入られている奴だしな」

「爺さんに気に入られても嬉しくはないがな」


 ナガレと言う男は苦笑しながら、指を鳴らした。それだけで、アリス達の周りの景色が一瞬で切り替わった。

 2人はナガレから魔力が放たれたのを理解したが、何をしたまでは理解出来ていなかった。


「ここは頂上だ。初めての転移はどうだったかな?」

「……一瞬過ぎて、何もわからなかったぞ」

「転移はいつでも一瞬だから、わからなくても仕方がないかな。で、アレが守りたかった物だ」


 ナガレが指を指す先には、残骸になった祠があった。なんで、こんな残骸を守りたかったのか理解できなかった。

 だが、ナガレが残骸に近づいて、手を掲げると…………




 残骸があった場所から、魔法陣が現れて光り出した。




「これは、遠距離転移に使う魔法陣だ。もし、これを壊されて新しい物を設置するのに、時間が掛かるからな」

「成る程……、これを使って頂上へ現れたんだな?」


 どうやって頂上に現れたのか、疑問が解けたアリスだった。


「そうだ。此処を守るゴーレムが減っていくことに疑問を持って、確かめに来たら……アリスお嬢様がいたわけだ」

「アリスお嬢様とか、やめてくれよ。アリスでいい」

「そうですか? アリスですね、わかりました」


 ナガレは素直な性格のようで、あっさりと呼び方を変えてくれた。話は変わるが、ナガレがやった近距離転移は熟練者となれば、目線を向けるだけで転移場所を選べるらしい。だが、目では届かない場所に転移するには、隠されていた魔法陣を使って、転移出来る場所を作っていく必要がある。

 そこにある魔法陣はーーーー




「お前らのボス、魔王がこの魔法陣の先にいるんだな?」

「えっ! まさか、アリス!?」


 今まで黙っていたバトラがアリスの考えを読み取っており、慌てていた。だが、ナガレは首を横に振っていた。


「確かにいるが、案内はしないぞ。会いたければ、自分で『転移』を覚えるんだな。まぁ、無理だと思うがな」

「あははっ、無理だと思うか? まぁ、普通なら無理だろうな…………普通・・ならな」

「…………」


 ナガレは無表情になり、アリスの真意を読み取ろうとしたが、真っ暗な右目からは何も読み取れなかった。


「お前らのボスに言っておいてくれ。いずれは、会いに行くから待っていろよーーーーとな」


 アリスはそういうと、ナガレから目線を外して岩山を降り始めた。バトラも慌ててアリスに着いていくが、ナガレは何もしないまま、降りていく2人を見送るだけだった…………











次は明日の7時だと思います。

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