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第十四話 ゴブリンメイジ

本日三話目!

 


 アリスはバトラに案内されて、ネームドモンスターがいるゴブリンの集落へ向かっていた。


「ネームドモンスターなら、ただのゴブリンじゃないから気を付けておけよ?」

「ふん、ゴブリンはゴブリンだろ。何時ものように、こっちが狩る側だ」


 アリスはゴブリン相手に狂気状態へならなくとも、苦戦はしなかった。その程度なら、名前を付けられて強くなるぐらいで苦戦は考えられなかった。もしの時は、狂気状態になって倒せばいいと思っていた。バトラはそんなアリスにやれやれと呆れつつ、これ以上は何も言わない。


「着いた。ゴブリンがいるから、場所は変えてないようだ」

「早速、突っ込むからお前は援護な」

「待っーー!?」


 アリスは正面から堂々と現れて、近くにいたゴブリンを伸ばした『魔爪』で首を斬り落とす。バトラは慌てて、アリスを追うがそのスピードが違う。


「弱えぞ!! ボスは出てこんか!?」


 片っ端からゴブリンを斬り裂いて、バトラも戦闘に介入しようとしても、アリスが通った道は死体だらけで生きているゴブリンはいなかった。




「あんなに強かったのかよ……、こりゃ、私の出番はないな」




 バトラは想像以上に実力が高かったことに驚き、見ているしか出来なかった。

 ゴブリンを30体は倒した所に、大きな建物から普通のゴブリンとは違う姿をしたゴブリンが現れた。その者は杖を持って、乱入者であるアリスを睨んで叫んでいた。


「キサマ、ナニモノダ!!」

「ん? お前がボスか…………って、弱そうだな。ボブゴブリンより小さいんじゃね?」


 アリスは他の集落でボスとして出会ったのは、殆どがボブゴブリンだった。ボブゴブリンはゴブリンが進化魔物であり、ゴブリンより身体が大きくて、力が少しだけ強くなっている。だが、目の前にいるゴブリンは周りにいたゴブリンのと同じぐらいの大きさで、動物の骨や爪から作り出された装飾が派手ぐらいにしか見分けがつかなかった。

 言葉が普通のよりマシに聞こえるが、やっぱり強そうには見えなかった。


「……ヨワソウダト? ボブゴブリンノバカトオナジニスルナ!!」


 杖を持ったゴブリンは怒りに染まり、杖の先から火の玉を生み出していた。それを見たアリスはほう! と感心しながら見ていた。


「『火爆ファイアボム』!!」

「魔法か!?」


 アリスは魔法の言葉を理解し、着弾した場所から距離を取った。地面へ着弾し、爆発が起きた。


「おー、結構威力があるな。弱そうと言って、ゴメンよ。俺はアリス! お前の首を取りに来た!!」

「フン、サケルトハナ。ワレハ『ラーセン』ダ。ミナノカタキヲトル!!」


 お互いが名を名乗り、戦いが始まろうとしていた時に後ろからバトラが驚いて声を漏らしていたのをアリスが聞き取っていた。


「あれは……ゴブリンメイジ!!」

「ゴブリンメイジ? あぁ、魔法を使うゴブリンか」


 バトラは先程の火魔法を見て、ゴブリンメイジだと見破ったようだ。魔法を使う相手に近付くのは苦労することを知っているから、一緒にやるとバトラが言うが……アリスは断った。


「俺がゴブリンメイジ程度に苦戦すると思っているなら、その考えはゴミ箱に捨てておけ。助けはいらんから、お前は周りの雑魚をやっていろ」


 ゴブリンメイジ程度に苦戦していたら、魔王になる目標が遠ざかる。アリスはいつでも余裕を持ち、傲慢に命を刈り取る死神ごとくに生きていくつもりだ。


「まず、魔素と魔力を回復させて貰おう!!」


 アリスは右眼を意識的に使えるようになり、近くで待機をせずに周りにある死体から魔素と魔力を吸い取れるようになっていた。


「ナニガ、ッ『火爆ファイアボム』!!」

「アハハッ! ゴブリン程度では、少ないが……」


 今度は避けることをせずに、真正面から『魔爪』で斬り裂いていた。空中で爆発はしたが、爪は壊れることはなかった。充分な魔力が集まり、進化の影響で少しは強く硬くなっていた。


「ナッ、マホウヲ!? ッ、コレデドウダ!! 『石礫ストーンパレット』!」


 今度は土魔法で十数個の石を飛ばしてきた。爪で斬り裂こうとしても、対象が小さくて数が多過ぎる。

 だが、アリスはそんなことに構わず、両腕を盾にして真正面から突っ込んだ。


「ナーーーー」

「おらよ!!」


 固まった瞬間を狙い、杖を持っていない手が斬られて、ポトッと地面に落ちる。痛みに叫びたくなるのを我慢し、次の魔法を唱えていた。


「『風壁ウインドウォール』!!」

「む?」


 追撃をしようと、現れた風の壁に構わず、突撃していたが破れなかった。

 風の壁に当たった時、大きな音がしたが、アリスはケロッとしていた。アリスは『無痛』で痛みを感じないから、『土礫ストーンパレット』に怯まず、小さな怪我をしても、『自己再生』で回復出来る。だから、無茶な突撃が出来たのだ。

 風の壁で距離を取ることに成功していたラーセンは痛みを我慢して息を整えていた。


「ハァハァ、ナンテヤツダ。マホウニカマワズ、ツッコムトハ」

「火、土、風の魔法を使えるなんて、優秀なんだな! なんか、このまま殺すのはちょっと勿体無いなー。俺の配下になる? だったら、お前だけは生かしてもいいよー?」


 魔法を3つも使えることは希少だと思い、配下にならないかと勧誘した。だが、ラーセンはアリスが言っていた最後の言葉に引っかかっていた。


「……オレダケ?」

「うん! お前だけ! 他は弱いし、役に立たないからいらないね。脚を引っ張るだけで、邪魔だし」

「キサマハ……、ソンナサソイヲウケルカ!! オレハイツデモナカマトイッショダ!!」

「ふーん、じゃあ。お前も死ね」


 もう終わらせることにすることに決め、魔法を良く使う相手に丁度良いスキルがあり、それを発動した。




「ッ!?」

「魔力を燃やし尽くされて、死ね」


 アリスは『愚焔』を発動した。ラーセンに黒い焔が纏わりつき、熱さを感じさせずに魔力だけを燃やしていく。


「チカラガーーーー」


 魔力を燃やされ、力が抜かれていくような感覚を味わって膝を付く。このままでは危ないと思い、風魔法で黒い焔を消そうとするが、魔力を燃やされていて、構築が上手く出来ない。


「お前の身体は活用してやるから、安心して死ねよ」


 その言葉を最後に、ネームドモンスターであったゴブリンメイジのラーセンは仲間の仇を取れず、魔力を全て燃やし尽くされて死んだのだったーーーー








まだ続きがあります。

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