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第二十三話 ゴーレム

本日は一話だけになるかも……。

もし、早めに書き上げたら21時に投稿しますので、今の時点ではなんとも言えません。

宜しくお願いします。

 


 ロドムとの関係をバトラに話していた。アリスもどんな関係かよくわかっていないが、敵対はしてないのは間違いないと考えている。


「成る程……、魔王の部下とか、厄介な魔人に目を付けられているね」

「あぁ。だが、戦うことはないのは助かるな。前は手足も出なかったしな」

「戦ったの!? アレと!?」


 自分達が束になっても勝てる気が全くしない相手にアリスは挑んだと聞いて、驚愕で一杯だった。


「驚くのはいいが、アレか?」

「……はぁ、アリスは大物かただの馬鹿なのかわからないな。そう、アレだよ」

「大物に決まっていんだろ。それにしても、馬鹿とほざくなんて配下らしくない奴だな。アレか」


 2人が言うアレとは、目の前にある異様な山である。普通の山と違い、全てが岩で出来ており、魔物の強さも今までの比ではないとバトラが言う。


「んー、確かに蒼ばっかりだな」

「へぇっ、強さが大体わかるのは便利だな」

「まぁ、狂気と激昂状態になれば、余裕だがな」

「普通はデメリットが高い状態異常で、誰もなりたがらないんだけどね」


 デメリットを逆転させるスキルを手に入れたのは、運が良かっただろう。もし、『自心支配マイコンラート』がなかったら、『狂気発作』を使った時点で命運が終わっていたかもしれない。それ程に、『狂気発作』と『激昂発作』は使い難いスキルなのだ。


「お、いきなり襲ってくるぞ?」

「ここはゴーレム系の魔物が多く、魔力に敏感なんだよ。多分、アリスの右眼に惹かれたんじゃないかな?」

「まぁ、見た目でわかるぐらいに魔力が一点に留まっているしな」


 アリスの右眼からは魔力が外に出て留まっている。まだ隠す手段は見つかっていないので、今は魔力を感知されやすい体質みたいになっているのだ。


「ふむ、まずは小さなトカゲみたいなゴーレムか。白に近いから雑魚だな」


 アリス達の前に現れたのは、体長が50センチしかないトカゲでアリスに襲い掛かる満々だった。バトラの説明によると、ゴーレム系は胸に紅い珠が浮き出ていて、それが弱点だと言う。その紅い珠は厳密に魔石とは違い、紅い珠が本体ではないかと考えられているらしい。バトラの『識別者シルモノ』で知った情報だから、曖昧な部分があってハッキリしてない。


「紅い珠は魔石じゃないなら、なんだろうか?」

「わからないけど、魔石より魔力が一杯詰まっているとか。ゴーレム系は基本的に恐怖を持つことはないので、本能に従って魔力を持つ生き物に襲い掛かるよ」

「成る程成る程」


 既に戦いは終わっていた。戦いというか、捕まえただけであるが。

 アリスの手にはトカゲがもがいており、胸にある紅い珠をじっと見ていた。


「なんか、珠も生き物っぽいな? 血管みたいなのが薄っらと見えるんだが?」

「え、どれどれ? …………うーん、見えないな。見えているのはアリスだけじゃないのかな」


 バトラはただ紅く輝く珠にしか見えておらず、珠の中に血管があって生きているように見えるのはアリスだけのようだ。おそらく、特異な右眼がそうさせているのではないかと思う。


 アリスの言う通り、ゴーレムに付いている紅い珠は生き物でもある。ゴーレムから切り離されても、珠自体が無傷であれば、生きているように紅く輝き続ける。


「生き物……アレを試してみる価値はあるが、もっと量が欲しいな」

「手当たり次第に狩っていくか?」

「そうだな。出来るだけ珠に傷を付けないように抜き取るんだぞ。輝きが消えたら使えるかわからん」

「りょーかい」


 ここは岩山なのでゴーレムは殆どが岩で出来ており、弱点を狙わずに倒すのは少々大変なのだが、バトラはあっさりと了承した。


「今度は虎型のゴーレムか。ゴーレムはどうやって形を決めているんだ? というか、どうやって生まれているんだ。両親がいるとは思えんが」

「うーん、それはわからないなぁ。ゴーレム系は自我を持たない無機質の生き物だとしか知らない」

「まぁ、それらはあとで調べておくか。今は戦闘だ」


 次々に様々な形をしたゴーレムが集まってきたので、バトラだけに任せるのは荷が重い。アリスも参戦して、『魔爪』を発動する。

 アリスは弱点の紅い珠は狙わずに、手足を斬っていく。バトラはアリスによって、身動きが出来なくなったゴーレムの頭を脚で潰していく。

『身体強化』を発動していて、岩ぐらいなら潰せるようだ。損傷が酷くなれば、珠以外の部分が死ぬ。


「硬いけど、なんとか壊せるな」

「ハンマーとか作って叩けば良くないか?」

「無理かな。反対にハンマーが2、3発だけで壊れそう」


 まだ強度はゴーレムより強いのは作れないようだ。素材が鉄屑しかないのが原因とか。

 この調子で向かってくるゴーレムを撃退していると…………


「む、大きい蒼がこっちに向かっているのが見えるな」


 今まで埋まっていたのか、岩が盛り上がるのが遠目からでも見えていた。バトラも見えていたが、その大きさに頬をピクピクと引きつらせていた。大きさは6メートルはありそうで、バトラは自分では勝てないと判断していた。


「あ、アレ? 私じゃ無理そうだよ?」

「心配するな。俺がやるからよ」


 バトラには無理でも、アリスにしたらただ大きいだけの雑魚のと変わりにならない。ドスンドスン!! とこっちに向かってくるティラノサウルスに近い姿をしたゴーレム。バトラはすぐ離れた方がよいんじゃないかと思ったが、自分でやると言っていたアリスはゆったりした歩きでゴーレムがいる前へ進んでいく。


「ちょっ!?」

「心配をするなと言ったんだろ? 『狂気発作』、『激昂発作』。俺の前に出たのが、運の尽きだったな」






 戦いは一瞬だった。






 アリスは踏み潰された。


「アリスぅぅぅぅぅ!?」


 まさか、豪語しておいて、あっさりとやられるとは思ってなかった。まだ生きていると信じて、ティラノサウルスのゴーレムに突撃して助け出そうと思ったがーーーー




「心配はするなと言ったんだろうが」

「はぇ? あ、アリス!?」


 踏み潰されたと思っていたアリスは、ゴーレムの後ろへ回っていた。さっきはバトラからの位置では後ろにいたアリスが見えなかったから、踏み潰されたと思っていたのだ。




「戦いはもう終わっている」




 アリスがペシッと軽く叩くだけで、ティラノサウルスのゴーレムは大量の切れ目が入って、身体が擦れていく。珠だけは無傷で、擦れていく岩の身体を退かして掴み取った。


「見えなかった。速すぎだよ」

「目で追えないのは、バトラがまだまだってことさ。もっと強くなれば、いつかは見えるようになるぞ」

「いつかねぇ…」


 また小型のゴーレムが現れ、2人は戦い続ける。そして、10分後には2人を襲うゴーレムはいなくなったのだったーーーー





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