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第5話 通う血は赤く鉄臭い

「アバン凄いのか?これは」


俺は兄貴と呼ぶのをやめて名前で話しかけた。ステータスを見せてもらってからお礼を言った後にもう一度ステータスを見せてもらった。このステータスの常識を知りたかったので、聞いてみた。


「……魔人族なら普通なんだがな。人族からしたらそこの魔法の項目が異常らしい」


【火魔法】【水魔法】【風魔法】【雷魔法】【土魔法】この五項目の事だろうか。魔力があればどんな超常現象でも起こせてしまう気がするんだが、違うのか。


「人族は髪の色なんかで魔法の適正が違うらしく、一属性に特化している。俺らは関係無いんだがなぁ…。」


「ふーん、それじゃ魔力Lv.7についてはどうなの?俺は魔力Lv.1なんだけど」


「人族は魔力Lv.1から始まると聞くが、魔人族は魔力Lv.5から始まるぞ」


産まれたときから既に差があるのか、となると幼い頃の柔軟な思考の時にどれだけ魔法を使えるかにもよる。つまりは、魔力があれば魔法の適正に制限はないのかもしれない。


「あとはこの辺か。【剛力】【跳躍】とかは【肉体強化】の内容だと考えている。俺は筋力と足のバネを重点的に鍛えていたからってのもあるが、同時期に技能を取得したからというのが理由だ」


「なるほど、勉強になります…」


「飯食べたら、今日は寝ようか。明日には森を抜けるぞ」


「分かった。でも少し急ぎすぎじゃないかな」


「そんなことはない。遅すぎるくらいだ、魔人族がどれだけ人族から嫌われているかその身をもって今体験してみるのも良いかもな」


「仮にだけど、追い付かれたら?」


「俺が今度こそ、殺される……」


そうだった。普通に会話してたから気にしていなかったけどアバンは身体に傷を負っているのであった。よく見たら、いつの間にか脇腹に包帯が巻かれている。自分で巻いたのだろうか、結び目が少しほどけかけている。


「アバン、包帯はまだ持っている?」


「ある。だが、包帯なら先ほど巻いたし、残りが惜しい」


「なら、その包帯を使うよ。少しだけお腹回り失礼するぞ」


俺はアバンの脇腹で結び目がほどけかけている包帯を、もう一度巻き直してしっかりと固定した。保健体育で真面目に包帯の巻き方を覚えておいて良かった。僅かに滲んで手のひらに移ったアバンの血を臭うと嗅いだことのある匂い臭かった。


「アバンの血は赤いし、匂いも鉄臭いから俺と同じ人間だ。人族という括りじゃなく俺の世界では、総称して人間って呼ばれてる。ということで、同じなんだよ」


「それ、何が同じなんだ?何が言いたいのか全くわからねぇ」


「通っている血は同じだから、俺も魔人族かもしれない」


「ばーか、そんなわけあるか!飯を食べ終わったならさっさと寝ろ。明日は早いぞ」


俺の冗談に真面目に返してくるアバンだったが、話していて見ることができた数少ない笑顔だった。



就寝PM8.00



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